コーティング
「うひゃー!凄い嵐だねぇ!」
「……!」
「でもリーとポン君のお陰で助かるよ!」
一度魚を捕りに海に向かうが、流石にこの風と雨の中で何も対策せずに外に出るのは危険だ。ポン君にHPを吸わせて知覚強化と筋力の補助をしてもらう。これで嵐の風の中でも歩けると思ったけど、更にリーが僕に覆いかぶさり、僕の体をコーティングする様に伸びた。試しに外に手を出してみると雨が当たってもレインコートの上に当たっている様な感覚。リーがこの状況でも外に出られる様に体を張って雨から僕を守ってくれている。ただ僕を食べようとしているのかもしれないけど、2人のお陰で外に出ても問題なく活動出来る
「海まで行くぞー」
強風と豪雨の中海まで進んで行くと大荒れの海まで出る事が出来た
「大荒れだねぇ……でも入っちゃう!」
リー君コーティングのまま海に入る。こうなるとなんかウェットスーツっぽいかも
「海の上は荒れていても中はやっぱりそうでもないな。魚も……隠れているだけで充分な数は居るな」
【察気術】のお陰で魚の気配も分かるし、やっぱり釣り糸を垂らすより素潜りした方が良いな
「一応、魔糸で魚を入れる網でも作っておくか」
腰に獲った魚を入れる網袋を作って魚を捕ったらこれに入れてから陸に上がったら背負子に移せば良いだろう。流石に背負子を背負ったまま海に潜るのは邪魔になりそうだし、背負子に石を入れておいたから嵐に飛ばされる事も無いだろう
「大物は無理に狙わずにまずは量を取る事を考えよう。息は気にしなくていいから探す事に集中だ」
海に入って魚を探すけど、サイズは特に気にしない。まぁ流石に稚魚みたいなのは獲らないけども
「この袋いっぱいに貯まるまで頑張ろうか」
流石にフグとかカサゴみたいな毒があるみたいな魚は避ける。あとはクマノミみたいな派手過ぎる魚も。食べられるか分からないのは獲らない様にしよう
「さーて、9人分の食料調達だ!集めろ集めろー!」
数が必要だからフィフスター銛と、リーのコーティングの中からゆっくりと背中から深淵触手を展開して海の中を突き進む。魚の群れが居たら大チャンスだ
「お!あれはイワシか何かの大群では!?」
海を進んで行くとイワシの大群ともいえるベイトボールに遭遇した
「一体感凄いな。確かにあれならデカい魚と感違いするのも分かる」
魚群が丸だったり、四角だったり、大きなシルエットの魚っぽい形になったりと、形が変わっているのを見ていたら僕がサメとかだったとしても、これを食べようとするのは中々思わないだろう
「でも、そういう群れてる生き物って、美味しいんだよね!」
食べられたくないからそういう事をする様になった。という事は美味しいって事だ!
「頂きます!」
銛と触手を使ってイワシをたくさん取っていく。銛で刺したのは僕の分として、触手では突き刺すというより生きたまま捕える様にしよう。嵐で巻き上げられて降って来た感じを演出しないといけないし
「良いねぇ!大量大量!」
目測100匹を超えるくらいは獲れたんじゃないだろうか?これだけあれば嵐を乗り超えるまでの食料は入手出来たんじゃないかな?
「よし、自然の恵みに感謝!そしてサヨナラ!」
欲しい分のイワシを獲ったのであとは帰還するだけだ。さて、帰りますかぁ
「あっぶなぁ。ポン君で知覚強化してなかったら島への帰り道が分からなくなる所だった」
少し離れた位置に目印になりそうな岩があったけど、海水の関係で目で見えない距離まで離れていてちょっと危険だった。知覚強化してなければこのまま漂流する事になるところだった……
「うん、背負子もある。ちゃんと帰ってこれた……」
陸に置いておいた岩入り背負子がそこにあった。あれは確実に僕の物だ。ちゃんと島に帰ってくる事が出来た……
「嵐が終わったタイミングでイワシをバラまいたら良いかな」
水溜まりはそこかしこに出来ているから多分、あの入口の前にも水溜まりが出来ているだろう。そこにイワシを入れておけばまぁ、取ってくれるんじゃないかな
「ふむふむ、最後は海底を歩いて来たけど、やっぱりそろそろ嵐が去りそうだな」
海の荒れ具合が入った時に比べて少し穏やかになっているし、雨や風も弱まっている。嵐って言うより台風だったかな?
「うん、森とかも大分荒れてるなぁ」
やっぱり枝や幹がばっきり折れていたり、果物の類がまだ落ちていたと思ったけど、そういう物も吹き飛んでしまってる。種だけ持っておいて良かった
「どうするかなぁ。こうなっちゃうと隠れるのも少ししんどくなるから皆が寝てるだろうタイミングで神楽舞行脚した方が良いかも」
これもある意味自然の摂理なのかもしれないけど、僕にとっては隠れるのが難しくなりそうなので、木にはまた大きく育ってもらわなければならない。だから夜の間に成長させて回るかな。島全体となるとかなりの時間掛かりそうだけど……
「大変だなぁ。まぁ、難しい事は考えずにまずはどこかで食事かな。イワシならお米も食べたい所だけど……やっぱりウカタマ呼べないの大分痛いなぁ」
こんな事なら稲の1本くらいコッソリ持ち込んでおくべきだったか……




