衣装注文
「メロにゃんさーん、居ますかー?」
「あら~、ハッちゃんじゃない?どうかしたの?」
メロにゃんさんのお店に入ってみたら、なんとなく店のレイアウトとかが変わってる気がする。あー、なんかお高めの服とかを飾るショーケースみたいな物が増えてるなぁ
「いえ、少し服に関してご相談がありまして……結構大変なお仕事になりそうなので、信頼出来るのがメロにゃんさんしか僕知らなくて……」
「あらあらぁ~嬉しい事言ってくれるじゃない?それで、どんな依頼なの?」
「ちょっとだけ店の奥で待ってもらって良いですか?」
あの4人を呼び出す所を見られるのはちょっとまだ公開には早い気がしたので、メロにゃんさんには一旦、店の奥に戻ってもらってその隙に4人を出す
「ん、何するの?」
「服なんざこれで充分だっつーの!」
「また何かおめかしして私達に感想を聞きたいのかしら?」
「ん、眠い」
ストリがちょっと惜しいな
「とりあえず、これで待ってて。メロにゃんさんもう良いですよー」
「はいはーい。あら?随分人数が増えたわね?」
「ちょっとこの子達に和風テイストな服を着せてあげたいんですけど、色々と問題があって……」
「この前のドラゴンちゃんに着せる特攻服だって作り切ったのだから今回だって頑張るわよ!」
あの特攻服だって結構作るの大変な代物だったと思うのに、今回もまた難しい依頼を持ってきちゃったなぁ……
「すみません、毎回大変な物を……」
「良いのよ。正直まだまだだとは思うけど、職人として難しい仕事なほど燃えるわ。和風テイストな衣装4着の他にどんな条件があるのかしら?」
「えっとですね。人型とそうでない姿に変身可能。戦闘を考慮しますが、前衛はこの子達2人で、こっち2人は後衛。ステータスや特殊な能力は必要なく、見た目だけ和風テイストな姿にしたい。こんな所ですかね」
やっぱり姿が変わってしまうからそこに対応するのが難しいだろう
「なるほどね。気分転換みたいな物で、服装の見た目だけ変えたいって事ね?」
「まぁ、そんな感じですね」
性能向上とかは別に良い。一番はこの4人を最終ステージに立ってもらった時に目立たせたい
「ハッちゃんの言う姿が変わるって言うのは、この前のドラゴンちゃんみたいに人からそのまま大きくなるとか小さくなる感じかしら?それとも、意思のある武器みたいな物にまるで違う物から人に変身する形かしら?」
「それでいうと、後者の方ですね。というかやっぱりあるんだ。そういう意思のある武器みたいなの……」
「前に一度そういう武器を持ってる人がウチに来たわ。もちろんその人の要望にもウチは答えたわ!だからハッちゃん。安心して良いわよ。ここはそういうお客様の声にもお答え出来るわ」
意思のある武器の話も気にはなるけど、メロにゃんさんなら4人の服を作れるのか。これは楽しみだ
「ではまた雲毛とか素材を送ります。あと、今回はチェルシーさんのイベントで使用する為に用意するって事なんで、技術料はチェルシーさんが払ってくれますので、後で交渉のほどお願いします」
「分かったわ。和風テイストって言うのは分かったけど、他にデザインについて何か要望はあるかしら?」
簡潔に交渉の返事をして、デザインの追加要望が無いか聞いてくる辺りお金よりもまずはやりたい仕事な感じ?こういう打ち込める人は凄く信用出来る
「いえ、下手に口出しするよりあとはメロにゃんさんに任せた方が良い物が出来ると思うので、そこはお任せします」
和風テイストさえ守ってもらえれば統一感が崩れないので、それだけで充分だ
「じゃ、行くわよ~?」
その後4人が気が付いた時には採寸が全て終わっていた。採寸がこの前よりも早くなってる……
「今の、なに?」
「な、なんて速さだ……むかつくぜ」
「今の……採寸されたの!?あの一瞬で!?」
「ん、お休みぃ」
皆も採寸の速度に驚いているみたいだ
「今から超特急で作業を進めるわ。終わったらすぐに連絡するからその時はまた4人を連れてきてくれたらすぐに着せてあげる事が出来るはずよ」
「分かりました。お願いします!」
メロにゃんさんに依頼は済んだからこれで待っていれば4人分の衣装が出来る。一度空島に戻って集まってる雲毛をメロにゃんさんに送っておこう
「よし、これで一旦準備は終了かな?となると、あとは待つだけになるけど……それじゃあ面白くない。レベルが上がらない程度に訓練させてもらえるかな?」
というか、僕が覗き穴で連れていかれるんじゃなくて、こっちから深淵に繋げて向こうに行く事は可能なのかな?気になったし、何処か人目のつかない所で挑戦してみよう
「さて、アビス様の所に繋がるかな?繋がらなくても多分、僕の深淵の中に入っていくだけになるだろうからそれはある意味自主練みたいなのが出来るかもしれない」
どっちにしても僕にとっては嬉しいからここは臆さず進むしかない。さぁ、この穴の向こうに待ち構えているのはアビス様達なのか、それとも他の何かが居るのか……いざ行かん!
 




