ご協力お願いします
「よーし!今日はガッツリ遊ぶぜ!」
「これがハチ様の温泉施設……単に温まるだけではなく皆で遊べる様な所まで!」
「随分と賑やかだな。これが温泉かぁ。気持ちが昂るなぁ」
「精霊王様、私の持っている古い知識ですが、これは一般的な温泉と呼ばれる施設とは違うかと……」
「このくらいの温度であれば問題無い。か?」
「お、お、おい弟子?私は師匠だよな?な?弟子の物は師匠の物だよな?な!」
色々皆見ているみたいだけど、ニコラ師匠ここぞとばかりに温泉を我が物にしようとするのどうなんだ……
「そうだなぁ。お湯が苦手というのであれば、一応水風呂とシャワーはありますけど、使います?」
「おぉ、水の風呂もあるのだな。シャワー……というのはまだよく分からないが、使ってみたいぞ」
「じゃあ、モルガ師匠にそっちは任せます。熊さんはこっちに行きましょう」
「ほいほーい」
熊さんはサウナエリアに連れて行って水シャワーを使わせてあげよう。他の人は普通に温泉施設を使ってもらおう。一応モルガ師匠が居るから施設案内は師匠に任せれば良いだろう。だってほぼ女の人だしなぁ?
「ここはどういった建物なのだ?先ほどの風呂とは違うような気がするのだが……」
「あそこは湯気のお風呂みたいな感じだね」
「湯気の風呂……そういうのもあるのか」
「手だけなら入れられると思いますが、試しに入れてみます?」
「うむ、物は試しだ」
空いているサウナの所に手を突っ込む熊さん。どうかなぁ?
「お、おぉ、むぅ、熱い……」
「ダメそうですかね。じゃあ水のシャワーを浴びましょう」
「ほう、滝と違う心地良さだ……」
サウナに手を入れてみたけど熱さはそんなに得意じゃなかったみたいでシャワーを使ってみた所気に入ってくれたみたいだ。僕としては庭の水やりをしている気分になるなぁ
「ハチさんまた新しいお客さんですか!いらっしゃいませ」
セッカさんは本当に労働の意欲に芽生えたというか、あのぐうたらだった時から見違えたなぁ。どこかの師匠にも見習って欲しい所だ
「熊のお客様。かき氷はいかがですか?ハチさんと一緒という事であれば1杯目はサービスします」
「かき、氷……?」
「冷たくて美味しいですよ。サービスらしいので食べてみては?」
「そうか。では1つ頼む」
熊さんの手じゃスプーンは掴みにくそうだし、ここは食べさせてあげた方が良いかな
「はい、どうぞ!」
「氷と甘いシロップが掛かった食べ物です。はい、口開けてください」
「む、あーん。んおっ!この冷たさと甘さ!不思議だ!もう一口くれ!」
自然界ではまずこの組み合わせが無いだろうからなぁ……
「はい、あーん」
「うん!美味い!」
「セッカさん良かったね。美味しいって」
「喜んでもらえるとやっぱり嬉しいですね。おっと、そろそろ時間なので、雪を降らせますね」
「何?雪を降らせる?」
「彼女、セッカさんは雪女なので、雪を降らせる事が出来るんです。なので、ここでさっきのサウナという施設で体を温めた人達が体温を下げる時に水風呂で一気に下げるか、このセッカさんの雪で冷ましてもらってるんですよ」
ホント今更だけどこのサウナかなり贅沢だよなぁ……
「凄いな。本当に様々な種族が手を取り合って生活しているのだな」
「皆で助け合って生きてますよ。ここで交流が広がれば助け合いの輪も広がるって感じですね」
「なるほどな」
「別に重い話では無いんですよ。まぁ、良かったら熊さんもここの発展にご協力くださいって事で」
「あぁ、それは考えておこう」
助け合いというとちょっと重く考えてしまいそうだけど、思いついたからやってみた。やってみたい事に適した人材が居たから協力を呼び掛けたみたいな感じでかなり緩いんだよねぇ
「それに、これは秘密ですけど、ここって実はとんでもない超兵器で地上を滅ぼす事が出来るくらいの兵器を積んでるんですけど、争い事は避けたいんで使ってないんですよー」
「ふっはっは、冗談はもう少し真実味が無いと、騙せないぞ?」
実際の事なんだけど、冗談っぽく言ってみたら熊さんはまるで信じてないみたいだ。勿論、これからも使う気はないけどね
「今の話は本当ですかぁ!」
何処からともなく走って来たボンドさん。あ、他の皆もサウナゾーンにやって来たのか
「単なる冗談だよ」
ボンドさんに一応この島が兵器としての一面を持っている事は喋らなくても良いだろう。もし、その情報がボンドさんの手元に行ったら、何か交渉事があった時に使わなくて良い脅しのカードになってしまう可能性があるし
「冗談でしたか!ハチ様の空島でしたらそれが本当でも不思議では無かったので」
「あ、でも、冥界とかとは繋がってるよ?もし、転生とかしてなかったら、死んでしまった人と会う事が出来なくはないと思うけど、探すのが大変かな。というかあそこは皆行くとしてもファイトクラブ目的かな」
「うんうん、あったねぇ……そんな事も」
したり顔のマスクドグータラもとい、モルガ師匠。また連れて行くか?
「いやはやここは凄まじい。わたくし共の情報網は中々の物だと自負していたのですが、ここ程様々な所と繋がってはいません。それに話は聞きましたが、娯楽要素もかなり充実しておられる」
「僕が居ない時も結構あるとは思うけど、来たい時に来てください」
錬金術師に情報屋、精霊王に聖獣。これだけ新しい存在が入ってきたらまた何か起きるかもしれないなぁ