禁書獲得
「うーん、そうだなぁ……」
「出来れば持っていかれて欲しくないから拒否はしたい所だが……」
禁書の中から1冊を選んでいる最中だけど、なんか攻撃魔法に関してとかそんなのばかりでまるで興味ないからマジで困る。攻撃魔法の禁書なんてあっても使い道が無いから何とか少しでも僕に役に立ちそうな禁書を探したい
「ん?これは?」
何か他の禁書達とも比べて何かテイストが違うような気がする
「その本は……確か、女性にとっての悪夢の本とかそういう話だった気がするな」
「女性にとっての悪夢の本……まぁ、間違いではなさそうだなぁ」
僕が手に取った本。それは……
「この、『お菓子レシピ集』を貰っても良いですかね?」
その本のタイトルは『お菓子レシピ集』どう見ても他の禁書の中でも浮いていたこの1冊。他は全てを破壊する能力とか、心を操るだとか色々と物騒な文言が並んでいたけど、これは違う。多分これを見て作った料理で太ってしまった人が大量に出たとかで禁書にでもなったんだろうか?これは禁書の理由が気になる
「それか。まぁ他のに比べたらまだマシか……これに関しては割と中毒性がある料理ばかり載っているから誰かしら見たことがあると言われている。ただそれはこのレシピから見た目だけを真似た物が大半であると言われている」
「それ、禁書の中身漏れてません?」
禁書のクセに内容が漏れているってそれは封じられていると言って良いのだろうか?
「これはこの禁書の力と言われていて、本が自身の存在を忘れられない様に禁書に乗せる程でもない料理のレシピがたまに現世で流行るんだ。それが人に受けるかどうかは分からないけどね」
たまにレシピが増えたりするって事かな?
「その禁書の能力は周囲のMPを消費してって事なのか、それとも本に触れた人からMPを吸って……みたいな物かな」
「それは周囲にある魔力なら何でも構わず吸う」
「なるほど」
敵のMPを奪って回復阻害とか考えたけど、多分これそこまで大した量は吸えないだろう。まぁあれだ。最近扱いが悪くなってるモルガ師匠にまたお菓子とか作ってあげるにしてもレパートリーとか増やせればいいなって思って選んだし、使えなくても、正直このくらいの禁書なら外に漏れても問題ないだろう
「じゃあこれ、ください」
「分かった。教頭権限でその禁書は贈呈しよう。ただ、一度で良いからもしそのレシピの中で私でも食べられそうな物があったら是非とも呼んで欲しい」
そんなんで良いのか……心配になるな
「分かりました。機会があれば……それじゃあお菓子レシピ集ゲット!」
『お菓子レシピ集 を入手しました』
『お菓子レシピ集 様々なお菓子のレシピが乗っている。人間向け以外の物も掲載されており、たまにとんでもない物が掲載されている事がある』
「どれどれ……あぁ、これは罪深いですねぇ……」
砂糖とバターがふんだんに使われているレシピが目に入ってくる。これは罪作りなレシピ集だ。絶対美味しいけど、カロリーもそれに伴って爆増しちゃうな。これを毎日食べていたら……そりゃあ罪作りなわがままボディが完成しちゃうわ
「これはどうしよう……師匠に出しても大丈夫かな……」
このハイカロリーお菓子を作ってモルガ師匠に渡した場合。モルガ師匠が太ってしまう可能性がある為、不用意に出せない。あの師匠は1つ食べたら即座にお代わりを言ってくるタイプだからどうにかしても太る可能性がひっじょうに高い
「いや、このレシピ自体はハイカロリーで美味しいのは約束されてるのかもしれないけど、これをレシピ通りで作るんじゃなくて、僕の方で調節すれば良いのか」
カロリーが高くなるならカロリーを減らす様に僕が努力すれば問題なく食べられる料理になりそうだな
「レシピ通りに作るとアウトって中々難しいレシピだなぁ?」
分量とか、入れる物を調節したら普通に良い物作れそうな気はしてくるが……それにしてもこれでもか!ってくらい砂糖とバターが多い。下手するとこれは宮廷とかそういう場所で出すくらいの物なのではないだろうか……
「ん-……ん?むむっ?」
これ、多分プリンのレシピな気がするけど……なんか分量おかしくないか?
「卵と牛乳は普通だけど、やっぱり砂糖が異常じゃないかな?」
半分くらい砂糖な気がするんですが……これ本当にレシピ合ってるのか?
「罪なレシピ……いや、これ人間用じゃないな?」
レシピをきちんと見てみたら、ページの右下辺りに擦れた文字で多分ドワーフ向けって書いてる。そりゃあこれを人間相手に出したらダメなレシピよな。なるほど、他種族向けに色々作ったレシピが全部人向けに作ったらそりゃあね……
「色んな種族に最適なレシピが載っているっていうキモの部分を見逃してたらそりゃあ食べさせられた人から恨まれてもおかしくないよねぇ」
世界一のシェフが作った独創的な料理が独創的すぎてあんまり美味しくなくても、これが世界一の味と言われたら納得するしかない様に、このレシピを勘違いしたまま使って食べてた人達は結構大変だったよな……そういうのが積み重なってこのレシピを使ってはならないみたいな感じで禁書になったのかなぁ。でもこれをしっかり読み解けば人が食べやすい物に直す事も出来るし、レシピを見て味が想像出来ればその種族がどういった物が好きなのか知る事が出来そうだな




