怠惰の完成形の為に
「結構軽いね?僕でも簡単に持てちゃうよ」
「ん、その方が運びやすい」
「確かに~」
香水の形に戻ってしまうのが一番手っ取り早いけど、そんな無粋な事は言わない。まずは色々会話して親睦を深めるべきだろう。というか、やっぱり怠惰状態にはなってないな。状態異常に対して耐性があるって本当に強い。で、僕が攻撃を受けたら確率で相手が怠惰状態になって全ステータス50%カットとスキルと魔法の発動が遅くなるってかなり凶悪な性能してる。自分のステータスが下がるのが欠点だけど、これで盾を持って攻撃を防ぎ続けてたりしたら、相手をたまに弱体化出来るからタンク性能とかも上がりそうな雰囲気があるな。まぁ、普通のタンクの人が装備しても全ステ半分のスキル発動鈍化の時点で扱い辛くて使えた物じゃないな
「AGIがほんの少し下がったけど、その代わりに魔法抵抗が上がったから、魔法攻撃に対しては大分強くなったんじゃないかな」
香睡を装備するとAGIが少しマイナスされてしまうが、多少遅くならないとAGIが上がり過ぎて自分で制御出来なくなるから今回少しだけ下がったお陰で逆に動きやすくなったと思う。扱いきれる能力を100までとして、今60の能力を使えても補助で倍にしたら120でキャパオーバーになってしまうが、その能力を下げて50、もしくは49まで下げて倍にする事で扱える範囲に留める事が出来るって事だ。色々皆に協力してもらったお陰で僕の能力を底上げしてもらってるけど、やっぱり僕の能力をフルスペックで使おうと思うと確実に僕が扱える範囲を飛び出す。そうなってしまうと、動きを制御する為にただのパンチや直線的な動きしか出来ない
「脳トレとかしてもう少し鍛えるか」
僕自身の制御能力を鍛えられるかどうかは置いておいて、脳を鍛える為に例の白空間で訓練するのはアリだな
「ん、どうかした?」
「いや、イドラが来てくれたお陰でもっと強くなれそうだなって。その為に特訓でもしようかと思っててね」
「ん、努力出来る。凄い」
背負われてるイドラに褒められる。なんかこういうの良いな
「にしても……」
モノ、レジー、ストリ、イドラと大罪装備も4つ入手したと考えると僕も結構大罪人になるのかな?
「モノはコインを投げつけて、そこから現れて敵を殴ったり出来るでしょ、レジーは単純に僕の近くで攻撃出来る、ストリは……魅了が使えるんだよね?」
今までの大罪装備達の実体化能力を使ってる最中に使える能力と言うかその辺の確認を今一度してみよう
「そうよ。弱い奴相手なら触れなくても範囲で魅了出来るわ。強い奴相手なら触って、抵抗されなければ魅了出来るはずなのよ」
そんな風に指輪から上半身だけ出して腕組みしながら僕を睨まれても困る
「イドラは何か出来たりする?別に出来なくてもそれも個性だから気にしなくて良いからね?」
一応の確認だ。何もなくても責めるつもりもない
「ん、寝てたら周りの人も眠くなる」
「あー、まぁ、寝てる人が居たら眠くなっちゃうのは分かるかな」
あくびが移るみたいな感覚で気持ちよく寝てる人が居たら眠くなっちゃうのは分かる気はする
「となると、浮かぶクッションとかあるとイドラの移動も楽そうだなぁ」
アニメとかでよくある怠惰系のキャラご用達の浮かぶクッション。アレがあれば、イドラも浮かせた状態で移動とかも出来るよな
「ん!それ欲しい!」
今までで一番元気なイドラの声がする。やっぱり寝具に拘りがあるタイプか
「浮かばせる事が出来るか分からないけど、もこもこクッションには心当たりがあるよ」
「ん!やっぱりついて来て正解だった」
まだ作っても無いのにもこもこクッションの話を出しただけでこの反応。これはもう作ってあげなきゃだめだよなぁ?
「よし、それじゃあ地上に戻るから一旦アイテムに戻ってくれるかな?」
「ん、分かった」
イドラがアイテムになると、僕の腰に平べったい香水が入っているだろう瓶が付いていた。壊れないって事はある意味何度も使える香水みたいな感じなんだろうか?まぁ使ったりはしないけど
「一旦浮遊するアイテムを調べてから空島に戻った方が良いか」
浮かぶ素材をクッションに入れて浮かせるのが良いと思うし、図書館に一度寄って情報を集めよう
「ん、クッションは?」
「今はそのクッションを自由に動かせるように空中に浮かぶ為に必要なアイテムの情報を探してる。あんまりその能力が高過ぎるとイドラがクッションに乗ったら空の果てまで飛んで行っちゃったりしたら困るし、逆に地面スレスレでしか飛べなくてクッションをズリズリこすって綿が全部出ちゃうのも嫌でしょ?」
「ん、それは嫌」
他の皆はそのままでも完成形というか、素の状態で問題ないけど、イドラに関してはやっぱり浮かぶクッションとか無いと、怠惰感が薄い気もするし、何よりもう作らないという選択肢が無い。どこかに良い感じに浮かんだり、出来るアイテム無いかなぁ?
「む、むむ!?これは!」
魔道具とかの欄をペラペラと読み進めていたら、1つのアイテムが目に入った
『空飛ぶ魔法の絨毯』




