空飛ぶクッション
「お待たせしました」
「はっや……」
全然待ってない。PV1つみた所でクッションカバーが出来たらしく、中から水色の大き目のクッションカバーを持った店員さんが出てきた
「色はこちらで勝手に選択させていただきましたが、触り心地は当店一番です。どうぞ触ってみてください」
言われたとおりに触ってみると、確かにサラサラでモチモチというか、絹っぽい感じもするけど、なんか触ってるとちょっと冷たさも感じる?
「こちらは魔物からほんの少ししか取れない貴重な毛を使用しているので、温度を一定に保とうと熱い所では涼しく、寒い所では温かく感じるんです。これに綿を詰めて寝ると考えれば本当に雲の上で寝ている感覚になるかもしれませんな!」
あくまでカバーだけだけど、魔法の絨毯と同じ性能があるのなら中に綿を詰めたら確かに雲に寝転がる感覚になるだろう
「お代は、こっちで払う」
「いえいえ、この街の救世主様で、瓦礫の下敷きになっていた私を助けていただいた恩もございます。こちらは差し上げます。それに……クッションタイプの空飛ぶ絨毯は需要がありそうですからなぁ?」
これは一儲け考えてそうな顔だ。完全にこれ作ってる最中にこれは儲けられそうと思って作ったな?
「綿に関しても、人に合わせて中身を変えれば更に色々儲けられるチャンスが……おっと失礼」
これ絶対今雲毛の事とか言わない方が良いな。よし、ささっと空島に帰ろう!
「ありがとうニーニャさん。あ、これ皆で分けて食べてください」
「アイス!感謝するぞ!」
色々と面倒事を避ける為に、アイスをニーニャさんに渡してイクサバンの街を後にする。女王陛下に挨拶してから帰るべきなんだろうけど、なんとなくまた手合わせとか言われても困るし
「さて、あと少しだ」
うきうきしながら空島のクラウディアシープを飼っている所に向かう
「うわぁ、増えたねぇ?」
最初は4匹くらいだったはずなのに、今では10匹を超えるくらいここに居る。クラウディアシープが繁殖したとは思えないし、やっぱり口コミで広がったのか……
「ここも狭くなってきたからそろそろ柵の拡張でもしてやらんとなぁ」
「ワリアさん。大変ですね」
「他人事みたいに言うなよ……」
「ちゃんと手伝いますよ。安心してください」
クラウディアシープがのびのび出来るように柵の拡張を行う。まぁ、杭を押さえてハンマーで叩いて、その
杭に板材を打ち付けるという簡単な拡張作業だったしすぐに終わった
「たまにはこれじゃなくてハチの本物も食わせてやってくれ」
「はーい【ミスティックミスト】大きく育てよ~」
「「「うめぇ~」」」
僕の霧をもさもさ食べて体の毛を膨らませるクラウディアシープ達。そしてブラッシングしたり、落ちた毛を集めるワリアさん。また毛が溜まってきたねぇ?
「で、また綿が欲しくてきたのか?」
「はい、このクッションカバーに雲毛とかを詰めて空飛ぶクッションにしようと思って!」
「ほー、そりゃあ夢のある話だな。ちょっと待ってろ」
さっきよりも作業速度が上がったワリアさん。10匹も居ればかなりの量の毛が取れる
「どうだ?これで間に合うか?」
「詰め込んでみます」
山盛りの雲毛をクッションカバーの中に入れていく。適当に入れたら硬さに偏りが出るし、少なかったらそれはクッションではなく、出来の悪い掛け布団みたいになっちゃうから詰めすぎで硬くならない様にしながら毛を詰め込んで行く
「こんな所かな?よし!おぉ……」
「どれどれ、おぉ……」
雲毛を詰め終わり、試しにクッションを触ってみると、普通の綿とも、低反発のクッションとかともなんか違う包み込んでくれる柔らかさを持っていた。ワリアさんも触って何とも言えない声を出している
「イドラ」
「ん、待ってた。これが……」
もう引力が働いているのか、イドラの体がクッションに吸い寄せられている
「ん、素晴らしき寝心地。ハチ、ありがとう」
「な、なぁ……ハチ?今コイツどっから出てきた?」
「あ、説明してませんでしたっけ?この子はイドラという名前で、僕が装備している凶具が実体化?擬人化?した姿なんです。怠惰の人らしく、こういう寝具が合うかなって」
「ん、こんな良い物用意してくれたからハチにはいつでも力を貸す」
昼寝時と夜の間は寝てるらしかったイドラがいつでも力を貸してくれるらしい。やっぱり僕は間違ってはなかったみたいだ
「それはありがたいね」
「ん、これで移動出来るのも優秀」
空飛ぶクッションに乗ったイドラがあっちにいったりこっちにいったりして寝ながら移動している。正直居眠り運転みたいで大丈夫か心配だけど、障害物には当たらない様になっているのか避けているし、万が一接触したとしてもあのクッションならぶつかっても痛くはないだろう
「またすげぇの手懐けたなぁ……」
「友達になったんですよ」
「どっちにしたって凶具とかいうあぶねぇモンをほとんど無害で扱ってる事がすげぇよ。聖剣を扱うのと訳がちげぇぞ?」
僕としては聖剣の方が扱えないんですよぉ……




