破滅のコンサート
「ハッハー!燃やすぜぇ!仏恥義理だぁ!」
「……闇の炎に包まれよ!」
何だろう。多分だけどファーカインも思いっきり撃ちたいんだけど、フォヴォスが結構ハイペースで撃ってるから中々タイミングが無いんだろうなぁ……分かるよ。でもちゃんと抑えているのは偉い。今度ファーカインに何かお土産でも持っていくかな
「ぐあぁぁぁ……」
「間に合わ……」
「ちょ、壁っ……」
4方向からランダムでブレスを撃たれれば、そりゃあ回避出来ない人も出てくる。十字の壁は4方向からの攻撃に強いが、立ち位置をミスれば途端に逃げ場のない牢獄の様になってしまう。そうなったらもう防御スキルか魔法を使って何とかブレスが途絶えるまで待つしかない。でもあれだな。結構生き延びてる人は多い。なんか見た事ある様な人も見えてるからこれは想定よりもセカンドステージに上がる人は多くなるかもしれない。レイさんの準備をしておこうか
「レイさん、出番あるけど、この辺とかってどう?多分、これなら相手の射程的に届かないかなぁと思うけど」
「全部狙える。大丈夫」
戦闘エリアから少し離した位置にレイさん専用の足場を用意してそこから狙撃するプランの足場の微調整して設置。行けるかどうかはレイさん次第なのでまずは一安心。下には白武と黒武を出すからこれで一気に減らそうか
「よし、あっちはあと10秒程度で終わるな。そろそろここに立っておくか。いよいよ多数のプレイヤーとの直接戦闘だな」
フォヴォスとファーカインによる選別によって一応参加者は10、20、30……多分100人は切ってる程度までは減ってる。凄いな?ちゃんと僕が指定したくらいの人数になるように減らしてる。これ2人が全力でやってたらそれこそファーストステージで全滅か10人残るかどうかまで行ってたんじゃないだろうか?
「3、2、1、終了っと」
ファーストステージの方は砂時計にしたけど、僕の管理システムの方だとちゃんとデジタルタイマーみたいな状態なので、数値がすぐ分かる。分身しているドラゴン達も含めて、目の前に「作戦時間終了」と出して、撤退させる
「ふむ、まだ残っている奴は居るな。その者達は先に進むが良い」
「残りは次の奴らに任せるぜ!夜露死苦ぅ!」
4体は戦闘エリアから飛び去って行き、ある程度進んだ所で、パンドーラを閉じる。そうする事で二人は帰還した。代わりにレイさんと白武と黒武を呼び出す
「よし、二人は慣れない武器かもしれないけど頑張って行こう!」
「「……!」」
コクンと頷き、自信があると言っている様に見える白武と黒武。さぁ、難しいかもしれないけど、白武と黒武の能力的にあの面子相手でも出来ない事は無いハズだ。ましてや特別な能力が付いた刀も持ってるし、僕もしっかり攪乱はするつもりだし
「さぁ、来るよ。二人ともあそこに隠れて」
「「……!」」
演出の為に二人を隠す。レイさんも最初は隠れているから問題ない。入った瞬間は僕一人だけに見えているはずだ
「おやおや、お疲れの様ですね」
勿論イラつかれるのは分かっていて言っている。相手を煽って周りの注目を僕に集めて、レイさんとか白武と黒武がバレない様にしているが、正直ちょっと演出をしたいだけだ
「ここからは私もお相手しましょう。ですが、まだ報酬を受け取るには人が多いですねぇ?もう少し次の段階に行ける方を減らしましょうか」
ここでまた指パッチンをして、白武と黒武を隠れていた所から飛び出してもらう。レイさんも出て来ちゃってるけど、これは別に問題無いだろう。早速勝負と行こう!
「最低限、半分は消えてもらいましょうかね」
半分消えてもらうとは言ったけど、半分じゃ足りないのでもっと消す事になるんだけどね……
「さて、それではやりましょうか。皆さんを退屈させてはいけませんよ?」
「「……!」」
スッと白颯と黒凪を抜き、背中を合わせて片手に持った刀を参加者に向ける白武と黒武。くぅ~カッコいいなぁ!
「ぜってぇ倒す!」
「やっつけるぞ!」
「今回こそやるぞ!」
やる気に満ち溢れてるなぁ。それじゃあ、早速やるとしますか
「厄介なのは遠距離戦を仕掛けてくる人ですかねぇ?それならばあの人達を先に潰しましょうか」
まずは遠距離主体の人の数を減らしておかないとレイさんの方にも攻撃が行ってしまう可能性が高いので、可能な限り弓、杖、銃みたいな武器を持っている人を狙いにいこう
「では行きましょう。コンサートの開幕です」
戦うとは言いつつも、今回のメインは3人。僕がやることは周りの注目を集め、惑わせる事。その為にシンフォニアのギターを取り出し、弾きながら移動をする
「コンサート?」
「皆さんどうぞ楽しんでください。お代は皆さまのお命で」
範囲にしたデバフ魔法や【ミスティックミスト】の視界阻害。味方に対してのバフ魔法を振り撒きながら敵の正面に突き進む。さぁて、どのタイミングでレイさんに攻撃してもらおうかなぁ?
「くっ、体が!?」
「「……!」」
デバフによって動きが鈍っていた杖持ちの人が白武と黒武に一刀両断されていた。うん、良いね。良い連携だ!
 




