起動成功。演技開始
「そういえばさっき色々資料を拾ったんだよ。この兵器のバックグラウンドじゃないけど、色々書かれててさ?この中に何かヒントってあったりするかな」
「んー、もしもーし。いや、これ聞こえて無くない?」
「先にその水槽を開けるべきなんじゃないか?」
「え?大丈夫?いきなり腹刺されたりしない?」
「起動用のパスワードが必要だし、開けてもすぐ動く訳じゃ無いだろう」
やっぱり考える事は一緒みたいだ。こういう場面だとそれ考えちゃうよねぇ
「あっ!これじゃない?開けるボタン」
「確かにそれっぽいけど、先にパスワードを探した方が良いんじゃないかな?解放していきなりパスワードを聞かれて答えられなかったら戦闘とか中々にリスキーな選択になりそうだし」
「そうか、こういう兵器だったら悪用を避ける為に自己防衛的な可能性もあるか」
慎重な人が居るお陰で問題なく進んでいる。さぁ、パスワードを見つけられるかな?
「怪しいのはこの機械の近辺だけど……」
「多分この場所のどこかにあるとは思うんだが……」
「一応ここまでの道を戻りながら探しておこう」
「その辺の棚でも見ておくか」
流石に9人も居れば人海戦術と言わんばかりに様々な所の探索を分担して探している。物凄い速さで隠していた情報の所に人が集まっていく
「ここで何かしら書いていた……いや、日記的な物をさっき見せてもらったし、そういったものを書いていたのかも。そうとなるとここが一番怪しい気がしてきた」
「一気に捜索しよう!そうしよう!」
棚とか山詰みの資料的な怪しい物があるけど、一番大事なのは君が今座ってる椅子なんだよなぁ……
「んー、どこにもないなぁ」
「パスワードが無いと下手するとこのロボットとあのボスを同時に相手しなきゃいけなくなったりするんだろうか。だとすると確実に起動してこっちの仲間にしないといけないが……」
「ねぇ、ちょっとその椅子見して」
「え?まぁ良いけど」
ここで動いた白ギャルさん。黒ギャルさんが座ってた椅子を一通り見るとひっくり返した
「あった!」
「え?ほんとだ!」
「なるほど!積み重ねた努力の下ってそういう事か!」
別にただの自分の成果が素晴らしい物だ。それを作った自分が凄い的な文言をどうでも良い書類に書いていたけど、それがヒントだと勘違いしている人が居る。まぁ、そういう事にしておこう……
「それじゃあ早速あの水槽を開けてみよう!」
「ちょっと待って。よし、オッケー!」
記憶していたのか何なのか分からないけど、こういう記憶系得意な人とか居るだろう。あまりに長かったりしたら僕はメモを遠慮なく取り出すけど
「じゃ、開けるぞ」
「いつでも良いよ!」
「了解。オープン!」
水槽の制御するボタンの位置に居る人達と離れる他の人。さぁいよいよ外に出られるなぁ
「うわぁすっげ!」
「かっこえぇ」
「再起動。成功。起動用音声パスワードを入力してください」
出来る限り平坦に。声に抑揚を作らない様にしてロボット風に見せる。ここからずっと演技で行かないとなるとやっぱり途中退場が一番都合が良いな
「起動用音声パスワードを入力してください」
まずは同じ言葉を繰り返してロボット感を何とか出す。今の所怪しまれている様子はないと思う
「えっとパスワードね。『今この場にて、封印を解く。その力振るい給え。起動!ラムダオーラムダ!』」
うん……なんだか非常に申し訳ない気分になった。白ギャルさんがちょっとだけ厨二チックな言葉を言わせたのは事故であって、断じて狙った訳では無い
「起動用音声パスワード承認。ラムダオーラムダ起動します」
首をゆっくりあげたりして起動感を醸し出す。白ギャルさんが起動したし、一応ここは白ギャルさんに対して挨拶をした方が良いな
「おはようございます。人型兵器ラムダオーラムダ。ただいま再起動いたしました。再起動していただき感謝します」
白ギャルさんに頭を下げる。これでとりあえず敵対はしてないって証明になるかな
「本当に起動した!」
「成功だ!」
「やった!」
「どういう戦い方をするんだろう?」
「戦闘スタイルへの質問への回答。主に単独での近距離戦闘。ただし、味方が居る場合は最前線での近距離戦闘。および、敵の注意を引き、他の味方への損害を抑える盾役としての戦闘スタイルに変更」
とりあえずタンクですよ。と分かりやすく説明しておいた
「単独戦闘?って事はアイツとも単独で戦える?」
「戦力計算。計算結果。敵性存在との味方を防衛しつつ単独戦闘での勝利確率、7.8%です。味方が戦闘する場合。勝利確率74.6%まで上昇。総力戦を推奨します」
サボるなよ?と暗に伝える。味方を守りながら戦うにしても、手伝ってくれるかそうでないかでこれだけ確率が変わるんだぞ?まぁ、適当に数値決めたけど
「全然数字違うな……単独と総力戦ってそんなに違うんだ」
「一人で戦うならダメージソースだって少ないから戦闘が長引いてやられるって事なんじゃね?だから総力戦で戦えって事なんじゃ」
「肯定。敵性存在と本機の防御能力を比べた結果。長期戦は回避を推奨します」
このキャラで行けばある程度こっちの提案を聞いてくれるのかもしれない。出来る事出来ない事をハッキリさせる事で連携をしっかりさせよう




