撮影終了
「はい!これで終わり!お疲れさん!」
「「「お疲れ様でした」」」
最後の1枚を撮り、撮影は終了する事になった
「いやぁ、3人とも良かったよ!2人はばっちり決めてくれるし、こっちはモデルにはない、本物の自然体を撮影出来たからね!」
「ん?」
「記念として後で、撮影データください」
「良いよ!」
モデルの人が確認の為に撮影データを貰うとかは分かるけど、ちょっと待って欲しい。本物の自然体?
「あの、僕ってもしかして撮られてたんですか?」
「もちろん!君は初めて見た時から自然体で撮った方が良いなと思っていたから、2人とは別に自由にさせておいて自然体の姿を撮らせてもらったよ」
「あぁ……そういう事だったんですか。撮影に来た素人だから普通に数枚とって撮影気分だけ感じさせてくれたのかなと思って、服の感想とかのレポートを纏めてました」
茨さんに言われた様に、この服は動きやすいとか、この服はデザインは良いけど、少し肩回りが動かしにくいとかのレポートを後半は書いていた。僕が大半の時間フリーだったのは、そのフリーの時間の自然な感じを撮られていたのか
「すまないね。言ってしまうと君の自然な姿が見れないと思ってね」
「いえ、そういう事でしたら、僕もしっかり仕事出来ていたみたいですし、良かったです」
割と本気で心配だったから、仕事出来ていたと言われてマジで良かった……会社の窓際族とか言われる人達ってこんな感じかなぁ……とか思うくらい心配だったし
「うーむ……だが、これはどうするべきか」
なんかカメラさんが唸っている
「何か良くない所があったでしょうか?」
「明日撮り直しとかはちょっと……」
茨さんと菖蒲さんがカメラさんが唸った事で少し心配そうに聞いている。確かに何か撮影中に写っちゃいけない物とかがあったら今日の撮影はダメになるだろうから、気になる
「いや、茨君はいつも通り、いや、いつも以上に良かったし、妹さんも良かった。それに……」
3人がこっちを見てくる
「あの子の自然体な感じとか凄く良く撮れてるから、2人とも本当にモデルにならないか?」
あぁ、勧誘の話だったか
「えっ、と……」
「ははは、それは流石に買い被り過ぎですよ。菖蒲さんはなれるかもしれませんが、多分僕はカメラを向けられてると分かると多分そんなに良くないですから。それに学業に集中したいのもあるので、今回限りですねぇ。ありがたいお話ですが、僕はお断りさせていただきます」
なんかスラスラお断りの言葉が出てくるなぁ……
「私も、勉強に手は抜けないので……ごめんなさい」
「はは、フラれてしまったよ。茨君の妹さんとそのお友達は中々手強いねぇ?」
手強いって……この人もしかしてまだ諦めてないな?
「諦めてください。多分無理ですから」
「君がそういうという事は本当に無理なのだろうね。うむ、あの2人の写真は今回雑誌に掲載するのは辞めておくよ。2人の様な原石をみすみす見逃すのは惜しいけど、これが他の奴らに見られたら2人に声が掛かりまくって迷惑をかけてしまうだろうからね」
「すみません。せっかく撮影していただいたのに」
「いやいや、今回の撮影で君はいつものキリっとした表情だけではない一面を撮影出来たからね。それだけでも充分な収穫さ」
なんとなくカメラさんと茨さんとの会話に聞き耳を立てていたけど、カメラさんはさっきの学業に集中したいという話を聞いて、僕達の事を掲載するのは辞めるらしい。まぁ、それは確かにありがたい
「よし、皆。少し早いけど晩御飯でも食べに行こうか!」
「おぉ!良いっすね!」
「奢りですか!」
「奢りなら行きます!」
奢りなら行くってまたハッキリしてるなぁ……
「とりあえず彼女ら3人との撮影でまた新しい知見を広められたからその感謝だよ。まずそれを言うなら、君らはお弁当のおかずを貰った事をもう少し感謝したらどうだ?」
「「「おかずあざっした!」」」
ノリが体育会系なんだよなぁ
「で、どうだい?」
「もう暗くなってきたので、そろそろ家に帰りたいですね。晩御飯を頂けるのもありがたいですが、家の事もやらなきゃいけないんで……」
「そっかぁ……」
凄く残念そう。でも、この辺で帰らないと、多分疲れてそのまま寝ちゃうから家の事が出来ない気がする。家事が出来る体力と時間は残しておきたい
「1人暮らしっすかぁ」
「偉いなぁ」
「家事……知らない子ですねぇ……」
思いっきり目を逸らす人も居るけど、多分掃除する暇とか無いんだろうなぁ……
「すみません。そういう訳で私達も帰ります。後でデータお願いしますね」
「はいはーい。それじゃあまた今度の撮影もよろしく!仕方ない。こっちのメンバーだけで行くかぁ!」
「「「おー!」」」
多分だけど、この人達は晩御飯と言ったらそのままお酒入っちゃう人達だろうから僕は行かない方が良い気しかしない。戦略的撤退に成功したな
「2人ともお疲れ様でした」
「お疲れ様です影人君」
「今回は私達の撮影と影人君をコッソリ撮影するので亀田さんは凄い走ってたなぁ……」
あ、あのカメラさん亀田さんって名前なんだ




