意外と切れ者?
「ねぇ、昨日誰かウチらの所に来た?」
「あ、そうそう!昨日はありがと」
「「「ん?」」」
「誰かウチらの所に蟹おいて行ってくれた……んじゃないの?」
あ、昨日の蟹をここの人がおいて行ってくれたと思ってるのか
「え?蟹?」
「誰か知ってる?」
「いや、知らない……」
「蟹……美味そう」
場が混乱してそうだな。まぁ僕がこっそりやったんだから、ここに居る人達が知る訳がないんだけど
「え?わざわざ道しるべとかも用意してくれてたじゃん!石を辿れば道は開かれる~とかなんとか!」
あのギャルさん、僕が適当に作ったあのクイズもすぐ解いたのかな。見た目はギャルだけど、中身は普通に優等生とかそういうのありそうだな
「「「「「全く知らない……」」」」」
「誰も知らない……これって」
「んー……」
頭をトントン叩いて何か考えるギャルさん
「この島……まだ人が居るんじゃない?」
「「「「「えぇ!?」」」」」
おっと!?まさかもう見抜かれたか。もうちょいイベント中のお助け的な存在とかの段階を挟むかと思ったけど、あのギャルさん結構鋭いな
「だって昨日。ウチらはお腹減って辛かった時にすでに茹でられた蟹の差し入れがいつの間にかあったし、3択くらいの道しるべと、進んだ先にこの釣り竿が3本あったし、これは確実に誰か仕込んでるでしょ」
あー、そういう風に捉えていたのか
「言われてみれば確かに、このログハウスもそこの焚火の煙が上がってたからここに来たけど、元々この島って無人島のハズだから人が居るハズが無いんだよな」
「このログハウスも見たところ本当に作りたてみたいに感じるし、ここには居ない誰かが用意したんじゃない?」
「イベントとして運営が用意してくれてたんじゃない?」
「それなら、ログハウスの中に何かしら生活感のあるものがあるんじゃない?見た感じ、本当にハウスだけ作られたって見た目だけど……」
もう片方のギャルさん……白ギャルさんがログハウスの外見や中を見て、イベント用に作られた物ではないと判断していた。これ、この2人絶対中の人賢いわ
「それに、9人って収まり悪くなーい?」
人数に追及されたか。それはもう、言い逃れ出来ないなぁ。それでも出る気はないけどね
「10人目のプレイヤーが居る……?」
「これ、10人目が仮に居たとして、俺達が何か出来る事ってあるのか?」
「大工みたいな職の人が居たのかもしれないけど、もう死んじゃってるとか?」
お、良いねぇ。そういう話の方向性を出してくれるのは助かる
「その可能性が無い訳じゃないけど……」
「まぁ、細かい事は後にしよっ!それよりもまずはウチらがやるべきはその地図に載ってる印の場所の調査と釣りでの食料調達じゃない?」
ギャルさん……黒ギャルさんがある意味この場をコントロールしているな。というか、自然とリーダーシップを発揮してるなぁ?あえて、もう一人居ると言って話を逸らしつつ、本題に戻るみたいな感じでやるべき事をやろうとしているな。10人目捜索隊とかも組まれたりするかな
「まぁ、釣り竿が3本あるから3人、印の場所確認に3人、ここに敵が来た時に備えての防衛と果物集めに3人居れば良いんじゃないか?」
おっと、なんかどっちがリーダーかみたいな争いかこれ?ログハウス組の中の1人がどう分けるか提案してきた
「良いじゃん!それでいこ!」
それを採用する黒ギャルさん。採用するって雰囲気の段階でもう黒ギャルさんの方が上っぽいな
「じゃ、チーム分けしよう。各々のやりたい仕事は?」
9人それぞれにやりたい役割を聞いて、割り振っていく。今回はラッキーな事に3人ずつ分かれたから下手にもめたりする事はなさそうだな
「よし、分かれたみたいだし、早速行こっか!」
黒ギャルさんが印調査班。白ギャルさんは防衛班と別れた。まぁ、やりたい事やれるならそっちの方が良い
「じゃ、行ってきまーす!」
元気よく挨拶してそのまま動き出す黒ギャルさん
「ちょっと、流石に一度休憩した方が良いんじゃないの?」
釣り竿を3本もって来たりしてるから一度休憩を取る事を勧められてる。確かに一度休んだ方が良いだろう
「チーム分けも良いが、まず歩いて来たなら休憩した方が絶対良い。印の地点だって何があるかも分からないし、ボス戦とかだった場合は疲れて逃げ切れないなんて事になったら申し訳ないが、自分が死なない為には見捨てる事になってしまうかもしれないから」
確かに生き残る事が一番大事なのに『ごめん、疲れたから無理』とか言われても困るよなぁ
「それじゃあちょっとだけ休憩させてもらうね」
黒ギャルさんがそう言って、ログハウスにもたれ掛かる
「あっ、そうだ。水ってある?飲み水」
「それなら一応、あっちに水場があってそこで汲んだ水を使ってるよ」
「おっけー。それじゃあ、ちょっと水飲んで休憩してから行かせてもらうけど良い?」
「了解。それじゃあ皆で飯にしようか」
とりあえず合流してちょっと危ないかな?と思ったけど、ギャルさん達のコミュ力というか、雰囲気?のお陰で問題は起こらずに何とかなったな




