戦闘法提案
「ほらほら、まだ出せるでしょ?もっともっと」
「うーん、なんだかいやらしく聞こえてしまうなぁ……」
「それはハスバさんの心が汚れてるだけですよ」
失礼な。セメントを集めなきゃいけないんだからこっちは回避と挑発してるのに
「そういうハスバさんはちゃんと集めてるんですか?」
「そりゃあ勿論集めてるよ?」
「いやはや、ン素晴らしい!ここまで簡単に集まるのは初めてですねェ」
建設関係の人で組んだりしないのかな?
「同じ様な職種の人と組んだりはしないんですか?」
「ンそれは勿論。初めてこの建材ダンジョンを見つけた時に皆試しては居ますが、ン何せあまり戦闘が得意ではない人が多いので、連携が……」
「「あぁ……」」
「戦闘系の人も、ン経験値が手に入らないので、好き好んでこのダンジョンには、ン来ないので……」
「「あぁ……」」
ちょっと悲しい事を聞いてしまったかもしれない。そこまで難しい訳じゃないけど、非戦闘職の人にとってみれば、戦いたいじゃなくて、何か建てたいみたいな気持ちでゲームに入ってきてそれで何か建てる為には戦闘してくださいは確かにキツイか。というか建設系の人の戦闘ってどうするか分からないな?
「ンそれに、何とか戦闘出来る様に頑張った結果。ン某はこの様な感じになったので、某も人と組みにくくンなってしまいまして……」
何処からともなく防壁が出来上がり、クロスボウみたいな物で攻撃してる。防御と攻撃が出来てるだろうけど……その防壁は一人分だし、あの場から動いたら多分防壁は意味を為さなくなるから相手が位置を変えれば簡単に突破出来てしまうだろう。うーん、設置型の大盾って感じなんだろうけど、確かに何とか戦える様にしたって感じだ。でも、生産系でちゃんと戦える策が有るんだからタテさんは偉いと思う
「ンすみません。可能な限り持ち帰る為に建材はあまり持って来ていなくてンこの程度の物しか用意出来ず……」
戦う為にも建材を使うとなると、建材を集めに来たのに収支がマイナスになってしまう事もあるか。うわぁ、これは中々難しい問題だなぁ……
「ンですがっ!こういった物は回収出来るのでン使いまわせますねェ」
なるほど、使いまわせるならまだマイナスにはならないか。ん?でも建材を使いまわせる?
「あの、その使いまわせる建材って今集めてるセメントもですか?」
「え?えぇまぁ流動状態に戻してやり直すとか出来ますが……」
「ほほぉ?」
「まぁたハチ君が何か思いついたみたいだねぇ?」
思いついたというか、それを聞いたら他に何か能力を持っている可能性とかを考えるか
「いや、別に思いついたって言うか、そういう事が出来るならもう少し新しい事出来るんじゃないかなって。セメントの状態変化を操れるって認識であってますか?」
「そ、そうですね……ン乾燥時間を限りなく短く出来たりしますゥ……」
「よし、それならセメントはもっと集めた方が良いかもですね」
「なるほどね。今のでハチ君が何をしようとしてるか大体察したよ。確かにそれならセメントは集めた方が良いかもね」
「ンあの……少し説明して頂いても?」
説明も何もないと思うんだけど……
「セメントで固めちゃえば、戦いやすいんじゃないの?」
「あの、セメントで固めても、相手は普通に出て来ると思いますが……」
確かに、普通のセメントであれば強力なモンスターが出てきた場合はまず粉砕されてしまうのがオチだろう
「タテさん。これから僕達が作ろうとしてる物。なんだったか忘れましたか?」
「それはン立派な港を……まさか!」
「粉末ミスリルを混ぜ込んだセメントなら今までのセメントよりも扱いやすいんじゃないですかね?あと強度とか硬化時間とかも」
ミスリルを入れる事で色々と即応性が出て来る気がする。これで結構戦闘力は上がる気がする
「今の攻撃に使ってたクロスボウだって、先端にミスリルセメントを塗ればあっという間に遠距離打撃武器に変わりますし、STRとか強化しておけば、何か棒に塗るだけでも割と戦える物になる気はするんですけどね……まぁ戦闘が難しいという事なら無理に戦わなくても良いんで、後衛を防御をする為の壁が普通の魔法で出来る壁より堅そうな気がするんで、後衛に居ると結構嬉しい気がします」
基本戦闘中に下がる事は無いけど、後衛でもし防壁みたいな物が出来ていれば、防御に使えるし、壁がある事で攻撃にも活用出来そうな気がする
「ンハチさんは、某の様な者にも戦闘が出来る可能性を見出しているんですね……」
「どんな人にどんな潜在能力があるか分からないですからね。まだ困ってはいませんが、この先もしかすると、非戦闘系の人が攻略に必要になるかもしれない。色んな人の能力が必要になるダンジョンが別に現れるかもしれない。まぁ、後は単純にタテさんが戦闘をしたくなった時に職を変えなくても戦えるって証明すれば他の人達も色んな楽しみ方を見つけるかもしれないじゃないですか。折角のゲームですから皆で楽しみたいなって」
「おぉぉぉ……ンなるほど。今まで分かった気でいましたが、これこそが……港建設。いえ!あの島の発展はこのタティーノにお任せください!」
なんだかタテさんに気合が入ったみたいに感じる。ま、このままセメントを沢山集めれば島の発展は進むんだからやる気を出してくれてるならそれで良いか!




