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親睦を深める

「食べ終わったし行こうか」

「うん」

「じゃ、じゃあ僕はこの辺で……」

「まぁまぁ、良いじゃないか?もう少し付き合ってくれ」

 あぁ逃れられない!


 見えないけど両手に鎖を付けられて連れて行かれる気分……実際そんなものは無いけど


「わ、分かりました……」

 女性ってなんでこうも命令してる訳じゃ無いのに拒否出来ない感じで物事を進めてしまうんだろう?


「それじゃあ行こうか」

 茨さんが立ち上がり、菖蒲さんが立ち上がり、僕も立ち上がる。カップを捨てて歩いていくけど……何処に行くんだろうか?というか僕は完全に自分の事を告白するタイミング逃したよね?


「そういえば石動君のアルターでの名前って何?」

 どうやら菖蒲さんは忘れていなかったらしい


「えっと、アルターだとハチって名前だよ」

「ハチ……あぁ影人(エイト)だからハチなんだね!」

「う、うん……」

 自分の付けた名前の付け方を解説されるってめっちゃ恥ずかしい……


「あ、あの……」

 今回の機会を逃せば次、いつこの2人に会えるか分からない。だから今すぐ言うべきなのかもしれないが……


「「ん?」」

 さっきの2人の表情や気持ちを思い出してしまうとどうしても止まってしまう


「何でも、無いです……」

 自分でも言った後の事を想像すると後1歩が踏み出せない




「強すぎるでしょ……」

「2対1なのに……」

「あはは……なんかごめんなさい」

 ウィンドウショッピングに参加していたら、何故かエアホッケーをする事になったが、僕に向かってくるパックがスローモーションで見える為、1点も相手に入れられず勝つという正直普通じゃあり得ない勝ち方をして、2対1でも戦ってみたが、また完封勝ちをしてしまった


「ネタバラシというか、僕が菖蒲さんを助けた時の怪我の功名?後遺症?みたいな感じで僕に向かってくる速い物がスローモーションに見えちゃう様になっちゃったんです。だからパックがスローで見えるんで簡単に返せる……んですが、あんまり長時間やっちゃうと脳に負担が……」

 エアホッケー2連戦くらいならなんてことは無いけどこれが5連戦とかになるとマズい事になる


「そんな事が……」

「そうとは知らずに、悪かった」

「茨さんが謝る事じゃありませんよ。教えていなかったのは僕ですから……」

 そう、重要な事を教えていない


「それじゃあ別の物にしよう!」

「あ、あの……僕、買いたい物があるんでこの辺で……」

「本を買いに来たんだっけ?それなら私も本屋さんに行こうかな?」

 菖蒲さんがついてくると言ってしまえば当然……


「それならば私も行こう!遠慮しなくていい。こう見えても稼いでいるから本の5冊や10冊……」

「自分で買いますから、お金は大事にしてください」

 ゲームの中じゃ無一文でも生きていけるけど現実は違う。妹の命を救った相手なだけでそんなに無理しないで欲しい


「そうだよ?お姉ちゃんすぐ私の為にーって言って色々買い過ぎちゃうんだから。私だってお小遣いはあるし、お金は自分の為に使って」

「そ、そんなぁ……」

 捨てられた猫みたいな目で菖蒲さんに縋る茨さん。これじゃあどっちが姉か分からないな?




「おっ?これなんか良いかも?」

 お手軽サバイバルブック、ソロキャンパーの為の1冊、死にたくない?じゃあこれ読もうよ?等々使えそうな本が置かれていた。まぁでもこの中ならお手軽サバイバルブックかな?でも死にたくない?じゃあこれ読もうよ?も気になる……ちょっとだけ見てみよう


 パラパラと斜め読みすると火の起こし方や水の確保、食料入手、シェルターの立て方。野生動物と遭遇した、凶悪犯の居るビルからの脱出等使える知識とそれいつ使うんだ?という知識があったので迷ったけどこの1冊を買う事にしよう。全部が使えなくても活かせる知識はあるはずだ


「何かいい本ありました?」

「丁度欲しい感じの1冊があったから買う所だよ。菖蒲さんは?」

「私は……そこまで欲しい本は無かったかなぁ」

 まぁ買わなくても本屋を見て回るって結構面白いからね。健康的オリーブオイル料理の本の隣にオリーブオイルは体に悪いとかの本が置いてあってどっちだよ。ってなったり、本で勉強するのは効率が悪い!効率の良い勉強法!って書かれた本とか見つけたらクスッとくるし


「とりあえず僕はこれ買って来るんで、まだ本屋に居るなら外で待ってますよ」

 何も言わず居なくなったりは出来ないと思うので外で待とう。こっそり逃げ出そうとしても背中からガシッと肩を掴んできそうだ


「あ、それじゃあお姉ちゃんを連れて来るんで待っていてください」

 菖蒲さんは茨さんを探しに本屋の中に、僕は会計をする為にレジに向かう




「覚悟、決めよう」

 本を買って僕の用事は無くなった。後は帰り道で本を読みながら家に着いたらアルターにログインくらいな物だろう。それくらいなら今、覚悟を決めて今後顔も見たくないと言われるかもしれないけど2人に僕の正体を打ち明けて楽になろう。これ以上抱えていてもいつかは爆発するんだ。なら早いうちに爆発させちゃおう


「お待たせしました」

「結構本を選ぶのが早いな?」

 2人が本屋から出てくる。よし、もう逃げないぞ


「あの、2人に告白したいんで人の少ない所に行きませんか?」

「「えっ!?」」

「ん?」

 なんで驚いているんだろう?


「こ、告白だって!?しかも2人同時に!?」

「石動君……どっちか1人選ぶ事は出来ないの?」

選ぶ?


「2人共に聞いてほしいんだけど……駄目かな?」

僕の正体をバラすのに別々に話すのはちょっとなぁ……



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― 新着の感想 ―
[一言] まあ、片方は本当に好きになっているけど… ハチくんは朴ねんじんだから気づかないよね…
[一言] なんでこの姉妹突発的にポンコツ恋愛脳になってるの(困惑) 特に姉!(笑)
[一言] 愛の告白と勘違いされてる(笑) まぁハチの言い方もおかしいけどね。「ゲームの事で…」が抜けてるもんね。 街に近寄れないなんて縛りはゲームの幅を狭めちゃうから理解者が増えてくれると良いよね。 …
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