法外な報酬
「どうしてここに君が居るんだい?」
生徒達が居なくなった後、こっちに詰め寄ってくる教頭先生。まぁ言いたいことは分かるけど、僕は報酬を貰う相手がただの教師と教頭先生を比べたら、教頭先生の方がその権力とかも含めてより上の物を得る事が出来そうと思ったからこうしているだけだ
「こんちわー、いやぁ不審者が出なくなったって聞いたんで、一応不審者が出なくする為に尽力した報酬をどうしようかと思って敏腕らしい教頭先生とお話したいなと思いまして」
「なるほどね。君、少し外してくれないか。私はこの彼と少し2人で話がしたい」
「わ、分かりました!失礼します!」
眼鏡先生が1人で帰っていく。居た方が良かったと思うけど、居なくなるんだったら割と遠慮なく要求出来そうだな?
「回りくどいのはやめよう。単刀直入に聞く。何が目的だい?」
「目的ですか?そりゃあ頼まれた仕事の報酬を貰うのがまだだったので、貰いに来ただけですけど?」
あえて報酬が何かは名言しない。そもそも決まっても居ないから終わった後で報酬を決める事が出来るはずだし
「それで私の下に来たという事は……脅迫かい?」
「そう捉えられてしまうのも仕方がない状況ですね」
報酬どうしよと話してる奴が秘密抱えてる人の所にやって来て「報酬欲しいんだけど、どうしようかなぁ」みたいな事をすればそりゃあ脅迫している様にしか見えない
「でも、まぁそうですね。脅迫です。私は不審者の正体に辿り着いたけど、誰にも言わずに問題の解決まで辿り着いた。そしてその人はまだ教える立場を続けていて沢山の生徒達は強くなっていく。僕が黙っているだけでこの学園の質が上がっていく……僕が事実を言ってしまえば学園のほとんどトップに近い人間で今までの他の方から得ていた信頼が全て崩壊してしまい学園を一変させてしまい兼ねないこんな情報なら使わない方が逆に失礼かなって。もちろんそんな状態は健全ではないですがね」
過去の清算、禊、色んな言い方はあると思うけど、僕に有利になる様に話を進めていこう
「そこまで言われてしまうと流石に驚くや恐怖という感情も飛び越えてしまいそうだよ」
多分、僕を殺せばそういった話も何とか出来るかと一瞬考えたけど、あの時の戦闘とか、僕が旅人だと見抜いているなら、殺せたとしても情報は漏れてほぼ今の自分がほとんど先が無いなんて所まで分かっているのかもしれない
「僕に禁書閲覧の権利をくれません?もしくは禁書を1冊だけ僕にください」
「なっ!?」
大分吹っ掛けている自覚はある。もちろん、僕の存在が危険だと感じればその2つとも許可は出来ないだろう
「その許可は……一応、私の権限で出す事は可能だ。だが……」
禁書閲覧関係って校長じゃなくても出せるんだな
「僕が持つのはふさわしくないって感じですかね?」
「……正直な所危険過ぎる。あそこには国を崩壊させるレベルの攻撃魔法とか書かれているんだ。絶対に無理だ」
「あれ?言ってませんでしたっけ?僕って攻撃魔法使えないんで、国を魔法で破壊するとか出来ないんですよ」
「……」
黙っちゃった
「だ、だが、あそこには人々を魅了し、洗脳するような危険な魔法も……」
「あ、似たようなの呪いのアイテムのお陰でもうありますね」
「……」
黙っちゃった
「だ、だが、あそこには外なる神と呼ばれる様なとてつもなく危険な存在の証明となる様な本も……」
「あぁ、多分その外なる神と知り合いです」
「……」
黙っちゃった。あれ?これって案外禁書閲覧の権利って要らない?
「どういう事だ?」
「好きに生きて来た結果ですかね?色んな出会いがありましたから」
「はぁ……分かった。君に禁書を1冊与える。禁書閲覧の許可を出してしまうととんでもない事になる気がする。からな……ただし、その禁書を決めるのに本の中は読んではならない。タイトルだけで決めてもらう」
ほうほう、中々良い提案ではないかな?報酬が貰えるなら僕に文句はない
「じゃ、早速1冊を選んじゃいますか。攻撃魔法とか覚えても仕方ないし、出来ればそういった物は避けたいな」
本のタイトルだけで選ぶとなると、どうしても僕に必要ない物を選んでしまう可能性があるので慎重に行きたい。あの修正した本は……別に要らないか
「なんか良さそうな本あるかなぁ?」
「一応持っていきたい禁書があった場合は先に一言声をかけてくれ。物によってどういう本なのかの情報も与えよう」
となると、その辺で宙に浮いている禁書たちも確認しないともったいないな
「なるほど、流石元共犯相手ですね。信頼してますよ?」
こんな場面で言われても嬉しくはないだろうけど、ほんの少しでもこちらの警戒を解きたい。本の内容を知る為にも、ここはゆっくりいこう
「これってどんな本です?」
「これは昔の魔法使いが数年にも渡って魔力を練り続けて最終的に街1つ丸ごと爆破するような事になった魔法の使い方が載った本だ。この本だけ爆破のほぼ中心点にあったはずなのに全く燃えたり、傷ついたりせずにその場に残っていた物だ」
「ふーん、じゃあこれは別に良いや」
さて、禁書の中で何か気に入る物はあるかなぁ?




