可能性の道
「ベースの物を壊さない様な力加減と言うべきか、内部だけ破壊するみたいな方法じゃないとダメなのか」
うーむ……あっ
「つまり、外傷を与えずに呪いのみを破壊するって事ならレイさんが一番最適?」
レイさんの攻撃は肉体や物体に傷は付けないから呪いのみを破壊する事が出来るのでは?
「あ、戻される」
呪いの人形がバラバラになってしまったので、僕的には失敗だけど、呪い自体は消し去ったから成功判定となったのか、ジオラマから弾き出された。ぐぬぅ、次回があったらレイさんを何とか呼び出して試してみたい所だ
「師匠。おめでとうございます!」
「うん、今のジオラマって呪いのアイテムと戦える場所って考えで良いのかな?それで倒せば破壊不可のハズの呪いのアイテムを破壊して解呪が可能って事で合ってる?」
「はい、合ってます。まぁ、負けたら大変な事になりますが、師匠なら負ける事はまず無いかなと思って」
弟子の信頼が凄い。負けたら大変な事になるって怖いんですが?
「もし次があったら次は破壊しないで何とか出来ないか頑張ってみるよ!」
今後装備しないタイプの呪いのアイテムが出てきた場合はここで何とか破壊ではなく、制圧を目指したいな
「師匠?忘れてるかもしれませんが、普通の人間は呪いのアイテムが出てくる事にそんなにキラキラした目で期待とかしないんですよ?」
「え?」
もう僕にとって呪いのアイテムとは切っても切れない関係性だから、呪いのアイテムが出てくる事が楽しくて仕方ないからモニクに言われた言葉が一瞬理解出来なかった
「まぁ、それが師匠らしくて良いんですが……」
「でしょ?まぁ、呪いのアイテムって言っても基本形は悪魔達が頑張って作ったアイテムだから人を選ぶだけで、充分有用な物もあるし、今回みたいな天然物が出たとしても、それがどんな効果なのかも気になる。くっそー!思い出しただけで、あの人形を破壊しちゃったのが悔やまれるなぁ」
「やっぱり師匠ですね。ああいう人形タイプだと下手をすると体を乗っ取られるみたいな事があるみたいですけど、まず間違いなくこの感性は師匠ですね。安心しました」
あ、もしかしてそれを心配してなんか少しぎこちなかったのかもしれない。まぁ僕は乗っ取られたりはしていないハズなのでモニクからセーフの判定が出た
「師匠。また何かこういった装備品ではない呪いのアイテムを見つけた場合はここに持ち込んでくれれば、可能な限りボクが対応するので、その時は師匠がどうするか選んでください。ただ、確実に言える事は他の人に頼むとまず破壊。ボクに任せていただいた場合でもほぼ確定で呪いのアイテムは破壊されます。師匠が自分でその呪いのアイテムをどうにかするのならもしかすると違った形での解呪が出来るかもしれません」
つまり、メリアさんやミリアさん、イアに頼むと呪いのアイテムは聖なる力か何かで破壊確定。モニクに任せれば、多分さっきの僕がやったみたいに戦闘して破壊され、僕が呪いのアイテムを破壊せずに呪いを何とか出来た場合はある意味真の解呪が出来るかもしれないからここに持ち込んだ時にその可能性があるジオラマでの戦闘をする為にモニクが対応するって事か。良い弟子や……
「オッケー。もし持ち込めたらその時は頼むよ」
「はい!」
うんうん。また新しい事が出来る様になったな
「……」
足元をつんつんと触られたので、見てみるとリーが僕の足をつんつんしてた。いっけね忘れてた
「そういえばレイさんは?」
「……」
あっちと言わんばかりに矢印みたいに方向を示したので、そっちを見てみると、メリアさんと楽しく談笑するレイさんの姿を見つけた
「そうですか、ハチさんが……」
「そう、ハチが……」
なんだか僕の事で盛り上がっている様な……まぁあの談笑に割りこんで話を中断させるのも可哀想だし、終わるまで待とうかな
「モニク。少しここに居ても良いかな。ちょっと待たせて欲しいかなって」
「あぁ、分かりました」
せっかくだしシスター服に着替えて2人で教会の掃除とかをして待つことにした
「し、師匠……」
「言うな。これはある意味運命というか、そういう物だから」
なんだか幽霊トークで盛り上がってるのか、ミリアさんも混じって会話が更に盛り上がっていた。なんだか2人の表情もより近い存在との会話が楽しいのか会話が終わらない。シスターとしてそれで良いのか分からない気はするが、たまにはこういう楽しみがあったってバチは当たらないと思う。掃除が完全に終了してからなんとなく話掛けるか、教会に人が押し寄せるか何か起きない限りはこのままでいいだろう
「さぁ、この辺をもっとピカピカにしてやろう!」
「わっかりました!」
「……!」
モップとバケツを持ったモニクと箒と塵取りを持ち、いつの間にか頭に三角巾をつけていてなんとなくお母さんチックなリーが隅っこの埃とかを取っていた
「あら、あらあら?」
「なんだか、凄く綺麗になってる」
「あ、どうやら私達が話し込んでいた間にあちらの3人が掃除をしてくださったみたいです。すみません」
3人に軽く会釈をして掃除を終わらせる。やっぱり無人島でのサバイバルも楽しかったけど、こういう掃除も綺麗になっていくのを見るの楽しいよなぁ




