天魔反転
「いやぁ、ハチ君普通にニンゲン共!とか言っちゃってるねぇ……」
「演出として言ってるのか、それとも割と本気で言ってたりする?」
「どうだろう……正直自分が人間である事を忘れてる可能性はあるかもしれない」
「アハッ!これこれ!この感じがハチだよ!」
散々な言われ様だなぁ?
「全テ、倒ス。全テ、滅スル。踊レ、ニンゲン共」
深淵触手を16本を出し、届く範囲に居る全員に刺突攻撃をする
「ぐぅ!?」
「「「「うわっ!?」」」」
雨の様な攻撃を完璧に防ぎ切るにはジェイドさんのドームバリアが必須になるんだろうけど、深淵触手を1本、地面を潜らせてジェイドさんを突き刺し、ドームバリアの展開を妨害する。そうする事で、バリアに守られていた人達が触手攻撃に晒される
「ドンナ策ヲ練ロウトモ。全テ、破壊スル【深淵の一撃】」
「「「「「ぐはっ!?」」」」」
何か用意してきたとしても、それを破壊するだろう【深淵の一撃】を使用する。今回は地面から大量の手が現れて、それぞれが近くに居る人の腹部に拳を叩きこんでいた。威力としてはあまり強くはないが、あくまで、皆が考えて来た策を中断させるくらいの一撃だろう。アビス様も分かってるなぁ!
「平伏セ」
丁度良い感じに皆お腹に一撃入ってお腹を押さえて地面に倒れたので、一言だけそれっぽい事を言っておく。うん、良い感じに決まった気がする
「コイツ、本当に……人間卒業してるでしょ!」
まぁ、この姿の時はそれを言われても仕方ないとは思うな
「さぁ、もう後の事なんてどうでも良い。出し惜しみも無しよ!【天魔反転】」
「アハッ!【天魔反転】」
「なっ!?」
さっきまで小悪魔スタイルだったキリエさんとキリアさんに生えている蝙蝠みたいな翼が白い鳩の様な翼に変わり、頭に生えていた触覚も天使の輪に変わっていた。悪魔が天使に変身した?
「この姿、嫌いなのよね。でも、あんたに勝つ為にはこれを使うしかないわ」
「これあんまり長い時間使えないんだよねぇ!」
まぁ、そうだよな。アビス様みたいな存在が力を貸してくれなければ時間制限無しの強化状態になるのは難しい。どういう能力があるのか分からないけど、変身解除までの時間を稼ぐか、その力を僕がこのまま捻じ伏せるしかない。どういう選択をするにしても、まずはお手合わせだ
「これで決めるわ!」
「いっくよー!」
「ほう……」
天使の翼によって空に2人が上がる……いや、あれは天使の輪も空を飛ぶのに使っているのか?にしてもこれはちょっと面倒だな……平面だけならまだ何とかなるだろうけど、上にも攻撃してくる人が居るとなると、処理しなければならない情報が一気に増える。しかもしっかり二人とも遠距離攻撃能力を持っているからとても厄介だ
「遂に空を飛びますか……おっと、墜チロ!」
危ない危ない。普通に飛んでる事に感心しちゃってた。深淵触手を空に飛んだ2人に向かって伸ばすが、空は地面に比べていくらでも逃げられる。今のままじゃ絶対にあの2人を捕えられないから時間が切れるまでこっちに来ない様に追い払うくらいしか出来ないな……
「「【エンジェリック・クラスタム】」」
おうおう、なんかとんでもなさそうな物が来たなぁ?
「ちょ!?おまっ!?」
「とりあえず守っておきなさい!」
「は、はい!」
キリエさんが下に命令してジェイドさんが痛む腹を押さえながらバリアを展開していた。一応皆急いで移動してバリアの中に入った直後、上から光の粒が大量に降って来た。これ確実に攻撃魔法だよなぁ?
「【エンジェリック・ロック】」
「【エンジェリック・フォール】」
両手足に何か光の立方体の様な物が現れ、僕の動きを拘束した。そして、光の粒以外に羽根が10枚くらいゆっくりと降りて来る。まずは先に光の粒の対処だけど……間違いなく、この光の粒。爆発するよな?クラスタムって言ってたし、クラスター爆弾的な攻撃手段を2人が使用。そして、ゆっくり落ちてくる羽根。アレも爆発するような気がするなぁ……
「行けるか?」
触れただけで爆発するのか、それとも向こうで起爆のタイミングを調節出来るのか……色んな要素を考慮してやれる対処をするしかない
「モドレ!」
「「「「はい(よ)」」」」
まずは凶具4人をアクセサリーに戻し、こっちはオッケー。ゲヘちゃんも念の為にパンドーラを閉じて強制的に帰還させる。地獄の存在が天使と戦うのは相性が良いような悪いような……どっちとも取れないので、安全性を考えて帰還だ。そして
「吹キ飛ベ!」
深淵触手4つを束ねて1つにし、花が開く様に先を開ける。そして上に向かってその深淵触手を回転させて、まるで扇風機の様な感じで生み出した風を光の粒に対して当てる
「ちっ、やるじゃない!」
光の粒はちゃんと風の影響を受けて、僕には当たらずに周りに落ちて周囲で小規模な爆発が連続して起こった。これぞまさに絨毯爆撃と言わんばかりに周りの地面が爆破で埋め尽くされた。ふぅ、危なかった
「もちろん、その羽根も忘れてませんよ」
背中の深淵扇風機をもう一つ作って、確実に僕に落ちてこない様に吹き飛ばす。うん、さっきの光の粒より爆破範囲がデカいなぁ?天使って爆破ばっかりするの?実質ガチ宮さんじゃないか
 




