モニク
「返して!返してよー!」
「いやぁ、もう貰っちゃったし、呪いの効果で外せないしなぁ?」
悪魔が僕に縋りついて呪枷を返してコールをしてくる。悪魔って皆キリエさんみたいな薄着というか過激な恰好をしているんだろうか?距離が近いから悪魔のローブの中が見える。これは確実に女の子ですね……
「うわぁぁん!どうして、どうしてボクだけこんな目にー!」
膝から崩れ落ちる悪魔。この悪魔何とかしてあげられないだろうか?可哀想で仕方が無い
「僕は君の事認めてるんだけどなぁ……とりあえずさ?なんで人を不幸?にしたいの?」
僕に嫌がらせをしたい、困らせたいと何故そう考えているのか知りたい
「ぐすっ……そんなの悪魔の在り方として当然だろ!」
「なんで?」
何が当然なんだろうか?
「なんでって……悪魔は他人を不幸にする存在だからだ!」
「そんなの全然自分らしくないじゃん」
「は?」
ポカーンとする悪魔
「うーん、君、名前はある?」
「モ、モニク……」
モニクって言うのか
「モニク?例えばだけど楽しそうな街に行くか何があるか分からない森に行くか選べるとしよう。大半の人は街に行ったけどモニクはどっちに行きたい?」
「それは……やっぱり楽しそうだから街?」
うんうん、やっぱ街に行きたくなるよねー
「僕はこの世界に来た時にその選択肢を貰ったけど運試しの棒を投げて出た結果。森の方に行ったよ?」
「バカなの?」
「ははは……バカかもねぇ……」
モニクにバカって言われた。大半の人がバカじゃないの?って言ってもおかしくないから何にも言い返せない
「でも僕はその選択肢を選んだお陰で今モニクを圧倒してるよ?」
「そ、それは……というかこの話はいったい何の意味があるんだ?」
ちょっと回りくどいだろうか?
「誰も選ばなかった事をやったお陰で僕は他の誰とも違う道を進む事が出来たんだよ。ならモニクも他の悪魔が通らなかった道を歩む事だって出来るんじゃない?」
「誰とも違う道……」
もう一押し何か言った方が良いかな?
「そうだなぁ……他の悪魔が他人に迷惑を掛ける奴ならモニクは他の悪魔に迷惑を掛ける悪魔なんてどう?」
「他の悪魔に迷惑を掛ける?」
「他の悪魔が人に迷惑を掛けるならそれを邪魔したり、逆に他人に良い事するなんて実はかなり悪魔的な行為
じゃない?」
「かなり悪魔的……」
良い感じに食い付いてるな。最後にダメ押しだ
「叛逆の悪魔!モニク!とかどう?」
「叛逆の悪魔!良い……!」
良いぞ、凄く気に入っている感じだ
「今僕は棄てられた教会の修復をしているんだけど、そこのシスターさんにお願いしてモニクをその教会に住まわせてもらえないかなって考えてる」
「教会に住むだって!?そんなの無理だよ!」
「大丈夫。僕も教会の結界に弾かれたけど棄てられた教会は結界なんて無かったからモニクでも入れるよ。それに教会に住む悪魔……どう?これはかなり……」
「かなり悪魔的だ!」
自分で言っててなんだけど、それで良いのかモニクちゃん……
「そうだ!きさm……貴方の名前はなんと言うんだ?」
「僕はハチだよ。よろしくモニク」
「ハチさん!頼む!ボクを連れて行ってくれ!叛逆の悪魔の称号がボクを待っている!」
うーん、チョロい……
『称号 悪魔を唆す者 を入手』
なんか酷い称号出たぞ?
『【悪魔を唆す者】悪魔を相手に会話して丸め込むと入手 どっちが悪魔か分かりませんね? NPCと会話時に自分に有利に会話が進む確率が上がる』
「とりあえず持てる物持ってここから教会に行こうか」
「あ、あの憑りついても良いですか!」
「ん?そうしたら楽に移動出来る?」
「はい!あの玉座ごと移動出来ます!」
「おぉ、それなら憑りついても良いよ」
荷物を持っていけるのなら憑りつくくらい良いだろう
「では失礼します!」
なんか叛逆の悪魔って言ってから露骨に僕に対して態度が良くなった気がする。そんなに嬉しかったのか
モニクが玉座に座ったと思ったら、その玉座と一緒に空中に浮かび上がり、半透明になって僕に飛んで来た。モニクの姿が視えなくなったと思ったら僕の肩に誰かが乗っているかの様に少し重みを一瞬感じたけどすぐに何も無かったかのようにいつも通りの感覚に戻る
(まさかとは思っていましたが、乗っ取る事が出来ないとは……)
『称号 悪魔憑き を入手』
『【悪魔憑き】悪魔に憑りつかれる事で入手 俺の中に居る! 記念称号』
もう何も言うまい……
「とりあえずここから出るね?」
(はい!お願いします!)
モニクを連れて(憑けて?)部屋から出ると当然トラップゾーンにまた戻ってくる
スイングで浮いた足場をスルー。【リインフォース】で上げた身体能力と【ゲッコー】の張り付きで他のトラップも次々とスルーしていく
(ボクの用意したトラップをこうも簡単に突破されてしまうと悪魔としての自信を粉々に粉砕された気分です)
「僕だったら横から来る壁ゾーンの床にベタベタする床を置いたり、槍ゾーンは槍のタイミングを少しわかりやすくして天井から出てくるようにして、床を這って攻略しようとしたら矢が正面から撃たれるとかにするかなぁ……あ、でもちゃんと通れるルートは残しておいて完全に心は折らない様にするかな?」
僕なりのトラップの改良点を挙げる。多分こうした方が引っ掛けやすいハズだし、なにより挑戦してくれるハズだ
(そんな改良のやり方があったなんて……考え付かなかった!ハチさん!いや、師匠と呼ばせてください!)
「いや、ハチって呼んでよ」
『称号 悪魔も尊敬する男 を入手』
『【悪魔も尊敬する男】悪魔にどんな形であれ、尊敬された際に入手 一体何をしたら悪魔に尊敬されるんですかね…… 記念称号』
『称号 悪魔よりも悪魔的 を入手』
『【悪魔よりも悪魔的】「悪魔」に関する称号を3つ入手する事で入手 あ、悪魔たん…… 特定の敵に対してダメージが上昇する。全ステータス10%アップ』
どうしてこうなっちゃうんだろうね?