無人島の幽霊
「クッソ、今俺対抗手段持ってないぞ……」
「幽霊の大群は流石に無理!」
「これ相手してたらMP持たねぇぞ!」
「ちょ!無理無理!」
急いで声のした方に走って行くと、大量の幽霊に囲まれかけている数人を発見した。シスター服を着てそのまま幽霊を集めてから冥界に送るって方法も取れるだろうけど、それをしちゃうと僕だと分かりやすく晒してしまう事になるから何とか僕だとバレない様に幽霊を送らなければならない……僕の今持っている手札であの人達を救うには……
「ポン君、リー。ちょっと協力してもらうよ」
2人にやって欲しい事を伝えて急いで準備する。多分これなら僕だとバレずに救援出来るかな
「よし、準備完了!行きまーす!」
僕がやった事は、ポン君に大鎌みたいな形状になってもらい服のちょっとした変更。リーに服の上から垂れてもらう事で、おどろおどろしさの演出。【バリアント細胞】を使って身長を伸ばして、仮面を骸骨チックなデザインにした。見た目的にはこれで死神チックな見た目になったかな
「っ!お、おい!あれ!」
「もっとヤバいのが来た……」
「死神……」
「「「「アァ……」」」」
多分だけど、幽霊的にはシスター服の性能に気が付いているのか、こっちに近寄ってくる。幽霊を引き寄せて、人はビビらせて遠ざける事が出来ている。これなら楽が出来るな
「カエルベキ……トコロヘ」
拳を2回打ち鳴らしてから幽霊達の成仏を始める。他の人からは大鎌を回転させてその吸引力みたいなので幽霊を引き寄せて消滅させている様に見えるかもしれないけど、実際は拳を2回打ち鳴らした事で【幻影手】の効果が発動されて勝手に回転しているポン君に合わせる様な幻影の腕を見せている最中に胸の前で手を合わせて祈り、幽霊達を冥界に送っているだけだ。見た目は魂を刈り取っている様に見えるだろうけど、実際はあの世への行き方を見失ってしまった存在にしっかり道を目の前に用意してその道を歩いて行ける様に背中を押してあげているだけなんだけど……
「や、ヤバい!このイベントヤバい!」
「あんなのも出るのか!?絶対あのライオンみたいな奴より強いって!」
「で、でも、こっちには興味を示してなくない?幽霊の相手しかしてないような気がするけど……」
「た、確かに……幽霊の相手しかしてない。これは今の内に逃げるしかないでしょ」
幽霊の相手しかしてない事にすぐに気が付いたようで、僕は幽霊の相手しかしないってわかってもらえたみたいだ。これでさっさと逃げてくれてると助かるんだけど……
「「「「「今の内に逃げろ!」」」」」
よしよし。ナイス判断
「はーいお待たせ。皆成仏させてあげるから寄った寄った!」
何かのたたき売り的な感じで幽霊達を呼び寄せてまとめて成仏させる
「「「「「アリガトウ……」」」」」
幽霊を成仏させ、ひと段落出来たので、変装を解除する
「ふぅ、中々危なかったかも。でもこれで何とかなったな」
死神さんに会っているからなんとなくそれっぽい恰好をして真似したけど、幽霊の集団は全員送れた
「でも、さっきの人達も言ってたみたいに、無人島に幽霊って言うのも不思議だな。食べられない敵って事だけならもう少し違う生き物を出してきても不思議ではない気がするけど……これももしかするとなんらかの謎が含まれているのかもしれない」
単純に食料にならない(一般的には)って意味ならデカい昆虫みたいな敵の可能性も全然あり得た。でも今回出て来たのは幽霊。となると何かしらの意図があっての幽霊なのか?
「さっきの幽霊達って人型しか分からないのも居れば、まだかろうじて装備が見えたのも居たよな」
戦士と言うか騎士と言うか、鎧を纏ってたんだろうと分かる人やローブと折れた杖を持っている人も居たハズだ。もし、生前の恰好を割と再現しているとなると、あの人達は冒険者の様な存在なのだろうか?
「冒険者の幽霊。どこかに話が聞けそうな幽霊居ないかな」
島の謎の何かしらのヒントがあるかもしれないし。これは幽霊から是非話を聞きたい所だ
「幽霊達が出て来たって思うべきか、今のが実は何か教えてくれるクエスト的な物だったら……あれ?もしかして詰んだ?」
もし、今の幽霊集団からしか情報を得られなかったら相当苦しい事になる事をしちゃったけど……ま、まぁ何とかなるだろう!
「………」
「良かった!まだ居た」
集団を成仏させてからやってしまったと思ったけど、まだ1人残っていたみたいだ。これで話が聞ける
「あの、すみません。ちょっとお話を伺いたいんですがよろしいですか?」
「ぁ……」
うーむ、これ話を聞けるか心配になって来たな……
「ゆっくりで良いからお話。出来るかな?」
「わか……った」
よーしよし。ちゃんとお話し出来た。多分この島で死んだ人達な気がするし、お話を聞ければ何らかの存在が居るかどうかも聞けるかもしれない。この島を見て回って特に死にそうな箇所は無かったと思うし、地下に何があるかの情報を得られれば嬉しいが……




