判明
現在、僕はアイスを食べている。僕の好きなポッピングシャワーだ
「美味い」「これ美味しいですね?」「やはりチョコミントが至高……」
3人で
うん、正直適当に話して別れようかなと思ったけどお姉さんに「せっかくだ。妹の命を救ってくれた礼を多少なりともさせてくれ」と言われてアイスの専門店に行った。お姉さんが奢ってくれるらしいけどここでダブルだトリプルだを頼む勇気も無いからシングルのポッピングシャワー1つだけを頼んだら菖蒲さんもポッピングシャワーを、お姉さんはチョコミントを頼んだ。で、今一緒に食べているけど……い、居辛い……
「あの、2人でお出掛けしていたんでは?僕は邪魔になるんじゃ……」
「そんな事無いです!」
菖蒲さんが急に声を大きくする。ビクッとしてしまうのは許して欲しい
「邪魔だなんて思っていません」
「なんか……ごめんなさい」
謝る事じゃ無い気がするけど何となく謝ってしまう
「そういえば私の名前はまだ言っていなかったな?」
お姉さんが話題を変える助け舟を出してくれた。これは助かる
「そういえば僕も苗字だけでしたね?」
初対面同士という事で名前で会話の幅を広げよう
「私は茨。織部茨だ。ラ・ベールのモデルなんかもしているぞ?」
「え!?ラ・ベール?」
「おや?石動君はラ・ベールを知っているのかい?」
知っているも何も……ねぇ?
「ラ・ベールで親が働いているので……」
「嘘っ!?」
「え!?」
今度はお姉さん、茨さんの方が大きい声を出す。周りに注目されるのでやめてほしい
「えーっと、石動雲雀って人が居るんですけど……その人が僕の母さんです」
「雲雀さんってあの雲雀さん!?」
「ラ・ベールに他の雲雀さんが居るかはわかりませんけど……多分その雲雀さん?」
僕も親が勤めている会社の全てを知っている訳じゃ無いからもしかしたら違う雲雀さんが居るのかもしれないけど少なくとも知っている限りでは母さん一人だけだ
「あの人のお陰で私はラ・ベールのモデルとしてCMとかに出られる様になったんだ」
「CM……本当の素肌をあなたにって奴?」
「それ、私だ」
「えぇ!?」
今度は僕が大きな声を出す番だ。CMに出てるような凄い人にアイス奢って貰っちゃったよ
「すいません……」
流石に3回も大きな声が聞こえれば周りの人も睨んでくる。非常に申し訳ない
「えっと、母さんの事は置いておいて……僕の名前は影人です」
「あ、あぁ……興奮してすまない。影人君だな?よろしく」
母さんの話題のお陰で大分話しやすくなった気がする。流石母さん
「ところで2人は何か買いに来たんですか?」
「まぁ、色々と?石動君は?」
「僕?僕はちょっと役に立つ本でも探そうかと」
他愛の無い会話をしながらもアイスが溶けてしまわない内に食べるのも忘れない。この配分が中々に難しい
「石動君?体の方は大丈夫なの?」
「リハビリのお陰で何ともないよ?まぁ最近はずっとアルターばっかりやってるけど……」
ガタッ!と立ち上がる菖蒲さん。静かに、静かによ?
「石動君アルターやってたんだね!」
「アルターでリハビリしてたのは良かったんだけどβ期間全部をリハビリに費やしちゃって全然冒険とかしてなくてね……製品版になってから冒険してるよ」
冒険というかサバイバルだけど
「良かったぁ……ゲームでリハビリしているっていうのは病院で聞いたけど面会謝絶で会えなかったから、ゲーム内でずっと探してみたけど会えなかったから辞めちゃったのかなって……」
そりゃあ絶対β中は僕の事見つけられる訳が無いね?隔離空間に居たんだから
「兄弟姉妹枠っていうのがβテスター募集にあったから私は普通に菖蒲と遊ぶ為に応募したら当選して菖蒲は君が高レベルになっているかもしれないと探しながらレベル上げさ。お陰でゲーム内だとそこそこ有名なプレイヤーになっているぞ?」
「ちょ、ちょっとやめてよお姉ちゃん……有名さで言ったらお姉ちゃんの方が有名でしょ?」
仲いい2人だなぁ……
「有名プレイヤーかぁ……もしかしたら僕も知ってる人かなぁ?」
有名なプレイヤーだったら僕も聞いた事があるかもしれない
「私はゲーム内ではロザリーと名乗っている」
え?
「私はアイリスって名前でプレイしてます」
は?
ちょっと待ってほしい。ロザリー?アイリス?僕、とてもその名前に聞き覚えがありますねぇ!?
「どうした?アイスがキーンと来たのか?」
「ゆっくり食べなきゃ体に良くないよ?」
違う、違うんです……そんな理由で頭を押さえている訳じゃ無いんです……
僕が頭を押さえている間に2人が会話を続ける
「にしてもイベントのアイツ……今度会ったらただじゃ置かない」
「ちょっと思い出したく無い……」
「あぁ、すまない!菖蒲はアイツに酷い事をされたからな……思い出させる様な事を言って悪かった」
ヤバい、ここで「あ、それやったの僕なんですよー!」なんて言ってみ?現実で死ぬ。もうこの状況吐きそう……
「それって何て名前の人ですか?」
まだだ、まだ分からない……
「名前か?本当の名前は分からないがエントリーナンバー815って奴だ。今頃何処に居るんだか……」
目の前に居ます……