マウント師匠
「一応聞きたいのはご飯とかその辺どうなのかなって話なんだけど……」
「そんな所まで気にして頂けるんですか!?精霊とか基本は空気中の魔力を吸収するだけでも充分なのに……」
「まぁ、ご飯とか食べないならそれはそれで良いけど、じゃあ僕が何か作った時にたまに食べる?」
「それは良いかもしれません。あ、でも私こう見えて意外と吸血鬼の国で美味しい物とか食べてたので味にはうるさいですよ?まぁ、お遊びの一環として……」
なんか色々喋っていたので、放置してそのまま料理を開始。こうする事で多少僕より精霊に詳しい人も来るだろう
「よし!よし!成功!」
「うわ、ビックリした。どこから来たんですか師匠」
いきなりモルガ師匠がいつもの席の所に現れた。いつもだったら扉をバーンって開けて入ってきてたのに
「やぁやぁ、これはワープの魔法の一種だよ。飛びたい所を頭の中でイメージして飛ぶ……ワープとは基本そういう物だけど、これは違う!行きたい所の状況、自分自身の状況、全ての条件が合致していたら自動で脳内でイメージしていなくてもワープするという優れ物さ!因みにトリガーはハチ君がここで料理をする、私が暇、そして席が空いてるがトリガーさ!」
ふっふっふと足と手を組んだ状態で現れたモルガ師匠。これ、キッチンの椅子を片付けたりしたら一発でトリガー合わなくなってアウトなのでは?もしくは座席の所に人形とか置いとくとかしたら発動しなくなりそうだなぁ……いちいち扉開けるのが面倒になってついに中に自動でワープする魔法とか作って来たモルガ師匠。条件が満たされれば自動で発動は素直に凄い事なのに使う内容がショボすぎる……それ、普通にピンチになったら回復魔法とか自動で発動とかする様にした方が絶対良いと思うんだけどなぁ……
「じゃあ今度から席片付けておきますね」
「んなっ!?待って待って!そんな事されたらまた組みなおさなきゃいけなくなる!折角最速で席に着く事に特化した魔法を作ったのにぃ……」
ちょっと待って?最速で席に着く事に特化した魔法?これもしかして僕に一番近い席とかそういうところにワープするとかそういう事を条件にしたりしてるのか?だとしたら1席2席潰しただけで終わる可能性もあるじゃん……おっと、割と穴だらけかこの魔法?
「まぁまぁ、そんな事はどうでもよくて!今日の料理は何々!」
「今日は煮込み料理でも作ろうかなって思ってます。ここにせっかく圧力が加圧も減圧も出来る蓋があるから使わないのはもったいないなと思いまして」
お肉を煮込んでも良いし、ロールキャベツ的な物でも良い。ヤミィさんがなんか食べられそうな物をとりあえず作ろう。モルガ師匠は正直オマケだ
「ほほぉ、良いですね良いですねぇ!さぁ、こっちはいつでも準備万端!」
今度はマイフォークとかナイフを出して来た。ホント、食べる事には全力だなぁ……
「さぁさぁ、早く料理出てこ~い」
謎の念を送られたのでさっさと調理に戻る。まずは牛っぽい肉の煮込みからしますか!
「あれあれ?ハチ君どうしたの」
「ん?何がですか?」
「なんかなんか触手が一本迷ってるみたいだけど……いつもだったら全部迷いなく動かしてるのになんでかなって」
「ん?もしかしてヤミィさん手伝おうとしてます?料理は別に手伝わなくても良いですよ。これは僕の趣味も兼ねてる感じなんで」
「分かりましたー。それじゃあちょっと出て待ってますね」
「へ?」
モルガ師匠とは反対側の席に座ったヤミィさん。心なしかちょっとソワソワしている気がする
「さーて、それじゃあ超特急で作っちゃいますよー」
「待って待って。ハチ君?なんで精霊がここに居るの?」
「あぁ、なんか吸血鬼の国で噂を聞いてこっちに来て、僕の深淵が居心地が良いからここ間借りさせてくれみたいな感じで深淵を間借りさせてます」
あ、もしかして、今って僕がアビス様側でヤミィさんがニャラ様みたいな状態になってるのかな?それなら別に間借りさせていても問題はなさそうだな……
「うんうん、何言ってるか意味わかんないねぇ?精霊に間借りさせるとかこの一番弟子はマジでなに言っちゃってるんだろうねぇ?」
「じゃあ師匠ももう少し師匠らしくして欲しいんですけどねぇ?」
もう本当に呼び方として師匠と呼ぶのに慣れちゃったから師匠と呼んでるけど、師匠感はほぼ無いんだよなぁ……
「分かった分かった。そこまで言うのならハチ君に師匠らしい所を見せてやろうじゃないか!まぁ、その前にご飯は貰うけどね!」
うーん……イベント前の強化になる可能性もあるから口からでまかせの可能性もあるけど、まぁ良いか
「分かりました。期待はしてませんが、師匠らしい所を見せてもらえるなら応援はしますよ」
正直大した事じゃない可能性は高いけど、やる気を出してるなら乗るのもありかな
「美味しそうですねぇ……」
「おやおや、君はハチ君の料理を見るのは初めてかな?この料理は凄いんだよ。神様だって満足しちゃう料理さ!」
「神様もですか!それは凄い」
「ちなみにちなみに、このハチ君の料理をもっとも食べているのは私と言っても過言では無い!なんといっても、ハチ君の師匠だからね!」
なんでそんな事でマウント取ってるんですかねぇ……
 




