黙る代わりに
「そういう事なら1つ聞きたい事があります!」
「……何かな?」
「今、呪いのアイテムとか、そういう類の物を探してるんですよね。どこにあるか知ってたりしてません?出来れば封印されてるくらい強力な奴とかだとなお良いですね」
意外とこういう時って専門家が持ってない情報を持ってたりするんだよな
「……確かに精査が済んでいないが、そういう類の情報は来ている。呪いのアイテムに詳しい彼女にまずこの情報を届けるべきだとは思ったが、情報にあった場所はかなり危険な場所だからな。ある程度の安全性が確保されてからでないと……」
やっぱりこの教頭先生かなり教師の事を考えている。ある程度の安全性が確認出来たら調査しに行っても良いって感じなのだろう。危険性をある程度認識出来て、周りの安全が確認出来れば情報を下の人にも開示するって奴かな?
どうも、道の整備の関係で捨てられた道沿いの場所にあるらしい呪いのアイテムの情報だが、あまりにも安全性が確保できないから紹介はまだしていなかったパターンか
「彼女は貴重な人材だ。我が校に居てもらわねば困るから安全性が確保出来ないうちは下手に情報は拡散しない方が良い」
確かにこの学園で呪いに関してのエキスパートな、ボサ髪先生が居なくなってしまった場合誰もその後の授業を出来る人が居ないみたいな状態になってくると考えたらここは一旦様子見は全然ありな選択だな
「それならその危なそうな場所と呪いのアイテムの情報を僕にください。僕が調査をしますから。ついでにその場所については黙っておいてくれると助かります」
情報はいつか漏れてしまう物だが、漏れる前に片付けてしまえばそれはある意味秘密の中だ
「僕は呪いのアイテムの情報が欲しい。そっちはこの調査行為を黙っていてもらいたい。つまり、僕に情報をくれるならそちらの事は黙っておく。いわゆる共犯関係ですかね?」
人との繋がりに置いて、一番手っ取り早く、協力関係も築きやすいのは共犯なんて言われている。だからこそのこの条件だ
「……分かった。それならば情報を提供しよう。まさかこんな事になろうとは……」
教頭先生から地図データを貰った。これで呪いのアイテムの所に行けるな
「僕を甘く見たからですね。さーて……」
さて!地図に記されている所は……
「ん?これって、いやいや、これはちょっと違うんじゃないですかね?」
そこに書かれていたのは多分このマジナリア魔法学園……の地下だ
「これって完全にここじゃないですか。え?そんなのもうあの人がとっくに知ってそうですけど……」
「学園内にある唯一の地下に降りる為のエレベーターを特殊な操作を行う事で本来では行けない所まで降りる事が可能になっている。そこに封印してある」
ほほう?それはちょっと興味ありますねぇ!エレベーターのボタンを特定の順番で押すと行ける秘密の地下なんて面白そうじゃないか
「それじゃあ早速そのエレベーターに行くかな。あ、その角の脱出口を通った方が早いですか?」
「なぜそれをっ!?」
「まぁ、見えてましたから」
「……これまた凄い説明もあった物だ」
煙玉みたいなアイテムを使われても逃げられない様に角の出口にすぐ立てる様にこっちも用意はしてたからねぇ?角の出口を使おうとしたところでその扉を踏みつけて立っているみたいな展開もちょっと待ってたんだけどなぁ
「この脱出用の通路を通った途中にエレベーターがある。それを、1、4、2、2、3、1の順番でボタンを押せば地下の秘密保管庫に行ける。そこに例の物が封印してある」
そこそこ手順が面倒だが、呪いのアイテムとこれでご対面出来る。さぁ何を効果に持っているかな?
「すまない。そろそろ戻らないと怪しまれてしまうので私はここで失礼するが、構わないか?」
「あ、良いですよ。怪しまれるのが一番厄介ですからね。まぁ普通に教頭として出て、普通に戦闘を見てあげる分には良いと思いますが……まぁ、教頭だと分かったら媚やらゴマすりやら増えそうではあるから今のままが良いのかもしれないですね。とにかくこれからもバレない様に頑張ってください」
ここでバレて僕も何かしらの処罰を受けるとかになるのは流石にバカバカしいので、捕まる事だけは何とか避けて欲しい
「あぁ。それじゃあお気をつけて」
「はい。さて!それじゃあ行きますか!」
教頭を見送り、先ほど指定された順番でエレベーターのボタンを押す。これでこのエレベーターは幻の地下に向かうはずだ
「えーと、1、4、2、2、3、1と……うわっ!?」
まるでワイヤーが切れたかと思うような速度で落ちていく。あ、これヤバい奴か?
「大丈夫!?大丈夫だよねこれ!?ちゃんと止まるよね!?」
こんな速度で地面に叩きつけられたらエレベーターは木っ端微塵になってしまう。そうなったら僕もただでは済まない……
「うおっ!?」
キィィィィィと甲高い音を鳴らしながらエレベーターの上部分で火花が舞っている。どうやらブレーキが作動しているみたいだけど、なんでこんな作りになってるんだよ……




