ライオン討伐
「すまん!誰かMP回復ポーションとか持ってないか!MPが切れる!」
「こっちもそろそろMPが切れそうだ!」
「ちょーっとこれはまずいかも……」
戦闘が進み、ライオンもどきも大分追い込んできたとは思うが、こっちも攻撃する手段が足りなくなってきた。やっぱり無傷で進めるという訳にはいかず、遠距離から攻撃する為のMPだって限りがあるし、近距離で攻撃するにも反撃を喰らったりして回復にもポーションとかMPを使っている。今回のイベントでのMP回復用のポーションを持ち込むのだって数に限りがあるから今が使う場面なのか判断し辛いのも理解している。あともう少しなのだろうけど、そのもう少しを埋める事が難しい
「足りぬなら、足してあげよう、【アクエリアス】」
遠距離であまり動かないだろう魔法矢の人に【アクエリアス】を掛ける事であの人をヒーラー状態にしよう
「なっ、なんだ!?回復してる!」
「え!私も回復してる!」
「このエリアか?MPも回復してるぞ!」
一気に全回復させる事は出来ないけど、戦闘を続けながら複数人を同時に少量回復出来る【アクエリアス】の方が今回は向いている。しかも、万が一ライオンもどきの攻撃に毒とか麻痺みたいな効果があったとしても、1分に1回は解除出来るから安心感もある
「ガオァ!」
「「うわぁ!」」
その場でターンをして周りに居たタンクを吹き飛ばすライオンもどき。おっと?これ今ヘイトはどうなってる?
「グアゥ!」
タンクが吹き飛ばされて挑発の効果が切れたのか、遠距離攻撃班に噛み付こうとするライオンもどきだが、それは僕が許さない
「【精神防壁】」
「ゴッ!?」
ライオンもどきの牙が遠距離攻撃班に当たる事はない。上で僕が守っているからそう簡単に攻撃を通す訳にはいかないんだ。全員生きてこの島を脱出させるつもりだし
「今が好機っしょ!」
「押せ押せー!」
少量とはいえ、MPは回復しているので攻撃魔法やら魔法矢での攻撃が再開された。立ち位置を調整すればタンクのHPも同時に回復出来るから回復に時間もMPも割く必要が無い。まさに今が好機だろう
「ウグゥ、スゥゥゥ……」
あ、息吸い込んだ。これはまた咆哮が来るかな
「【ハシャフ】」
もしかしたらブレス系の何かかもしれないけど、それなら防壁を出して皆も守るだけで良い
「……!?」
ライオンもどきの表情が明らかに驚愕に染まる。確かに自分は咆哮をしたハズなのに音が出ていないとなればそれは驚くだろう。そのタイミングを逃さない、我らがツインギャル
「「いっけー!」」
ズバンッと属性を纏った剣で叩き斬る事でライオンがX字に斬られ、そのまま地面に倒れ伏した
「やった?もしかしてやった!?」
「やった!倒したじゃーん!皆もお疲れ様!」
「「「「「お疲れー」」」」」
うんうん、雰囲気良いね。さて、問題はライオンもどきをどうするのかと、あの地下への入口だ。ライオンのお肉は……流石にやめておいた方が良いような気がする。食べられるとは思うけど、なんか昔、肉食獣の肉はすっぱくてあまりおいしくないみたいな話を聞いた気がする。雑食、草食な生き物の肉が美味いという話だけど……このライオンもどきは間違いなく人食いライオンとかそういう類の物だと思うから食べるのは辞めておいた方が良いだろう。僕的にはそっちよりも地下の入り口の方が断然気になる。こんな島で地下で何かをしている人が居たかもしれないとそれだけでも気になる
「とりあえず皆疲れてるみたいだし、一度戻ろっか」
「賛成!このライオンって誰がアイテムにする?」
「うーん……」
やるとするなら今回のMVPがやるみたいな流れなんだろうけど、誰がやるかで話が進まないかも。どうするかなぁ……早くあの扉の先を確認しておきたいんだけど……
「とりあえず誰になるか分からないけど、全員のナイフでいっせーので刺す?」
「それ見た目が猟奇的にならんか……」
9人がライオンもどきを囲んでナイフを同時に振り下ろすはカルト感あるなぁ……
「とりあえずとどめ刺した2人がやって欲しいかな」
「確かに。それで良いと思う」
結局最後にとどめの一撃を放った2人がライオンもどきをアイテム化する。何になるかな
「さてさて……これは!」
「うおっ!すげぇ!」
「これは!」
「なにこれすげぇ!」
なんか凄い凄い言ってるけど、僕には残念ながら見えないのでさっさと下に降りてあの扉の先を調べたい
「これは一旦ログハウスに戻ってからここの調査する?荷物とか持ち運ぶのもそれなりに大変だし」
生活するのに必要な物でも、戦闘においては邪魔でしかないアイテムとかを置いておくログハウスに荷物を取りに行くってどうしたんだろう?もしかしてアイテムボックス的な物でも入手出来たのかな?それならあのライオンもどきを倒して入手出来るアイテムとして中々のアイテムだけど
「じゃ、一旦帰ろっか」
よしよし、それじゃああの扉の調査を……
「で、さっきの回復とかは誰がやったのかな?」
「それな!」
「あの回復無かったらマジでジリ貧だったし、誰がやってくれたん?」
さっきの回復した人探し始まっちゃった




