ラムダの仕事
「「せーの!」」
「ガァァァァ!」
流石に今の攻撃は僕からヘイトを奪うのに充分な一撃だったみたいだ。まぁ、思いっきり攻撃される事が分かっていて、自分に歯向かってきた存在となればそっちに意識が向くのは分かる。でも、それで僕から目を離すのは良くないなぁ?
「助かりました」
可能な限り定型文みたいな感じで感謝を伝え、ギャルさん達の方を向かおうとしたベヒモスの横っ面に拳が突き刺さる。今の僕の拳はゲヘちゃんアーマーによって威力が上昇している……かもしれないぞ?
「ゴハッ!?」
うーん、良いの入ったなぁ……今のはしっかり腰も入ったナイスパンチだ。敵も攻撃されてそっちを振りむこうとしていた所にパンチを喰らった事でもう一度ヘイトを僕に集中させる事が出来た。強力な敵だったら大技来そうとか、仲間に攻撃行きそうってなったタイミングで中断する事でフラストレーションを貯めてヘイトが僕に集まるって感じだろうか?なんとなく「コイツだけはやらないとダメなんだ!」みたいな使命感で僕に対応しているようには見えない。自分にとって一番の脅威を感じるからそれを排除する為に行動する。みたいな動きだよなぁ……だからこそ僕のタンクは他の人のスキルでヘイトを固定するとかと違う気がする。いかに自分を脅威だと思わせる事が出来るかが勝負だが、僕の場合はヘイト値が1人だけぶち抜けてたりする訳じゃないから隙を見せる事で一旦ヘイト値を下げたり、相手が相手なら圧を高める事で威圧するようにして相手を委縮させて攻撃のミスを誘発させたり出来る。多少のヘイト値を自分の立ち回り次第で上下させる事が可能だから柔軟な立ち回りが出来るな。これは今後も使えそうな技能だ
「関節部、異常発生」
「「「「えっ!?」」」」
そろそろ僕も退場する時間かもしれない。最悪の場合は一撃を喰らって【光子化】してしまう事も考えた方が良いな
「運動能力30%ダウン。戦闘継続……可能。戦闘を継続します」
まぁ、ゲヘちゃんアーマーを着ているから元から考えると10%くらいは運動性能は下がってるかもしれないけど……全然余裕で動けるから実際の所は問題ない
「大丈夫なの!?」
「関節部の異常って、それ大問題じゃん!」
「待て待て!ソイツが心配でも寄るな!タンクとしてそいつはしっかり働いているのに守る対象がそっちに行ったらキツくなる!」
「回復……っつっても、ロボットに効くのか?」
ギャルさん達とか他の人が一瞬こっちを心配して寄ってきそうになったけど、タンクの人達がそれを押しとどめた。タンクの人が1人でヘイトを集めて他の人に攻撃が行かない様にしているのに、他の人が寄ってきてしまったらタンクの人に対して範囲攻撃を撃たれたとしても被害はタンクの人1人で済むのに心配で寄って来た人達まで範囲攻撃に巻き込まれたりしてしまう。その辺を分かってるタンクの人が周りの人を止めたまでは良かったけど、ダメージを受けたタンクを回復するヒーラーが居たとしても、ロボットに対してヒールが効くか分からないという事で色々悩んでいるみたいだ
「回復、不要。魔力は温存してください」
【精神防壁】で攻撃自体はしっかりとガード出来ているけど、大分僕に近い位置で発動しているので、他の人からしてみればボッコボコにベヒモスに殴られている様に見えるだろう
「一旦俺達がヘイトを!」
「不要。兵器は、使われる事こそ本懐。戦闘を有利にする為に使用される物。他者からの回復は、受け付けていません」
戦闘に利用される物だからこっちに回復のリソースを使う事は可能な限りやらせない様にする。ロボット相手にヒール的な事が使えちゃったら怪しまれる様な気もするからそういう形にしてみる
「グワァッ!ガァッ!」
「ワわ、私は、秘密兵器ラム、ラムダダオーラムムダ。その存在が明るみみ、になったタ時点で、ジ爆処理す、する事が、決定しています」
何となく壊れそうな感じでバグっぽい喋り方にして、自爆処理するから回復する必要ないよと暗に伝える。と言うか、ほぼほぼ回復する為のMPとかのリソースもギリギリだろう。僕という存在を隠しながら、そして皆が楽しむには皆が戦闘の主体(DPS)になれる様に立ち回り、この戦闘を終わらせる。それがラムダの役目だから、その辺のリソースは使わせない様に色々言って、ゲヘちゃんアーマーも少しずつ減らしながらも、カウンターのパンチなどを当ててベヒモスを追い込む
「ゴガァッ!」
ベヒモスの前足振り下ろしを躱し、顔面にサマーソルト。恐怖状態になったみたいなので、即座に心臓をポン君パワーアシストを借りて握り潰す。味方からしてみたらベヒモスの背中しかほぼ見えてないだろうから今僕が何をしたかは見えていないだろう。でも、これは好都合。ゲヘちゃんアーマーはある意味、ロケットパンチ的な事も可能と言えば可能なので、片腕だけ地面に落としておく事も可能だ。体の方に腕を仕舞っておけば案外バレないだろう
「さいゴに、ひとノやくにタてて、ヨカッた」
後ろ向きに倒れて、行動を停止する。心臓潰したはずなのにまだ動いてる。ベヒモス凄いなぁ。でも大分動きが鈍いからあれならもう9人で倒せるだろう




