第二上限解放
「最近と言うか、僕の最終到達点的な物として、ニャラ様には色々されていつかお仕置きしたいなと思ってるんで、ここでニャラ様の力を借りて強くなるのはちょっと違うなって。だから今はレベル上限だけを上げる為に2人の力を利用させて欲しいなって」
「「はっはっは!」」
おっと?まさかのアビス様も笑う?
「良い!実に良い!己の強さの為に我らを利用してやろうという気概!実に良い!」
「ボクをお仕置きぃ?今までの扱いでそんな面白そうな事を思いつくんならやれるものならやってみろって思っちゃうねぇ!良いよ!その提案乗った!」
『レベル上限が解放されました』
頭の中に聞こえるシステム音声。どうやら僕は強制されそうになった職業進化を躱せたみたいだ。にしても、ニャラ様には絶対に今までのお礼をしてやるぞ……
「ありがとうございます。これで僕はまだ可能性が広いまま強くなれます」
どんな物か分からない職を避けて一番最初の職で第二限界を突破出来た。もうここまで来たら最後まで補助術士と心中する覚悟で進んでみたい。【ニャラノイド】も【アビスウォーカー】も多分ユニークな職である事に変わりはないけど、補助術士みたいなメリットデメリットがあるかどうかも分かってないし、何よりこれで武器が使える様になったとしても、今更武器を持つのもねぇ……?
「さぁ、力は貸したよハチ君。いつかお仕置きしてくれよ?」
「あぁ、コイツには遠慮なくお仕置きしてやれ」
「はい!頑張ってニャラ様をボコれるくらいになれるように頑張ります!」
「はっはっは、こいつめぇ!」
「ぐへぇ!?」
ニャラ様がこっちに手を伸ばし、デコピンをしてきた。まぁデコピンと言っても今のニャラ様のサイズはかなり大きく、掌の上に僕とか余裕で乗れちゃうレベルなので全身にものすごい衝撃を受けて奈落の外まで弾き出された。これ絶対今の力の差みたいなのを見せつけに来てたなぁ?
「いてててて……結構強めにやったなぁ?」
とにかく今はチェルシーさんのイベントがいつ始まっても良いくらい準備を整えないと。という訳で……
「いつものあそこに行きますか!」
まだ試していない新たな力もあるし、お試しに行きますかねぇ
「やぁやぁ、オーブさん。今日もまたよろしくお願いしますよ?」
「ハチ様いらっしゃいませ。おや?レベル上限を突破されたのですね。おめでとうございます」
「ありがとうございます。とりあえず今日は……一旦遠距離攻撃で良いかな?」
調べたい魔法は新たに手に入れた【エリアディストーション】がどういう物かをお試しだ!
「とりあえず展開してみるか。【エリアディストーション】」
なんかギターっぽい音がなったと思ったら僕の周囲3mに何やら水の膜みたいな物が張られた。これが発動エリアか
「まずは普通にこっちに遠距離攻撃してみてください」
「では、発射します」
マネキンさんが弓を構えて矢を放つ。さて、どんな挙動になるかな?
「ほほぉ?こういう感じなのか。となると狙いが正確なら正確なほど僕に当てられなくなるのか」
気持ち的にはコップにスプーンとか入れた時みたいに光の屈折した感じだろうか?このエリアに攻撃が入って来た瞬間攻撃が曲がって、ただ立っているだけなのに遠距離攻撃が僕を勝手に避けていく感じだろうか
「全方位からの攻撃があの膜を通った瞬間に屈折して攻撃が曲がるとしたら、別に全方位である必要はないよな……となると」
インベントリから1つのアイテムを取り出す。これがあればもっと使いやすくなるはずだ
「シンフォニアで直線に……」
折角ギターっぽい音が出るのであれば、ギターの形にして【エリアディストーション】を発動する。今回は直線状にして発動する。これで【エリアディストーション】は半径3mの範囲では無く、直線の壁状になるはず……
「おー、水の壁みたいになった。これでもちゃんと発動するかな?」
これでちゃんと発動するなら【精神防壁】みたいな完全シャットダウンとは違う守り方も出来る訳だ
「もう一度お願いします」
「では行きます」
壁状の【エリアディストーション】を通して攻撃してもらう。これでどうなるか……
「おぉ!ちゃんとズレてる!これなら結構な範囲を守れるぞ」
【エリアディストーション】の形を変える事で敵が正確な攻撃をしようとした場合は攻撃地点がズレるので腕が良い人程、攻撃が当たらないというあべこべな性能の防御手段を得た
「あ、そう言えばこっちから攻撃してなかった。ちょっと一旦普通の方を使って確認しよう」
あの膜を超えた攻撃がズレるとするならその内側に居る僕の攻撃がどうなるかを確認してなかった。これもしっかり確認しておかないといざ決めるって場面で僕の攻撃が外れるなんて事になりかねない
「ほほー、これはまた面白い結果になったなぁ」
検証結果としては通常の【エリアディストーション】の中からの攻撃は普通に場所がズレずに攻撃出来るけど、壁状の【スクリーンディストーション】とでも言うべき物だとどっちからの攻撃もズレるという結果になった。しかもズレが通常の【エリアディストーション】よりも大きかったので、防御目的だけならスクリーンの方が良さそうと言うのも分かった
「出し方によって一方的な攻撃チャンスの獲得と範囲防御の選択が出来るのは凄いですね」
「やっぱりシンフォニアの発動形態の変化が強いなぁ」
あの2つの進化のどちらかを選んでいたら、こういう多彩な事が出来なかったかもしれない。やっぱり職の選択に後悔はないな




