更に退く
「厄介ダナ。マズハ、貴様ラカラ、倒ス」
あの攻撃は味方への被害が大きい。もしかして、天使って範囲攻撃とか強いけど敵味方の区別をしないから集団戦ではめっちゃ使いにくいのでは?
「墜チロ!」
さっきのクラスター爆弾の攻撃で周りの木とかバラバラになってしまったので、その破片を深淵触手を使って投げつける。普通の人なら右利きの右投げ程度しか出来ないんだろうけど、触手は別に利き触手とかも無いので、16本の触手でとにかく投げつけまくる。移動しながら常に物を投げている状態だ。こっちも自動小銃くらいの勢いで連続で物を投げつけているから空を飛んでいる2人も結構回避はするみたいだ
「ちょっ!?そんなゴミ投げつけるのやめなさいよ!」
「わわっ!なんかいっぱい飛んできた!」
なんでも良い。とにかく時間稼ぎと下の人達との挟み撃ちにされない様に立ち位置を常に変えていく
「「【エンジェリック・ランサー】」」
二人の手元に光の槍が現れる。これは確実に投げてくるな。だったら……
「ヨシ、貴様ダ」
「なっ!?」
ジェイドさんもずっとバリアを張り続けられないのだろう。バリアが解かれたタイミングであの二人が単体攻撃らしき攻撃をしようとしてきた。事前の打ち合わせで、キリエさん達が範囲攻撃をするとか言っていたなら、絶対にジェイドさんも途中でバリアを解除しなければならない事を言っていただろう。だからここでバリア解除のタイミングと単体攻撃のタイミングが重なったとも言える。だったら、このタイミングであの人には脱落してもらおう
「「あっ」」
「マジ……かよ」
バリアを解除したジェイドさんを深淵触手で絡め取り、そのまま光の槍が飛んでくる方向に向かって投げる。もちろん光の槍は既に二人の手を離れているので、軌道の変更は不可能だろう。まっすぐにジェイドさんを2本の槍が貫いた
「トドメダ」
「容赦ねぇ……な」
あの攻撃を喰らっても死んでないって事はHPが1で耐える食いしばり系のスキルがある。だったらこっちから最後の一撃をお見舞いしてやれば良い。追撃の一手として深淵触手をジェイドさんの首に突き刺し、ポリゴンにする
「次ダ、ニンゲン共ガァ!」
向こうの絶対的防衛の要を倒せたので、これからは攻めは楽になるハズだ。が、この辺が引き際かなぁ……
「ここです!」
「グハッ!?」
遂に来た。アイリスさんが突っ込んで来た。なるほどな。例の幻覚を見せる脇差と雷の様な速度で突っ込めるレイピアの合わせ技。いや、この場合は更にアイリスさんの持っていた刀も合わさって3刀。左手にレイピアと逆手の脇差を一緒に持ち、右手に刀を持って僕に突っ込んでくるという中々な無茶をしている。脇差を抜いておけば確か幻覚を見せる事が出来るのと、それに合わせてレイピアの超速度刺突に合わせて僕に急接近。そしてアイリスさんの一刀で切り裂かれた。一応体に纏った深淵で防御を固めたから何とか死なない程度に済んだけど、確実に深手だ。ちょっと想定以上のダメージかもしれない
「【解除】流石ですね……ぐっ、これ程とは……」
そう言い残して、【アビスフォーム】を解除して自分で作った深淵の穴に落ちてその場を去る。【解除】したお陰で拘束も解けた。宝剣はどうでも良いので残った人達にお任せだが……流石にちょっと撤退が早かったかもしれないな。まぁ、でもこのくらいしても良いんじゃないかな?後は上でどうなるか。穴に気が付いてこっちに来るかが問題だ。来なかったらさっきのでイベント終了になっちゃうけど……流石に来てくれると思う
「ってー!沁みるぅ!」
斬られた部分に野戦生薬を塗り込んで回復をしておく
「えっ、大丈夫ですか!?」
「ん、あぁ大丈夫。ヤミィさんは大丈夫?」
深淵が斬られたからヤミィさんにダメージが入ったかと思って聞いてみる
「ん?別に問題無いですけど……」
「なるほど。それなら大丈夫そうですね」
意外と問題無かったみたいだ。これならここで戦っても問題ないかな?
「んじゃ後は人が来たら戦いますよ」
「は、はい!」
ヤミィさんは最悪かなり端っこの方に行ってもらえれば多分やられる事はないだろう。ヤミィさんだけはパンドーラで呼んだ存在ではないからやられてしまう事だけは絶対に避けなければならない。そうなりそうになったら、もう僕が何とか先にやられて強制的に終わらせるしかないな
「それじゃあ少し待ちましょうか」
さっき貰った一撃の回復をしながら少し形状を変える。深淵を左半身だけに纏わせて、なんとなくあともうちょいという感じにした
「あ、そういえばカサネガサネは……アルェ?」
なんかおかしいなぁ?あの時はシンプルで美しい感じの刀だったはずなんだけど……
「ね、ねぇ?ヤミィさんこの刀になんかした?」
「ん?いや、別になにもしてないですけど……しいて言うなら触るなって言われたので、誰にも触らせない様に近くで見守ってました」
「……」
んー……いやどうなんだこれ?ヤミィさんの仕業なのか、単純に深淵に入れていたせいで変質か何か起っちゃったんだろうか?とにかく確認を……
「やっぱりまだ生きてたわ!確実に仕留めるわよ!」
「逃がさないよー!」
まだ天使モードのキリエさんとキリアさんが突っ込んで来た。その後を追って他にも何人か飛び込んでくる。刀の詳細を見てる暇ないな
あ、読んでくださってる皆さんに報告なんですが、11月25日よりオーバーラップノベルスより『えむえむおー! 自由にゲームを攻略したら人間離れしてました』というタイトルで書籍化します




