セメント運搬術
「ンこれだけあれば港は作れるでしょう。ン現実で考えれば手に持てる量で建築は出来ませんが、ンこれはゲームですからね!」
まぁ、ここら辺は建築系ゲームとかの要素と同じ様な感じだろうな。じゃなきゃ建築関連が難し過ぎるよね……
「とりあえず一旦帰りましょうか。まずはこれだけ持ち帰って、港を作れるかどうかを確認してみましょう」
まず帰るにしても雪道をこの重い状態で帰らなきゃいけないし、慎重に帰らないといけないな……クレバスみたいなのに落ちる可能性も高くなるし
「そうだね。実際問題足りるかどうか分からないし、持ち帰れないと意味が無いからね」
「ン帰りましょう。ですが、これだけ重いとン大分時間が掛かるかもしれませんねェ……」
やっぱり時間が掛かるよなぁ……どうにかして時短したい所……いや、待てよ?あの方法なら少しは短く出来るんじゃないか?
「ハースバさん?早く通信機ゲットしたいですか?」
「ん?それは出来る限り早くゲットしたいけど……その笑みはなんだい?」
「実は、今この状況で普通に帰るより速く帰れる可能性がある手段が有るんですけど、やります?」
「ンどういった方法が?まさかこの重量を無視するン何か方法が?」
多分想定通りならあるハズだ。しかもこの方法をするなら適役はハスバさんしか居ない
「重さを無視する方法はあるんだけど、これを使うにはハスバさんの協力が必須ですね」
「え?どういう事?」
「まぁ、端的に言うと、ハスバさんをボコボコにしながら街まで戻ります」
「……おっほ!なるほどね!すんごい提案!」
まぁ、この位の説明でもハスバさんなら受けるでしょ
「ンあの、いったいどういう……」
「そうですね。説明すると、僕には強制ノックバックさせる魔法があるんです。なのでハスバさんに全部のセメントを持ってもらって、僕が強制ノックバックでハスバさんを街まで運ぶのが一番早いと思います」
「要するに、ガチ宮にやってたアレを私にやるって話だよね?これこれ」
ハスバさんがウィンドウを出して、ガチ宮さんのアッパーループの動画を見せる
「う、うわァ……」
「さぁ、行きますよ。はい、セメント全部持ってください」
「わぁ、良い笑顔……」
あぁ、体が軽い。これなら余裕で行けそうだ
「よーし、今なら前以上のスピードで行けそう!タテさん、MPに余裕はあります?」
「ンえ、えぇ、まぁありますが……」
「じゃあ、タテさんにはMPを使ってもらう事になりますが、それでも良いですか?」
「ンだ、大丈夫だと思われますゥ……」
乗せるだけなら問題無いだろう。魔糸で繋げば引っ張って行けるだろうし
「よし、それじゃあしっかり捕まってくださいね。ダンジョンから出たら後は街まで帰るだけなんで」
「うおっ、これやばっ……マジで立ってるだけでもしんどいんだけど……一歩歩くのも無理……」
「じゃ、行きますか。タテさん準備は良いですか?ダメそうなら縛り付けて落ちない様にしますが」
「ンお願いします。なんか振り落とされそうな気がンしてきました」
そっかー。見た目が酷い事になるけど仕方ない。紫電ボードにタテさんを魔糸で縛りつけて、その紫電ボードを引っ張りながらハスバさんを蹴飛ばして街まで帰ろう。移動に関しては深淵で歩けば雪道を普通に走るより速く移動出来るだろう
「んじゃ、街までノンストップで行くんで覚悟してくださいね?」
「「え?」」
「しゅっぱーつ!【インパク】」
「「うおっ!?」」
ハスバさんを蹴り上げて進む。重さ関係なく2m飛ばせる【インパク】で多分現実で換算するとトンを越える重さのハスバさんを連続で蹴り続け、タテさんを引っ張り、深淵で雪道を進む。まぁ見た目は良くないけど、これが一番早いからなぁ……
「こ、これは……ヤバい……今までで一番……ヤバい……」
「MPが……ほぼ空に……」
「いやぁ、流石にこのまま街の中までは入れないんで、ここからはセメントを皆で分けて持ちましょう」
「は、はーい……」
「いや~ん、ハチ君。きちくぅ~」
「さっきのはスキルの効果でダメージは無かったですけど、今度はマジで蹴りの連続攻撃で運んでも良いんですよ?」
「それは普通にHP全損する奴だよね?」
「ええ、勿論」
「最近また磨きが掛かって来たねぇ?」
さっきのセメント運搬でまだ懲りてないのか?
「にしても、ハチ君また一段と凄い事になってんねぇ?」
「いや、まだまだですよ。トーマ君とかも教えた事をすぐに実践して成長してますから。僕ももっと成長しないと。追いかけられても追いつかれない様に僕も努力しないと……」
大分トーマ君も成長してるし、教えた側として、すぐに追い越されない様に出来るだけ前を走れる様に努力はするべきだろう。まぁ、レベルは抜かれちゃってるかもしれないけど、戦闘力まではまだ抜かれてないと信じたい
「本当にストイックだねぇ……」
「これでも楽しんでますよ?最近は仲間になったキマイラを料理人にしたり……」
「いや、本当にハチ君の話を聞いてると同じゲームをしてるのか分からなくなってくるね?」
まぁ、その件に関しては確かに同じゲームかどうか疑わしくなるのは分かるから強く言えないかなぁ……




