死神の頼み
「頑張ってる部下にゃ。ご褒美もあげにゃきゃ、それこそ怒られちゃうにゃ」
今回冥界に送った幽霊達のお陰でご褒美かぁ……どうするかな
「と言っても、欲しい物は……あっ。1つありました」
「何かにゃ?」
「私の友達が新しく増えたんですが、その人はもう既に亡くなっていた方で、幽霊なんです。その人が強制的にここに連れてくるのは辞めて欲しいなって」
レイさんが冥界に連れていかれる事が無くなれば安心して過ごせると思う。だからこそ何か死神様にお願い出来るのであれば、こういう場面でレイさんの事は見逃してほしいと言えば通るかな?
「ふむふむ、ちょっと待つにゃ。ハチの近く……メリアは違うから……おっ?この子かにゃ?今はレイという名前みたいにゃけど」
「はい、その方です」
「この子が勝手に連れていかれない様にすれば良いんだにゃ。任せるにゃ」
何をしたのか分からないけど、多分何かレイさんが勝手に冥界に連れて行かない様に何かしてくれたみたいだ。後で見に行ってみるか
「あ、あの、1つ思ったんですけど……」
「何かにゃ?」
「実はレイさんと一緒に行動してて思った事があるんですが、幽霊の方に武器を渡した時に凄く壊れやすい物を渡したけど、幽霊の特性みたいな物か、その武器は幽霊の存在が消えるまで壊れないって事が分かったんです」
「うん、確かに幽霊の武器は壊れないで合ってるにゃ」
やっぱり死神さんにはその辺の理屈的な事が分かっているみたいだ。となると、僕が気になってる事が上手くいくか……
「憶測なんですが、多分その武器は幽霊の魂と紐づけというか、離れない様になっているから壊れないとかなんですかね?」
「んー、一部合っているが正しいかにゃ。幽霊が武器を持つ場合は生前持っていた物。あるいはなんらかの方法で後から武器を持たせてもらう事にゃ。多分ハチはそのなんらかの方法を見つけたんだろうけど、一番大事なのはその武器を覚える事にゃ。武器の形状や素材なんかをしっかり覚えていたら、魂もそれを覚えて自分が持つ武器という形に出来るにゃ。まぁ、他の人にとっては新しく武器を持った様に見えるかもしれにゃいけど、武器自体もその幽霊の魂の部分だから、あれも体の一部という事になるにゃ」
えっと、要は自分の体の一部を武器という形に変質させているから壊れやすい武器でも壊さずにずっと使えるって事か。ちょっと思ってたのと違うな……
「そっか……じゃあアレは出来ないかな」
「何をしようとしてたにゃ?」
「死神さんからもらったこの死神マフラーを装備アイテムの枠を使わないで装備出来るかなぁと思ってたんですが、魂の形を変える的な物だと流石に応用は効かないかなって」
要するに死神マフラーの非アイテム化というか、感謝の折り紙メダルの様に装備枠を使わない装備品に出来るかの相談に来てみたが、流石に幽霊の技術となってしまうと僕もどうしようもない
「まぁ、やろうと思えばできるにゃよ?」
「出来るの!?」
「そうだにゃ……まぁハチなら大丈夫かにゃ?ハチ。そのマフラーを装備枠を使わない様にしてあげる代わりにまたお手伝いをするのにゃ!」
「はい喜んでー!」
装備品の枠を更に使える様になるのならやらない手はない。これは乗るしかないビッグウェーブだ
「それじゃあハチには、地獄のある場所に向かってもらうにゃ。そこに居る奴を倒すなり、屈服させるなり出来たらハチの望み通りマフラーを改良してあげるにゃ」
『特殊クエスト 死神の頼み を開始しますか?』
もちろん、開始だ!
「分かりました!頑張ってみます」
「あ、でもその場所には1人で行った方が良いにゃ。それに……いや、その点にゃらハチなら関係にゃいかにゃ。まぁ頑張るのにゃ」
「ん?とりあえず1人で行けば良いんですね。わかりました」
1人で行けという事に意味があるのか。とりあえず地獄に行くからと悪魔を呼び出したり、パンドーラで仲間を呼んだりはしない方が良いって事なのか
「早速今から向かいます。こういうのは早い方が良いですよね?」
「焦らせるつもりもにゃいけど、早い方が良いのにゃらそのまま向かっても良いにゃ」
よし、それじゃあエレベーターを使って地獄に向かいますか
「そういえば地獄のこっち方面は行ってなかったっけ。でも地獄も大分知ってる場所が増えてきたなぁ」
色々地獄も見て回ってるから地元とかふるさとまでは行かないけど、地獄も隣町くらい知ってると言っても良いのではないだろうか?
「指示された場所は……あ、なんかあるな?」
地獄の平野を進んで行くと、多分指示されたであろう場所に何か石の祠っぽい物があった。とりあえず近づいて見てみよう
「ふむふむ、誰か拘束されてるな」
見たところ亡者でもなければ悪魔でもない。幽霊が両手足を拘束されて立っている。結構大柄だし、もしこの幽霊と戦闘となると割と大変かもしれない。一応対幽霊装備として、シスター服に着替えておこう
「あの、もしもーし……」
「む、貴様は何者だ?」
うーん、なんとなく武人っぽいなぁ?




