協賛のお誘い
「実は、今度運営とは関係なく、私達個人でイベントをやろうと思ってまして、この剣……性能はかなりの物なので、これを景品にしてしまって参加者を募ろうと思っていたんです。それでハチさんには少し手伝って頂けたらなって……」
「ほほぉ?それはちょっと楽しそうですね?」
僕が使えないアイテムを僕が持つ事によって、そのアイテムの使い道をこういったイベントでの報酬アイテムにしたいという事でわざわざ僕に所有権を持たせたかったのか
「ドクターはそれで良いんですか?」
「ええ、構いませんよ。私も片手剣はそこまで欲しい訳では無いので。それに個人イベントは気になりますね」
そうなんだよなぁ。片手剣ってなると欲しい人が居たり居なかったり結構マチマチだ。あと片手剣が欲しい人でも、見た目とか装備との兼ね合いとかもあるだろう。となると、大分装備したい人とか限られてくる気はする。それで今回2人とも考えた結果要らないという事になったのなら僕が貰っても良いみたいだ
「つまり、この剣は僕がもらって、そのままチェルシーさんに預けてイベントの報酬アイテムを僕が提供した……みたいな感じで出すんですかね?」
「そうです!ハチさんが提供したアイテムが報酬となれば参加してくれる人も増えるかなと。参加者が増えれば出店とかで報酬が更に……」
なんか儲け話を考えてるみたいだけど、要は客寄せパンダ的な形で協力を求められていると思えば良いのかな
「とりあえずインベントリには仕舞わないで、そのまま持っていてください。インベントリに仕舞っちゃったら多分所有権はチェルシーさんになると思うので」
「分かっておりますともー!」
布を出して剣をくるくる包んで運びやすい様にするチェルシーさん。多分これで島の底に眠っていたアイテムは回収出来たから戻っても問題は無いと思う。地上に戻ってから詳しい話を聞けるだろうし、まずは浮上しよう
「皆待ってるでしょうし、地上に戻りましょう」
「そうですね。時間が経てばさっき刺した剣が変質してレアな剣になるかもしれませんし、一度戻りましょう」
確かに、さっき刺した剣はあそこから魔力が漏れ出してる蓋とするなら、その噴き出そうとしている魔力を結構な勢いで受け止めているだろうし、変質する事はあり得そうだ
「まぁ、その時は他の人が取りに来るでしょう。まずはこれで一回、イベントの報酬になるかやってみましょう」
1回限りならこういう報酬でも良いと思う
「ただいま戻りました」
「戻ったよー」
「戻りました」
「「「おかえりー」」」
地上に戻ると残っていた人達は何か一仕事をし終えた感じで砂浜で休んでいた
「ん?何かありました?」
「島亀が動いたんだけど、なんかお宝をバラ撒いてね?それを回収するのに皆動いていたんだ」
島亀がお宝をバラ撒く……めっちゃ良い事起きてない?
「島亀が金の涙とか落とすからそれを回収するので、皆で交代しながら潜水さ。中々にハードだったよ」
亀が金の涙を落とすって中々凄い事が起きてるな。餌場が無くならなかった事がそんなに嬉しかったのか
「うわぁ、箱いっぱい。結構な量ありますね?」
「普通にこれ1つで金貨1枚は最低限ついても良いくらいはあるな」
結構小粒でも最低金貨1枚の価値があるってヤバい。完全にこの涙が詰まってる箱は宝箱だ
「これは交渉しなくて良いんですか?」
「いや、これは流石に……交渉しようとしたらいくらぶっ飛ぶか分かりませんよ?」
これから個人でイベントをやろうと思っているチェルシーさんにこのアイテムも報酬にしたら参加者が喜ぶかなと思ったけど、そもそもこれは僕の物じゃないから使いたいなら金を払えという話だ。運営費が膨れ上がっちゃうな
「あら?何か言いたい事でもあるの?」
「あ、もしかしてチェルシーさんが喋ってた時に回収作業でもしてました?チェルシーさん、運営とは関係なく、個人的なイベントをやろうとしていて、そのイベントでの報酬アイテムを集めてるんですよ」
「あら、あらあらあら?そのイベント面白そうねぇ?」
「はっ!実は、私達が個人的にするイベントでの目玉として今回見つけて来たアイテムを景品にするのと、ハチさんがそれを守るために戦うって言うのが決まってるんですよ!」
あれぇ?イベントに協力するとは言ったけど、そんな事まで決まってたっけ?
「へぇ?ハチと戦えるのかしら?」
「一応そのつもりです!ハチさんと戦って、剣を奪取出来れば勝ちにしようと思ってます」
アイテムを盗られない様に立ち回るのかぁ……鬼ごっこの時の抜かれちゃいけないゴールの時みたいな物だけど、今回は触って終わりではなく、倒さないとダメとなるとかなり難易度が上がる。どのくらい対応出来るか調べる良い機会かな?
「前は仲間だったけど、ハチ君がどれほど強いのか敵として実際に感じてみるのもアリかもしれん」
「ヒャッハー!ハチと腕試しか。こいつぁ本気を出さないとやべぇな!」
「ハチさんに自分がどのくらい成長したのか見てもらえるイベントですか!やりたいです!」
うわぁ、皆乗り気だぁ……これはとんでもない事になりそうだ




