黒い狼
「そうなんですか。因みに、魔力ゲルってアイテムとか置いてないですかね?ちょっとお金稼ぎの為にも使いたい事がありまして……」
「何?」
やっぱりこの手の人は金の話に目が無いねぇ?明らかに目つきが変わった
「いや、まぁ置いてないみたいなので失礼させてもらいます。ん-どこで調達しようかなぁ……薬とか扱ってる店なら入手出来るって聞いたんだけど、もしかして買い占められちゃったのかな?アレで集まってくるレアモンスターを倒して魔石とかの素材で一攫千金って思ってたのに……お邪魔しましたー」
「またどうぞ~」
さて、これで何かしら反応があると思うが……
「よし、お前ら!あのゴミをジャンジャン作れ。んでお前達。モンスター狩りの準備だ」
早速動き出したな。あ、これって魔力ゲルを捨ててる所に突撃して現行犯なら捕まえて良いのかな?
「今からなら間に合うか?」
どうやったって調合して失敗しないと魔力ゲルは出来ないだろうから今から急げば確認は取れるか
「白武、黒武、監視を頼むね」
『おまかせください』
ミニ白武とミニ黒武をパンドーラで呼び出し、あの店の監視をさせる。外に出て行ったらキッチリ追いかけてくれるだろう
「となれば急げー!」
道行く人達に邪魔されない様に屋根の上を走って一直線に独立部隊の建物に向かう
「すみません!調合とかで出たゴミを不法に投棄したら現行犯で捕まえても良いんですか?」
バンッと扉を開けたと同時に喋る。時短だ時短だ
「うわっ、ビックリした……そんなに焦ってどうしたの?」
この人は……そうだ。よく仲間への借金を何とか無かった事にしようとしてたサリナさんだ
「ちょっと、この街で薬とか作った時に出るゴミを不法に投棄しても良いのかどうかを知りたくて……」
「それは良くない事ね?一応そういったゴミはお金を払って処理してもらう決まりだけど……もしかして摘発かしら!?それなら行くわよ!それが本当ならボーナス物よ!」
お金で動く人はこういうので動くんだなぁ……正直今回のはでっち上げに近いけど、これであの店が秘密裏に処理していたゴミをどうにか出来ればネストのガス被害が抑えられるかもしれない
「じゃ、あっちです。行きましょう」
「えぇ!ボーナスゲットよ!」
ちょっと心配になるなぁ……
「この店なんですけど……居た居た。黒武が居ないって事は追跡してるんだね」
『そうです』
「あら、チョイワール魔法店じゃない。ここ、悪い噂が多いのよね。でも、ゴミの不法投棄で捕まえられるのであれば美味しいわ!」
結構有名みたいだな?
「賄賂を貰うとかダメですよ?」
「わ、分かってるわよ……」
これは連れて来る相手は失敗したかな
「ごめんね。それじゃあ案内よろしく頼むよ」
「……!」
白武に案内を頼むと敬礼してから歩き始めた。黒武がなにかしら印でも付けてるみたいで白武がしっかりと追跡は出来ているみたいだ
「おー、やってるなぁ?白武も黒武も追跡お疲れ」
「「……!」」
白武の後を追いかけてみたらこっちに手を振る黒武の所に辿り着いた。その先を見てみると柄の悪い男達が結構な数居た。そしてその真ん中に1人……
「まずはこの情報が本当かどうかを調べねぇとな。コイツに珍しい魔物が引っ掛かるのであれば今まで捨ててたのが勿体ねぇお宝に変身だ。金は稼げる時に大きく稼ぐもんよ」
悪い事言ってますなぁ?
「とりあえずアレは不法投棄って事で良いですかね?」
「そうね……ちょっと難しい所だけど……」
「じゃあ、街に危険な魔物を引き込もうとしたとなったらどうですかね?」
「それは良くないわね……」
「じゃあ、ちょっとここで待っててください。もし、これで凶悪なモンスターとか出てきたら、ある意味現行犯で捕まえられますよね?」
「理屈じゃそうだけど……」
とりあえずこれで不法なゴミ捨ては止められると思う。無実だったら悪いけど、まぁ地下での強制労働的な人達の件があるから無実ではないだろう
「しっかりお仕事してくださいよ?」
「いったい何を……」
「【バリアント細胞】起動」
【バリアント細胞】を起動して、肉体を変異させる。とりあえずオオカミ系の体にしておこうかな
「よし、ちゃんと動けそう」
「ちょ!?」
「じゃ、丁度良い感じの時に出てきてください」
黒くて大きい狼スタイルであのガラの悪い冒険者というか用心棒?みたいな人達に突っ込んで行こう
「うわぁ!なんか出たぞ!?」
「ホントに来やがった!」
「なんだアイツは……見たことねぇ……」
「ほっほ!本当にレアなモンスターが出てきたぞ!さぁ、奴を倒して一儲けするぞ!」
言ってくれるねぇ?今回は負ける必要はないから存分に戦える。動きにくい4足歩行だから色々やっても良いかな?
「アオォォォン!」
今回は深淵をオオカミの尾として使えばある程度自然な感じに出来るだろう。よーし、この辺りの用心棒がどのくらいか見せてもらおうじゃないか
「お前ら……これはマジでヤバいぞ!」
さぁ、怯えろ。竦め。今回は負ける必要が無いからねぇ?




