親バカ
「よし、割と形になったね」
「「……!」」
「アイヤー、今のはいったい……人間離れしてるノネ~?」
「2人に合わせるのに必死ですよ。でも、3人でも連携は取れるのが分かったので、良い収穫です」
遠巻きながら他の4人の鍛冶師が見てるのもなんとなく視界の端で捉えているけど、口をあんぐり開けている。まぁ、僕達にとっては割と普通な事でも、他の人からみたらビックリする様な事もあるだろう。ちょっと深淵触手を使った連携だったから普通の人は深淵は操れないし
「ふむふむ……今のを見てるとちょっとだけアイデアが浮かんだノネ~。早速他の皆と相談してくるノネ~」
「あ、はーい」
試し切り会場に置いて行かれてしまったが、多分これはもう帰っても良いよね?
「帰ろっか。よし、じゃあ刀を持って」
「「……!」」
2人でカサネガサネを持って左手でサムズアップしてくる。この空気感良いなぁ
「ふぅ……日差しがまぶしいぜぇ」
「「……」」
2人も僕の真似をするように目元を太陽から隠す様な動作をする。冥界から帰ってきてこういう事もノリノリで出来るのだから大分馴染んで来たよなぁ
「まずは僕の深淵の中にこの刀が持ち込めるかどうかだな」
最後は深淵空間での勝負にする予定だから問題はこの刀が深淵空間に持ち込めるのかどうか。持ち込んで設置出来ないのであれば誰かにあとで刀を深淵空間に投げ込んでもらう事になるかな?
「とりあえず試してみるか。よーし、まずは城に帰ろう」
深淵に入るのはあんまり人に見せたくないから城に戻る
「わぁ、なんか可愛い」
「あれは……指揮官とめちゃつよ白黒コンビじゃん」
城に向かう最中に話が聞こえてきたけど、なにその頭悪そうなネーミングは……
「あ、めちゃつよ白黒コンビだ!」
「ホントだ!めちゃつよ白黒コンビ!」
なんでその名前で通ってるんですかねぇ……しかも2人とも手を振ったりしてるし、その命名で人気とかも出てるのか?
「誰が決めたんだろう……ん?」
つんつんと足を突かれたので後ろを見てみたら白武がホワイトボードを見せて来た
『じぶんたち、おぼえてもらうためにきめた』
「おぉ!そうかそうか!偉い!偉いぞ!確かに自分たちの名前を知らせるのも良いけど、分かりやすい名称を広めるのは凄く偉い!」
めちゃつよ白黒コンビ?これ以上分かりやすくて良い名前がある物か!素晴らしいネーミングセンスだ!
「指揮官って結構親バカッ気があるというか……」
「褒めて伸ばすとかめちゃええやん」
「いやぁ、良いっすねぇ……」
周りの評価とかはもうどうでも良い。白武と黒武が喜んでるならそれで良い
「とりあえず、持ち込めるかどうかのチェックにはその辺の紅茶のカップとかで良いかな」
調べるにしてもまだ無くなっても問題ない物で調査しないと。これで一発勝負で刀を深淵空間に入れておいて、いざ最終決戦になった時に「あれ、刀どこに行った?」なんて事になったらまずいからその辺をしっかり調べておかなければ
「よし、それじゃあ早速やってみよう!深淵展開!」
気持ち的に深淵の覗き穴をイメージして入口を作る。中に入ってみるとちゃんと戦闘が出来る様にフィールドが出来てるから深淵空間を作るのは結構慣れて来たかもしれない。いや、深淵空間を作るというより、僕の深淵の貯蔵庫?みたいな所に行く感じだから空間を作るとは違うな
「よし、それじゃあカップを置いてみるか」
深淵の中に紅茶のカップを置いて、一度深淵を閉じる
「そしてもう一回オープン!」
深淵の入口をもう一度開く。これでどうなるか……
「おっあるある。やっぱりこの空間は別マップみたいな感じでそこへの入口を作ってるに過ぎないのかな?」
入口が変わるだけで、到達する場所は別に変らないのであれば、刀を置いても問題なさそうだな
「これなら刀を置いても問題なさそうだ。よし、カサネガサネを置いて行こう」
これで最終決戦のフィールドも作れたし、報酬も作れた。しかも、良い感じにこの空間の黒とマッチしてるから、一見発見し辛いのもかなり良い。戦闘中に偶然見つけるなんてシチュエーションもアリだな……2人との連携も出来るからセカンドステージでの篩落としも割と苛烈にやっても良いかな?
「もうそれこそ、桁を落としていくレベルで削った方が良いよな……最初のエリアの突破は2~30人。2つ目のエリア突破は10人程度で3つ目で最終戦っぽい感じで戦って撤退。宝剣と穴を作って、穴に気が付いた人だけがラストの完全に僕の超有利エリアでの戦闘。誰か1人だけがカサネガサネを入手出来るくらいが良いか」
報酬が欲しいだけの人なら僕が撤退した段階で宝剣の方に残ると思うけど、宝剣は1つしかないからそこで取り合いになったらバトルしてもらおう。んで、僕の方に来たなら僕も死力を尽くして残り人数が1人になるまで誰でも良いから倒して回ろう。カサネガサネを見つけたらここまで来て弱ってるし、その人に切られて終わりでも良いかも
「こうして考えると運営として報酬アイテムの用意をするって凄い大変だなぁ……運営って偉いな」
結局の所、僕が出せる報酬アイテムは2人にしか渡せない。他の頑張った人への報酬はチェルシーさんに頑張ってもらおう!




