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1210/2015

ちょっとした昔話

「にしても、このままだと2人の健康が心配になるからこれは少しアレンジしよう」

 コンフィの方は正直調理法だから変えるのは難しいけど、フレンチトーストの方ならまだ多少は誤魔化しが出来ると思う。そうだな……食材とかを取ってくる為にも2人にはここで少し待っていてもらいたいな


「ごめん、ちょっと食材取ってくるから少し待っててくれる?あと、そのレシピ本ってそのまま食べられる物って結構少ないからこっちでアレンジするけど、問題無いよね?」

「まぁまぁ、ハチ君が作る物ならマズイ事は無いだろうから良いよ。でも、虫を入れるのはダメだよ!」

 この前の脅しみたいなのが効いてるなぁ……


「今回は流石に入れませんよ。だって今回は虫料理じゃないですし。んじゃちょっと足りない食材取りに行ってきます!」

 とりあえずはこの前無人島で取って来た苗木とかそれなりに成長してるだろうし、ワリアさんに聞いてみよう




「おっ、やってますね。ワリアさん」

「おう、ハチ。どうした?」

「この前取って来た苗木とかどうなってるかなぁって、ちょっと新しい料理の為に新しい食材とか出来てないかなぁと思いまして」

 何かあるかなぁ?


「そういう事なら丁度良い。俺もその食事会に混ぜてくれるなら食材を提供するぜ?」

 おっと、ワリアさんが城に来るのか。それならもう1品増やす事になるけど、問題ないな。多分、今更骸骨が街中を歩いていたとしても、僕と一緒なら問題ないだろう


「良いですよ。甘い物ですけど良いですか?」

「甘い物は好きだから良いぜ。それに、たまにはハチの料理の腕を見たいしな!」

 ワリアさんに料理で勝つって話もあるし、ある意味途中経過を見てもらう為にもむしろ食べてもらいたい


「オッケーです。それで、この前ここに持ち込んだ苗とかどうなってます?」

「おう!もういい感じに成長してるぜ?もう採取しても大丈夫な頃合いだぜ!」

 さて、いったいどんな物が出来たのか……


「わぁ!バナナだ!こっちはもも?おぉ!パイナップルっぽいのもある!」

 若干金色のシュガースポット的な物があるバナナ。ハンドボールくらいのサイズ感のもも。外皮が銀みたいな色合いのパイナップル。あの無人島で取って来た物をこの島で育てた結果、こんな感じに育ったみたいだ


「これ、1つずつ貰っても良いですか?ちょっとイメージが湧いたんで」

「ほう?良いぜ。他の物も見ていくと良い」

「そうさせてもらいます」

 新しい物が無いか探してみよう!


「え、なんだこれ?」

 何というか葉っぱの形が泡立て器みたいな植物を見つけた。ワリアさんの性格的にも雑草は許さんって全部刈ってそうだし、これも向こうから持ってきた植物かな


「あぁ、ソイツか。それは単体では食べられないんだが、その葉で何かしらを混ぜると葉から何らかの成分が出てるみたいで、凄いまろやかになるんだよ。まぁ一度使うとしなしなになって使えなくなるんだがな」

 つまり野生の一回だけ使える泡立て器で間違いはない。これを使えば牛乳からホイップクリームとか直で作ったり出来ないかな?


「とりあえずこれも数本貰って良いですか?これはなんだか使えそうな気がします」

「あぁ。もってけもってけ!」

 これを使って上手くホイップクリームでも作れれば良いんだけど、まずはお試しだな


「なるほど、結構面白そうな植物が多いですね。これも、これも……色々と使えそうな物がいっぱいです!」

 なんとなくだけど、使い切りの木べらとか包丁になりそうな葉っぱがある。これを使えばこう、葉っぱのエキス的な物が料理を更に美味しくするかもしれないな


「まぁまずはこれ単体での味も気になるからちょっと齧ってみるか」

 料理に使う為にも毒性と言うかその辺を少し確かめてみよう


「んー……苦い!葉っぱ特有の苦みだな。これを食材として使うのはちょっと厳しいかも?」

 ほうれん草とかチンゲン菜みたいな食べる為の物とは違う苦みだなぁ……


「まぁでもやり方によっては食べられるかもしれない味だな」

 トマトの葉っぱの天ぷらとかあるんだからこれも食べられる可能性は充分にあるな


「なんだか懐かしくなるぜ」

「ん?懐かしい?」

「俺も昔は色々と喰ってみたもんだ。世の中どんな食い物があるのか己の好奇心のままにな」

 ワリアさんは骨になる前は勇者だったんじゃないか説があるけど、案外食べたい物を探すついでに魔物とか倒してたら勇者って呼ばれる様になってたのかもしれないよなぁ。詳しい事は聞かないけどね


「ハチも好奇心でそういう事をするんだろう?」

「はい!ある意味僕の1番の原動力ですから」

 人によっては誰かに認められたいとかが一番なのかもしれないけど、僕は僕が気になった事を知りたい。見てみたい。確かめたい。そして理解したい。そう動いて来たから今まで色んな発見があったと思う


「体験するのは大事だが、多少は気を付けろよ?物によっては毒、ないしは棘なんか生えてたりして大変な事になるぞ?昔試しに喰ったあの葉っぱはマジでヤバかったからな。ギンピ……なんだったか名前は忘れたけど、あの時エリクシルが無かったらマジで気が狂いそうな痛みで自分で死んでたかもしれん」

 なんだろう。テレビでチラッと見た気がするけど、スーサイドプラント(自殺植物)とかいう奴では?2、3週間は激痛で2年くらい痛みが取れないとかいうとんでもない植物をワリアさん食べたの?やばぁ……



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― 新着の感想 ―
[一言] 勇者ってそういう…無謀系ユーチューバーみたいな称号なのね?(誤解)
[一言] まあ毒性ってのは旨味成分だしなぁ極論。 毒を克服するというのはある意味料理の極致なのやもしれん
[一言] 野生の調理器具がなっているのは凄くシュール…… ワリアさんがひとりで街を歩くとめっちゃざわつかれるけど、ハチ君と一緒だと、まぁハチ君だしな、で納得されてすぐに静かになりそう
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