教会に帰還
「よし、モニク。教会に行こうか」
「ご迷惑をお掛けしました……」
「大丈夫、レベルが上がったから問題無いよ。というかモンスターハウスってモニクにも反応するんだね?」
「あれは、一応大事な本を隠してあったのでそれを守る為に作ったんですが……本を取ったら回路が変わっちゃって起動させるトラップの場所が……」
「あらら、そうだったんだ」
なるほど、元々のトラップの場所は分かっていたから普通に歩いていたけど本を取って回路が変わったせいでモンスターハウスを起動しちゃったと……
「失敗を反省するのはその辺にして、ほら、もう行くから憑りついて」
「はい」
僕に憑りつき、モニクの姿が消える
「よし、それじゃあ行くぞー!」
ダッシュで廃坑を抜ける。ゾンビを吊るしておいたから邪魔される事も無い
(師匠はこうなる事を予想してゾンビを吊るしたんですか?)
「まぁ、倒したところで別に美味しい訳じゃ無いし、復活されても面倒だからやっておいたよ?」
帰り道の確保をするのにやっておいたけど、正解だったなぁ……
(なんという頭脳……流石師匠!)
倒すのが面倒だからやってただけなんだけどね……
「褒めても何も出ないけどね?」
廃坑を抜け、霧の森に出る。ガイドを起動して教会への道を出す
「トレントは……無視で良いか」
霧の中、根が4つ出ている木に注意しながらガイドの青白い線を追いかける
「途中で見た事無い奴とか出てこなくて良かった。ほら、モニク。教会だよ」
(ここが……)
「まずはシスターさんに話をしてくるからちょっと待ってて?」
念の為教会の外で待ってもらった方が良いかな?モニクが教会に入って即シスターさんが聖魔法で攻撃とかになったら良くない
(分かりました!)
モニクが僕から出てきて、ついでに玉座も出してちょこんと座る。座ってる物は豪華なのに座り方が病院の待合室にでも居そうな感じの座り方なので違和感が凄い
「あ、ロザリオ……」
「はい、どうぞ!」
壊れたロザリオをモニクから受け取る。これを持ってシスターさんに会いに行こう
「あ、ハチさん。おかえりなさい」
「ただいまシスターさん。ロザリオを取って来たんだけど……壊れちゃってて」
壊れたロザリオをシスターさんに見せる
「あっ……」
うわぁ、めっちゃ悲しそうな顔しないで……修理出来るなら修理……あれ?そういえば僕の持ってる修理の粉ってこのロザリオにも使えるのかな?薬研の修理もすっかり忘れてたけどまぁ今はロザリオにふりかけてみよう
「頼むよ……効いてくれ……」
インベントリから修理の粉を出し、ロザリオにふりかける。キラキラ光る粉末がロザリオに触れるとロザリオ全体が光り輝く。もう少しふってみよう
「おぉ!これなら!」
「ロザリオが……直っていく!」
光の輪郭が徐々に十字架の形になっていき、修理の粉を4回ほどふりかけた所で光らなくなった。修理が終わったみたいだ
「良かったぁ、直った。これは祭壇に置けば良いんだよね?」
「はい!ありがとうございます!良かったぁ……」
祭壇にロザリオを置いた事でシスターさんにロザリオが装備される。多分首から下げてるんだろうけどウルフポンチョを着ているせいで見えない。本当だったらシスター服にロザリオが映えて良かったんだろうけどなぁ……
「ハチさん。ありがとうございました!これはとても大事な物なので絶対に回収したかったんです!」
「あー、そのシスターさん?ロザリオの事もあるんだけど、どうしてもこの教会に置いて欲しい人が居るんだ」
今のシスターさんならお願いを聞いてくれそうな気がする
「置いて欲しい人……ですか?」
「その子、悪魔なんですが改心……というか説得してかなり良い子になって教会で住ませてもらえないかと……」
「悪魔……ですか」
やっぱり悪魔と聞いた途端に表情が若干強張る
「モニクって名前なんですが、会話して何で人を不幸にしたいのかを聞いて他の悪魔もそうだから自分もそうするって言ってたのでだったら困ってる人を助けたり、逆に悪魔を不幸にする叛逆の悪魔なんてどう?って提案したら良いですね!って感じで……」
「叛逆の悪魔……それってただの良い子ですね?ふふっ良いですよ。連れて来ているんですよね?」
おっ好感触だ
「外で待ってるんで連れて来ても?」
「どうぞ、お待ちしてます」
シスターさんもニコニコ笑顔でモニクが来るのを待ってくれるみたいなので急いでモニクの所に向かう
「モニクー!入ってオッケーだよ」
「ちょっと緊張します」
そりゃあ緊張するのも仕方が無い。教会に悪魔とか普通は入れないと思うし
2人で教会の扉を開き、中に入る
「ようこそ!叛逆の悪魔モニク」
シスターさんは既にポンチョを脱ぎ、シスター服で対応する
「はわっ!?もう叛逆の悪魔として認められているんですか!?」
「貴女に問います。貴女は本当にただの悪魔から叛逆の悪魔になるのですね?」
シスターさんも中々の迫力だなぁ?
「ボク頑張ります!頑張って叛逆の悪魔になります!だからこの教会に住まわせてください!」
モニクが勇気を振り絞った一言で答える
「ええ、良いですよ」
「えっ?」
シスターさんが断る事も無く、すぐに許可を出す。あまりにも唐突でモニクもあっけに取られているなぁ?
「えっ!?やったー!叛逆の悪魔の第一歩です!」
これでモニクも一安心だろう