廃坑の奥に居た者
『廃坑の鍵 を入手しました』
「おっ、これは使えそうな鍵だね」
鍵の近くにゾンビが居たけど何というか休眠状態のようだったのでこっそりと天井から糸を垂らし、鍵だけを入手した。廃坑の鍵という先に進むのに使えそうなアイテムを入手出来たのでこれを持って真ん中の道を進んでみよう。多分この鍵を持ってなかったらあのトラップを越えた後に鍵無いじゃん!ってなって戻る必要があるかもしれなかった訳だ。先に進まなくて良かったなぁ
「さて、他のゾンビ達も起きる前に……」
天井を移動し、分かれ道の所に戻る。ついでに入り口を糸で封鎖しておこう。中から出てきて後ろから挟まれても困るしね?
「これでよし!それじゃあ、真ん中の道に行きますか!」
トラップまみれの道を進もう。もう一度言うけどここ廃坑だよね?絶対作り変えられてるよね?
「まぁ、これくらいならタイミング合わせるだけで簡単に避けられるね」
ペンデュラムアックスが左右から迫ってくるけど斬る場所は一定なのでペンデュラムアックスの間に入ってしまえばご飯を食べる余裕さえある。流石にそんな事はしないけど
「用意されたトラップがほぼほぼ僕には意味ないんだよなぁ……」
床から飛び出してくる槍は天井までは届いていないので天井を這えば良いし、左右から出てくる壁も走り抜ければ簡単に抜けられた。僕を止めたかったら落とし穴かねばねばの地面とかを設置していないと……あ、落とし穴じゃ【ゲッコー】で意味無いか
道が途切れて下に棘がいっぱい……そして空中に浮く動く足場と……もう完全にダンジョンですねこれは……
「こういう時こそアレだな!」
僕には必要無いと思っていたけどこれはやれと言わんばかりの好条件だ。強靭、粘着の2要素を組み合わせた糸を少し高い天井に向けて射出。そして振り子移動で反対側にスイング!
「おぉぉぉ!すっごい!」
浮遊足場とかも全てスルーし、反対側の足場に辿り着く。目の前には扉が……
「鍵……合っちゃったねぇ?」
入手した『廃坑の鍵』はしっかりと鍵穴に合い、扉が開く。中はさっき見たモンスターハウス的な小部屋の真ん中に玉座?があった。あの四剣の王の玉座よりはかなり貧相だ
「き、貴様ぁ……ボクの用意したトラップを悉くバカにしたように攻略してぇ……ぐすっ」
そしてその玉座には、半泣きで黒いローブを着た悪魔っぽい子が座っていた
「ん?もしかしてあのアスレチックは君が作ったのかな?」
「アスレチック……やっぱりバカにしてる!」
バカにしたつもりは無いんだけど……
「ゾンビを囮にした廃坑幽霊と鉱石爆弾のトラップはスルー!モンスターハウスは起動スイッチを踏まない!ゾンビ達の休憩所は誰も起こさずに隠したはずの鍵を見つける!当たれば死ぬトラップは全然当たらない!意地悪動作を設定した動く足場は変な糸を出して全部無視!時間が足りなくて新しいトラップを作る暇も無い!」
そう言われると何か僕が悪い気がしてきた……いやいや騙されるな?別に僕が悪い訳では無い。多分悪魔の企みを壊しただけだろう
「ボクの作った『貧呪の魔硬貨』も変な使い方して……全然嫌がらせが出来てない!」
えっ!?なんだって!?
「君がこの魔硬貨を作ってくれたの!?ありがとう!大事に使わせてもらってるよ!」
「この変態めー!」
そういう事はハスバさんとかに言ってあげると喜ぶと思う。僕は別に変態と呼ばれて喜ぶタイプじゃない
「僕は別に変態でも何でもないつもりなんだけどなぁ?」
「やめろぉ!こっちに来るなぁ!」
めっちゃ警戒されてる……僕は別に戦う事が目的じゃないからとりあえず話を聞いてみるか
「あのさ?ここにロザリオってない?首から下げる十字架のネックレスみたいな物なんだけど……」
「ひぃ!ん?ひょっとしてこれ?」
悪魔が玉座の裏から黒い十字架に銀で縁取りをされた首飾りを取り出した。あら?若干壊れてる?
「それは……最初から壊れていたの?それとも自分で壊したの?」
「さ、最初から壊れていたぞ!?嘘じゃ無いぞ!?」
本当の事を言っているみたいだ。多分、教会から持ち出されてここまで持って来る間に色んな所に引っ掛けて壊れてしまったんだろう
「なんでそんなにビビってるの?」
「悪魔の呪いを受けて平然としている。あまつさえ、その呪いをありがたがっている奴が目の前に現れて喜ぶ奴が居ると思うか?」
そういう事?
「とりあえずそれ、あの教会の物だから返してもらえるかな?」
「返さなかったら貴様は困るのか?」
「うーん……どちらかと言えば困っちゃうかな?」
ロザリオの回収が出来なければ教会の修復クエストが進まないから実は結構困る
「ほほう、ほほう?じゃあ渡せないなぁ?やっと貴様をボクの力で困らせる事が出来る!」
悪魔がめっちゃニヤッと嗤う。なんだろう、悪ガキ的なポジションに感じてしまって少しくらいなら付き合っても良いかなと思ってしまう
「困らされちゃうなぁ……」
「貴様みたいなチビな人間!やっぱり恐れる事は無い!」
「歯食いしばれ。お前みたいな悪魔、修正してやる」
流石に最後の言葉はライン越えた感があった