様子見
「うわっ!なんだアレ!」
「魚?と、これは乾燥台か?」
「どうなんだろう……あれ触っちゃっても大丈夫なのかな……」
地図を渡した後、多分この中で一番危険になりそうな印のポイント(ライオンみたいな奴が居た場所)班を追跡していると、魚の乾燥台を発見していた
「これ……食料として持って行って良いのかな」
「流石にそれはヤバくない?誰か別に人が居たら食料盗まれたって事になるかもなんだけど」
「いや、それは無いんじゃないか?ほら」
もちろん僕だってただ乾燥台を置いておくだけじゃ警戒されて魚を持っていってくれないと思ったからコッソリ乾燥台の枝に『ご自由にどうぞ』とは書いてある
「もうここまで来たら分かる。この島、絶対もう1人居るわ」
「どう……する?」
「えぇ?どうするって……」
「まぁ『ご自由に』って書いてあるならありがたく貰っておこ。今度これの相手を見つけた時にお礼言えば大丈夫でしょ」
黒ギャルさんのお陰で思惑通りになってくれた。これで釣り班が失敗しても一応食料を確保出来たし、少し安心出来る
「にしても、なんだってこんなモンを……」
「ウチとしてはありがたく貰える物は貰っておく主義だからこういう時は遠慮せず貰っておけば良いんだよ!毒があるかどうかは家に戻ってから確認すれば良いし、落とし穴とか掘っておけば、これを使って野生の奴をおびき寄せるとかも出来そう!今日これを発見出来なかったら二度とこの乾燥台と魚は獲れないんじゃない?」
「まぁ、確かに……」
「じゃあ魚は分割して持っていくか……」
確かに、敵のポップが少ない今だからまだあったけど、これから狼とかの敵が湧きだしたら、こんな匂いがしそうな物、人より先に魔物が来るかもしれない。そうなったら乾燥台はすぐに壊されて、魚は彼らの手に渡ってしまうだろう。でも、それを逆手に取って更に大きな魔物を捕えようとしているのは、このギャルさん中々に先を見据えているのでは?
「で、あともうちょっとで印の場所だけど、これって山?」
「……山の方面であってるね」
「単に、何か魔物が居るか、何か埋まってたりするのかな」
色んな予想を立てながら進んでいく3人。3人で一応周囲を警戒しているから迂闊に姿を晒さない様に気を付けなくては
「「「着いた!」」」
ついに入口に辿り着いた3人。さて、この3人はどうするのかなぁ……
「中に入って調べてみる?」
「一応扉を開けてコッソリ中を覗く程度にしておかない?」
「流石に見るだけにしよう」
おー、ちゃんと3人共入る前にどうするか相談してるな。一応外から見るだけに決まったみたいだ。中に入るって言われたら、僕も急いで上に上がって緊急脱出用の魔糸を垂らさなければならないから、その心配が無くて一安心だ
「うーわっ、なんだアレ……」
「ライオンっぽいけど……」
「まずここに居る3人じゃちょっと対処出来なさそうだし、この情報だけでも持ち帰ろ。あいつの討伐はもっと人数が居るでしょ」
冷静な判断だ。ここで3人で無理するのではなく、もっと人数を増やしてから再アタックを掛けるって言えるのは偉い
「今のところ……動いてないみたいだけど」
「多分今は寝てるんだろ……寝起きがどんなか分からないけど」
「そもそも敵がポップしてないから、あいつがこの島の王なのかな」
色んな考察が巡っているけど、僕の考察としてはあいつは門番なんだと思う。上から掘っていた時に気が付いたけど、あいつの足元に扉らしき物を見かけた。あの先に行かせない為にこのライオンらしき存在が居るのだろう
「よし!それじゃあ戻ろ。これを伝えるのだって立派な仕事だし」
「そうだな。あれは3人じゃ荷が重すぎる。それこそよっぽどのヤベー奴でもいなければ、このまま挑んじゃダメな気がする」
「例のあの人みたいな?」
なんだか話が不穏な方に……
「あの人がこの場に居れば多分あの人1人でも入っていくよ。で、多分あのライオンみたいなのも倒していく」
「割とマジでやりそうなんだよな……」
「もしかしてだけど、この島の10人目があの人だったりしてなー」
「「まさかぁ」」
わお。まさかの正解だ。ラストの1人は僕だけど、よっぽどの事が起きない限り、姿を晒す気はない
「あの人だったら多分もう1日で島制圧するでしょ!」
「案外、魔物とかを仲間に引き入れてそう」
「完全には知らないけど、凄い人だって話は聞いてるからこの島の環境を整えたりしそう」
環境整備はかなり重要だと思う。あと、噂が一人歩きしてとんでもない事になっているけど、流石に1日で制圧するのは無理だろうなぁ……アイテムとか装備とか結構取られてるし
「それじゃあ情報共有しに戻ろ!」
「あいよ」
「了解」
ギャルさんを先頭にログハウスに戻るみたいだ。僕はもう少しだけここにとどまってライオンの事を観察してみよう
「ほうほう、人が入ってこないと寝たままなのか」
寝ていたはずのライオンもどきも僕が入ると起き上がる。外に戻るとまた眠る。これは地面の振動か何かでこっちの存在を認識しているのだろうか?




