チーム分割
「あの液体をこれだけ取っただけでそこまで分かるんですね。因みに、触っても安全かどうかって分かりました?」
「それに関しては問題ないという結果になりました。なので、あの溜まっている液体に触れても問題ないと思われます」
「オッケーです。因みにどうしましょう?またエアキャンディを人数分集めてから出直すでも全然良いと思いますけど……」
正直、僕一人で調査は出来るとは思う。でも、それをしちゃうと折角誘ってもらった意味が無い。どうせなら皆と何か発見したい
「ハチ君。今まで色々発見しただろうハチ君の考えを聞かせて欲しいんだが、今回の報酬アイテムはどこにあると思っているかな」
ハスバさんにそう言われたけど……どこにあるかぁ
「正直な所、僕の考えではこの地下であの液体を突き抜けていった先に何かあるか、もしくはあれを食べていた島亀の体内で凝縮された何か、みたいな物かなと思ってます。魔力をふくんでいますから単純に魔石が手に入ったりするのか、それとも何か武器防具的な物が手に入るか……って所ですかね」
流石に水中探索させて何もないって事は無いと思うけど、あの液体自体が報酬になりえるのか、それとも報酬を守るバリア的役割でも持っているのか、はたまた、液体を食べていた島亀の体内で活性化か何かして魔力を濃縮して何かしらのアイテムが出来ているって可能性もある。この辺を考えると現状僕の中で、何かありそうと言えるのはあの液体を突破した先か、島亀の体内の2択かなぁという結論に至った
「ふむ……それなら誰かに代表してハチ君と一緒に誰か1人か2人に行ってもらうのはどうだろう?幸い、ここにエアキャンディは9個余っている」
確かにさっきのバディとかの関係で9人分の予備が1個ずつ余っているから、それを使って40分近く潜れる人を1人作るか、20分近く潜れる人を2人作るのはアリだと思う。一応僕も余っていたのを貰ったし、20分25分調査出来るのであれば割と充分な気はする
「となると、今は動いていない島亀と島の底の調査に分かれるべきだが……」
「あ、島亀の体内に入るとか考えるならそっちにもキャンディ必要ですね。うわ、どうしよう?」
島亀の口から入ろうとするなら間違いなく僕以外はエアキャンディは必須になるだろう。だとするとキャンディが足りない……
「いや、島亀であれば背中から入れる可能性がまだ残っている。そっちに賭けて私はアイツの背中からアタックしよう」
確かに島亀の背中には山があったりするし、体内に入れるか、お宝があるところに行ける可能性はある
「そういう事でしたら、またハチさんのお供をさせていただきたいですね。まだ調べたいです」
「あの……私実は配信みたいな事が出来るんですよね。なので、その能力を使えばハチさんがどうしてるか皆さんが見る事も出来ますけど……」
ドクターとチェルシーさんが立候補してくれた。他にも行きたいと思った様な人も居るみたいだけど、すぐに手を下げた
「その能力ってこっちのことも見せられるのかしら?」
「はい、見せられます」
「じゃあ、島亀の背中を探索しながらこっちは島の底を探ってきますね」
3:7で別れる事になったけど、チェルシーさんが配信っぽい事が出来るそうなので、それで島底組と亀組でお互いの様子を見れる様にしてみる
「あのカメラを持ってくれればこっちに映像が見えます」
「こうで良いですか?」
「バッチリ映ってますね。これなら確かに分かれても連絡取り合えそうですね」
メッセージ機能を使えば離れて声が届かない環境だとしても連絡を取れるし、これで別れて行動しても何とかなるんじゃないかな?
「それじゃあ行ってきなさい。ここで見ててあげるから」
「「「はい!」」」
キリエさんが映像を大きくして皆で観れる様にしている。そんなに見られても困るけどなぁ……
(とりあえずノンストップであそこまで行きましょう)
流石に2人を連れていくとなると、深淵を出さないと泳ぎにくいな。バタ足を強化する感覚で深淵を出して3人でササッと行ってささっと帰って来よう
(うわっ!?)(おっと!)
よしよし、2人を連れているけど、普通に速度はさっきと同じくらいは出ているだろう。これなら時間の問題もクリア出来る
(よし、それじゃあこのまま突っ込みますよ。覚悟は良いですか?)
((いつでも大丈夫です))
2人の手を握ったまま、はちみつみたいな液体に突っ込んでいく。ドクターが大丈夫と言ったんだから遠慮はしない。この先には何が待ってるんだ?
(((わぁ……)))
一瞬のぶにょんとした感覚に包まれたが、そのまま液体を突き抜けて、島のコアとでも言えそうな場所にたどり着いた
「ここは……あれ?息が普通に出来る?」
「声も出せますね?皆さん見えてますか?」
液体の中なのに普通に呼吸が出来るという謎体験に驚いている2人だが、僕はこの空間よりもまずあれが気になって仕方ない
「あの、アレ……」
「「ん?」」
僕が指差した先には1本の剣が深く天井に突き刺さっていた




