地下調査の為に
「とりあえずこのくらいあれば大丈夫だよね?」
「ハイ。ナニヲツクルニシテモ、オソラク、モンダイアリマセン」
今はミニゲヘちゃんを呼び出して岩場に来ている。さっきの会話を聞くに誕生日の人があの中に居るらしいから誕生日プレゼントを作ろうと思う。正直知り合いって程でもないからそこまで立派な物は作るつもりはないけど、拾ってラッキーくらいの物を作ってあの洞窟の中に投げ込んでおけば良いかな
「何を拾えればラッキーくらいに感じるか……」
流石に急に剣とか出てくるのは怖すぎるだろうし、指輪とか腕輪くらいかな。そのくらいのサイズ感の物なら急に出てきてもそこまで怖くないと思うし
「いや、でも、正直それなら指輪もらうより普通に鉄のインゴットとかあった方が良いか」
多分作ったとしても数値的にはステータスに+10も行けば良いくらいだろうけど、それなら何にでも使えるインゴットを貰った方が自分で加工するっていう選択肢があるからそれならそっちの方が良いか。インゴットなら宝箱に入っていてもある意味不思議じゃないし
「じゃあゲヘちゃん集めた鉄鉱石をよろしく」
「オマカセクダサイ」
ミニゲヘちゃんが僕の採掘した鉄鉱石を食べる様に体に取り込んでいき、電子レンジで何か温めるくらいの気持ちで待つ
「まぁ、周りに誰も来ないかどうかだけ気を配っていれば良いか」
「カンセイシマシタ」
周囲の警戒をしていたらゲヘちゃんから鉄のインゴットが出て来た。少し薄目のインゴットだから、これなら加工とかもこの島でも一応出来そうな気がする
「オッケー。良い出来だね!流石ゲヘちゃん」
「ドウイタシマシテ」
ミニゲヘちゃんだと、そのまま頭の上とか横になって貰ってお腹の上にフライパンをのせる事で物を焼く事も出来るし、会話も出来ちゃう。なんだったらちょっと寒いなって思ったらゲヘちゃんに近くに居てもらえれば暖かいし、本当に偉い
「あとはこれを入れる箱を作ってあの周辺に置いておけば良いだろう。発見したら誕生日プレゼントだ」
見つけたらそれはプレゼント。見つけられなかったらそれはいつか発見されるだろう素材だ。関わり的にもこのくらいが丁度良いかな
「えっと、それは何を、作ってるの?」
「鉄のインゴット。今見守ってる人の中に今日が誕生日だって人が居るそうだから、その人向けのプレゼントだね。流石に金属弓は破壊が難しいからレイさんにこれで弓作るのは難しいよ?」
金属で作る弓を破壊するってなると中々大変そうだな。ゲヘちゃんに超高温で熱してもらって溶かしたりすれば行けるか?だとしても結構なハイパワーでやらないと無理かな?
「まぁ、せっかく装備交換したんだからもう少し長く使って欲しいかなって」
竹の弓から結構な高反発の枝で作った弓にしたんだし、もう少しその弓で我慢してもらえると嬉しい
「確かに、鉄だから良いとは限らない」
鉄の弓とか凄い重そうだしな……絶対取り回しが悪い。矢の射出速度が速まったとしても取り出したりしまったりするのが大変だろうから普及はしないだろう。それなら今の木の弓で色々やって欲しい
「軽くて張力がある弓が良いんでしょ?」
「軽いのは良いけど、ほどほどに重さがあった方が良い」
それは風向きとかの関係で変わってくる事柄かな?でも、弓を構えても軽くて横風によってエイムがずれるとかは確かに起こりそうだ
「とにかくこれで形は何とかなったし、置いてきますか。ハッピーバースデーとか何か書いていこうかな」
これ見つからなかったら恐怖だろうなぁ……謎の金属のインゴットと誰に宛てたか分からないおいわいの言葉。見つけても恐怖か
「ま、受け取り方次第って事で」
こっそりと潜入して、ササッと置いてきますか。一応生活は問題なさそうだし
「さて、どうなるかなぁ」
流石にこれは人の存在を意識しなきゃいけないだろうから島を捜索しようとするかもしれない。なら今の内に地下で入れる所まで入ってしまって調査とかしてしまおう
「これで少し調査に余裕が出来れば良いな」
この辺であえて存在感を大きく主張する事で調査する時間を稼ぐ事が出来るだろう。今回のイベント。隠されたお宝を入手しよう!みたいなノリだったし、多分ボス戦がまだ用意されていると思うし、地下がどんな所かしっかり把握出来なければ、環境を利用した戦闘方法も上手く活かせないかもしれない。この道を曲がった先にゴミ箱があって、それを踏み台にすれば柵を超えられる……みたいな場面にならないとも言い切れないし、調査する事で生存率も変わってくるだろう
「それじゃ、行かせてもらいますよ?」
誕生日プレゼントはセットしたし、背負子は一旦木の上に隠して来たから潜入しよう
「あ、レイさんとリーどうしよう……」
「隠れればいいの?」
「リーは僕の体にくっ付いておけば大丈夫だろうけど、レイさんって天井とか壁に張り付いたりできます?」
「これならどう?」
わぁ、流石幽霊。普通に地面とか貫通してますねぇ!
「もうそれだけ出来るなら心配する必要も無いね。それじゃあ行ってみましょう!」
「アノ、ワタシモ、イキマスカ?」
あ、ゲヘちゃんにも来てもらうか?




