おめかし準備
「とりあえず難易度的にはどんな感じですかね?」
「今のを躱せないなら死あるのみですね」
「大分やべぇ事言ってますねぇ?」
ボス戦でトラップに引っかかったらそりゃあ死ぬか致命傷不可避だろう。チェルシーさんがもしかしたら普通に参加者として参加するかもしれないからあんまりネタバレはしない様にする為にここのトラップの詳細とかは隠しておこう
「んー、これ告知に関してはどうしましょうかねぇ……本気の魔王と戦える?いや、それよりも極限チャレンジ?いや、今が極限だとこれ以上ハチさんが進化したときに何が極限じゃいとか言われかねないから、普通に魔王に挑めとかが良いかな」
なんだか告知について悩んでるみたいだ。こっちはおもてなしの為にまだ色々考えられそうだからそっちまで考えを巡らせられないので頑張れ
「チェルシーさんはどうするんです?参加するつもりならまだ色々弄る予定があるので、見ない方が良いと思いますが」
「普通に実況的なのしようかと思ってますね」
実況か。そうなるとどういう物があるか紹介した方が良いのかな
「事前説明とか必要ですか?」
「いえ、実況するなら初見と決めてますので!」
なるほどね。初見実況プレイとかそういうタイプか。解説する系の実況じゃなく、ライブ感の方を優先するから後で見返した時とかにその時の空気感を味わえるみたいな
「んじゃ、実況向けにもう少しだけ変えておきますかね」
「配慮あざっす!」
折角なら最終ステージとか味気ないステージじゃない方が良いだろう。1ステージ目と2ステージ目はもう完全に人を減らす為だけのエリアで味気なくて良いけど、実況をするというのなら最終ステージくらいは見栄えを考慮した方が今までと違うからラストの雰囲気みたいなのも感じられるだろう
「ラスト……そうだなぁ。魔王城的なのも良いんだけど、最後は逆に和のテイストを入れても良いかもしれないな」
魔王って言葉だけ聞いてると例外は居るけど、基本的には僕の中では洋風なイメージだ。なので、それを崩すというか、外して和風テイストなラストにすれば意外と実況映えはするんじゃないかな?
「となると、和装の方が良いか。和装のボスかぁ……なんか上裸のイメージだなぁ」
「へっ!?」
和風なゲームのラスボスとか基本は普通の人型じゃなく、なんか鬼の力とか、邪悪な魂がーとかで妖怪の力を取り込んでたりして、腕増えたり妖術使ったりして上半身裸で戦闘するイメージだ。上半身裸で戦闘かぁ……いやまぁ、空気を肌で感じるって面では一番だろうけど、あんまり人に肌を晒して戦闘はしたくないな
「お願いします!どうかお願いします!その案でお願いします!」
「な、なんですか?」
なんか急に土下座し始めたチェルシーさん。いきなりだったのでちょっと怖い
「和風テイストなエリアで最後の戦闘なんですよねぇ!?ラスボスは上裸!これはもう基本!これはもうイベントのラストとしては最高だと思います!」
「あ、はい……」
熱の入り方がちょっと怖いなぁ?
「じゃ、基本はそういう方面で行こうと思います」
「どうかおなしゃす!」
なんかここでやっぱ辞めますとは言えないので、とりあえずその方向性で行こう。でも、そうなると出来ればおめかしをしたい所だし、ここはちょっと素材を持ち込んで交渉と行きますか
「それじゃあちょっとメロにゃんさんの所に行って服を作りたいと思うんですが、材料はこっちが出すとして、イベントを盛り上げる為の費用みたいな感じで代わりにチェルシーさんがメロにゃんさんにお金を出して頂いても良いですかね?必要経費ってやつです」
「まぁ、そのくらいなら良いですけど」
メロにゃんさんの作る服は凄いからその技術に対してお金は払いたい。でも、僕じゃ払えないから代わりに払ってもらう。他の人が使える物を作ってそれに便乗するのとは違うからこういう所は可能な限り敬意を払いたい
「メロにゃんさんにいくら掛かるか交渉はそちらでお願いします」
「また何かハチさんの恰好が増えるんですかね?」
「どうでしょうかねぇ?」
今回お願いするのは僕の服じゃないからね
「とりあえずイベントは最低限メロにゃんさんが服を作ってからって事になりますかね?」
「分かりました。他の準備はそれまでに終わるという事であれば、日程は割と早めに組んでも問題なさそうですね」
という事はそっちの準備もほぼ終わってるのかな?
「今回はハチさんのお陰で大分稼げそうな雰囲気があるので、メロにゃんさんへの支払いが多少多くなっても問題ありません!うひひひひ……」
おうおう、また悪い顔してるなぁ?
「んじゃ、急いでメロにゃんさんの所に行きますね」
「いってらっしゃーい」
よし、それじゃあファステリアスのメロにゃんさんの店にレッツゴー!
「なんじゃこりゃ……」
久々にファステリアスに来たら、なんかポスターが貼ってあった
『いざ魔王討伐! 近日開催!(参加者の日程調整中)参加したい方はイベント主催チェルシーまで』
ほぼシルエットだけど、僕が載ってるポスターだ。こんなものまで作ってたのか
「ここまでしてもらってるなら僕も手を抜けないな。よーし、急げ急げ~」
メロにゃんさんに4人の衣装を作ってもらわないと!




