リー
「うん、やっぱりあれだな。寝る時間が短いとその分動くから僕は1日4食とか必要になりそうだな」
寝てる間は動かないし、多分空腹度の減少は割と抑えられると思うけど、僕の場合は寝る時間がそもそも少ないし、動きまわるからオーブさんに空腹度の減少が抑えられていると言われても、今のままでは中々辛い物がある。島を見て回ったけど、果物があったのは島の中央付近のみ、周りは素材系が多く、キノコとかもあったけど、あからさまに真っ赤でサンゴみたいな形の危なそうなキノコとかしかなかったので、スルーしたけど……
「うーん、ああいうカエンタケみたいな危なそうなキノコは先に採取して回った方が良いか?」
流石にいきなりアレを拾って食べようとする人は居ないと思うけど、食料が無くて手を出してしまう可能性は捨てきれない
「やっぱりこの島で果物だけで凌げるのはこの人数だと2日持てば良い方だよな。今の内から魚とかを獲る方にシフトさせないと……」
果物に頼る食生活だって、誰かが自分用に隠して貯めたりしたら食料計画も崩れる
「とりあえず釣り竿とかを見せびらかしておけば海に誘導は出来るか……」
となると、あの2人は使えそうだな
「そもそも魔物とかが居ないから食料調達がその辺の物しかないのが辛いな……もっと日数が進めば食料になりそうな魔物がポップしたりするかな」
この島は今のところ平和だけど、平和故に10人が生き延びる為に必要な食料が圧倒的に足りない。だから絶対に海から食料は調達しなければならない
「とりあえず夜活動する分の果物はちょっとだけまた貰っていこう」
バッグに3つ果物を入れて、作業に戻るとしよう
「ん?」
果物を取って作業をする為に歩き出したら今何か視界の端で動いた気がする。なんだ?
「なーんだ。人じゃなかったか」
そこに居たのはスライム。僕を見かけて突進を仕掛けてくるから受け流す
「あっ!そうだ」
スライムゼリーを入手出来れば乾燥の類が楽になるのでは?
「よし!君には選択の自由を与えよう!」
果物をバッグから取り出し、スライムの前に出す。その行為でスライムの動きが止まる
「逃げるか、僕に倒されてアイテムになるか、僕に協力するか。僕の言葉が伝わってるかな?伝わってるなら選んで」
「……」
おっ?話が通じたかな?スライムが動きを止めて悩んでいるのかぐにょぐにょしている。単純にスライムゼリーが入手出来ればそれだけで十分なんだけど、もしこれで、スライムが僕に協力してくれるとなれば食べさせる必要は出てくるけど、協力者を得られる。パンドーラで呼べる協力者の他に現地の協力者が出来ると思えば全然アリだと思う
「……」
「おぉ~トモダーチ」
果物に手?を伸ばしてきたスライムにそのまま果物を渡すと、果物を上に掲げてわーいわーいってやっている様に見える
「気に入ってくれたかな?」
「……」
果物を体の中に入れてゆっくり分解するスライム。とりあえずほぼ液体だから猫みたいな感じで持ち上げる
「とりあえず、色々と君にはお手伝いしてもらいたいんだ。良いかな?」
「……」
持ち上げた状態から僕の肩に回ってコクコクとうなずくスライム。良かった。これならこのサバイバル中の相棒が出来た様な物だ
「じゃあ……君はリーだ。早速リーにはやってもらいたい事がある」
元々はスライムゼリーにしようと思っていたとは言え、協力してくれるなら名前があった方が良い。リーと名付けて、リーと一緒にこの島を裏から支えていこう
「これから竹林に行って竹を調達する。その竹の水分を君には吸い取って欲しい」
「……!」
早速敬礼みたいなポーズをするリー。スライム系って割と可愛いよなぁ
「では行こう!」
夜明けまで数時間だろうし、急いで活動しなくては
「よし、それじゃあ一旦ここで待ってて」
リーを肩から降ろして、細めの竹を採取してくる。そうだな……食料調達班として3人分あれば充分か
「リー、これの水分吸ってくれるかな?」
「……!」
リーが敬礼をして、竹の水分を吸収していく。緑色だった竹が乾燥していき、黄色と言うか黄土色の様な良い感じにしなりがある竹の釣り竿が完成した
「良いねぇ、丁度良い乾燥具合だ。リーは優秀だね」
「……!」
ぷにょぷにょしながら多分喜んでいるリー。多分、だけど、あの果物が良かったのかな?
「これに魔糸を付けてあげれば釣り竿になるかな」
針に関しては乾燥した竹をちょっと削って尖らせれば一応針として機能はするハズだ
「これで……完成っと!」
3本分の釣り竿を作り終えたので、これであとは設置するだけだ。いやぁ、やっぱりこういう仕込みの作業って楽しいなぁ
「とりあえずどの辺に設置しようかな……出来ればあの2人にこっちに来る間に拾ってもらいたいけど、こっちの人達には発見して欲しくないし……ある程度向こうに寄せたい所だけど、あの2人がちゃんと持ってきてくれるかも分からないから向こうに寄せすぎても良くないよなぁ」
どの辺に設置しようかと夜の森で考えながら移動するハチであった




