アイデアを形に
「メロにゃんさんが服を仕上げるまで待ってとは言った物の……新しい案が浮かんじゃったからどうしようか……」
新しい案を採用するにもまた日数が掛かる可能性がある。後日送りつけるみたいな事にするにしても、それなら最後の最後までやって来た人が知らない人だった場合はメッセージ機能とか使って物を送り付けるとかも出来ない。知り合いが残っていたとしても、やっぱりその時のテンションを大事にしたいから「後で送るね~」はあまりしたくない……
「終わったわよ。こんな感じで良いかしら?」
「おー!良い球体。ありがとう。これなら球として使えるよ」
「ふふん」
で、現在はビリヤードの台と球。一応キューも作りながら皆を磨いている最中だ。そして磨き終わったストリがなんか手伝うと言って来たので、深淵を貸して触手を使って木材を球にしてもらっている
「はい、レジー終わったよ」
「くぅ~!磨いてもらうとか最初はどうでも良いと思ってたけど、このさっぱり感は最高だぜ」
まぁ、元が枷だからなぁ……指輪とかと違って清潔と言うか綺麗な状態とか本当に作られたばかりの時とかだけじゃないだろうか?
「イドラは楽だなぁ?」
「ん、スッキリ。おやすみ」
イドラは香水の瓶を磨くだけなので指輪やら枷と違ってあっという間に磨き終わる。そしてスッキリした所でおやすみだ。まぁおやすみと言っても、普通に受け答えはしてくれるんだけどね?
「さて、最後にやりますか」
モノさんはしっかり丁寧に。10円玉みたいにお酢につけてとかそんな事は出来ない。しっかり手作業でやらせていただきます
「ハチ、あなた本当どうなってるの?しっかりコインを磨きながら触手でビリヤード台を作るって……」
「訓練のお陰かなぁ?深淵での訓練のお陰で精神面的な方が大分強くなったと思うからね」
数値的な強さでは無く、実際の僕自身の精神面的強さはかなり強くなった気がしてる。元々両親のお陰でポジティブ思考で物事は考える様にしてたけど、深淵の訓練というか特訓で、自身をピンチに追い込んで乗り越える為に努力や工夫する楽しさを覚えたから、精神的に強いというか辛いと思う事も乗り越える為の障害物に見えてそれを超える為の努力が楽しいから辛い事が無くなった?のかもしれない。どんな事もやっぱり考え方次第かもしれないな
「本当に不思議ねぇ?でも、こういうのがたまに現れるのが人間なのかしら?」
「どうかなぁ?人間じゃないとかよく言われるけど、僕は人間である事が一番良いと思うけどなぁ……」
下手にここまで来て、半神とか、獣人みたいなのになっちゃったらなんか進化の方向性とかが狭くなっちゃう気がして人からの進化みたいなのは出来れば避けたい。進化の方向性は可能な限り沢山用意して、その中からなりたい物を選ぶのが僕としては良い。決められた進化は面白くない
「どんな存在だとしても、まずはどう生きるか。それが大事じゃないかな?同じ人間だって生き方が違えば善人にもなるし、悪人にもなる。それは別に人に限った話じゃないと思うんだ」
兎だろうと鶏だろうと、ドラゴンだろうと生き方が違うから全員同じではない訳で、住む場所に適応したり、周りの敵に対して反抗出来るようになったりするんじゃないかな?
「まぁ、私達もそう言われるとそうかもしれないわ」
凶具だってどんなアイテムを素にして、どんな感情を込めるかなどでまさに千差万別だろう。そんな中の1つである皆が僕の所に来てくれただけで、もしかしたら僕以外にも凶具を集めている人だっているかもしれないし、僕とは仲良くなれない凶具だってあるかもしれない。こればっかりはもう運でしかない
「これからもよろしく頼むよストリ。それに皆もね」
人々に恐れられる凶具達だって、僕にとっては戦闘能力の中核を成す存在だ。これからも仲良くしてもらえないとこっちの方が困っちゃうんだよなぁ
「もちろん」
「わーってるっつーの!」
「ん、ハチの所が一番良い」
「ウチのご主人様は怖いわねぇ?みーんな仲間に引き込んじゃうんだから!」
「皆じゃないよ。気に入った存在だけ」
もちろん、気に入っていても生活があるだろうから空島に連れてこようとしない人だって居る。僕はあくまで提案者で、来るかどうかを決めるのは自己責任。そうやってここまで空島に沢山色んな存在がやってきてるんだ
「とりあえずあとは塗装かなぁ……こっちは磨き終わりっと。よーし、じゃあダメ元で一旦頼みに行ってみるか!」
ビリヤード台の大まかな形は出来たけど、流石に色も何も塗ってないので、ちょっと味気ない。色塗りはまた今度やるとして、今は行けるかどうかの瀬戸際な武器の方を確認しに行ってみよう。あの剣より良い物とかあれば良いけど……無いよなぁ
「すみません。やってますかー」
「あぁん?なんじゃドンドン騒々しい……おぉ!?お前さんは」
「使ってみての使用感やら作っていただいたお礼とかの諸々含めてやってきました。中に入っても?」
「おう、入れ入れ!おーい!ハチが来たぞー!」
そういう風に言われるとなんだか襲撃してるように聞こえるなぁ……




