懐かしの相手?
「ふっ!」
「ガフッ……!?」
姫様の護衛のゴブリン達とは違うかなり悪人面なゴブリン達がダンジョン内に居た。演出というか、小道具的な感じの骨とかが道端に落ちているし、やらなきゃこっちがやられるダンジョンだろうからコッソリ後ろから近づいて、背後から正中線を打ち抜く掌底。ゴブリンの背骨や内臓を破壊し、一撃で仕留める。うーん、やっぱり巫覡装の巫女モードだと袖とかが少し引っ掛かりそうな気がしてくるし、紐を引いて迷彩服モードにしておこう
「やっぱり、こっちの方が感覚が鋭くなった気がするな」
【森羅の神楽舞】と【生存戦略】この2つの能力は服の形態で性能に強弱がありそうだ
「さぁ、どんどん行こう」
立ち止まる暇はない。1体1体僕の経験値になってくれる事に感謝しながらゴブリンを屠っていく。途中で5体くらい同時に出てきたけど、天井から飛び降りつつ、ゴブリン達5体の頭上から深淵触手で串刺しにする事で一瞬で討伐する事が出来た。言っちゃ悪いけど、盗賊とか暗殺者が何とか取ろうとしているバックスタブを取り放題なこの状況。ゲームを始めた時は想定もしてなかったなぁ
「今更だけど、攻撃魔法も武器も無しで今まで良くやってきたよなぁ……」
ゴブリンを倒しながら思い出す。あのオーガも村の皆の協力が無かったら僕は死んで、ファステリアスの教会とかで復活して、村に戻れずにそのままギルドとかに入っていたかもしれない
「僕自身もこの先どうなるか……でも、多分だけど、もうそろそろで上限になりそうな気がするんだよな」
30レベルで一度成長限界に到達した事を考えたら60レベルでまた成長限界が来るかもしれない。そうなった時にこのまま補助術士のまま行くのか、はたまた分岐進化みたいな物が来た時にそっちに乗り換えるのか。色々考えた方が良いよなぁ
「まぁ、その時が来たらその時考えるか」
悩んでいても仕方がない。その時にならなきゃ分からないからその時考えよう。まぁ60レベルに届くか分からないけどね
「よし!どんどんこーい!」
こん棒やナイフを持ったゴブリン達を倒していき、最奥のボスエリアに向かう。背後からの掌底や、孤立しているゴブリンを正面から武装を奪い、ソバットなどで倒していく
「うーん、集めて一気に叩くべきか……いや、各個撃破が一番良いな」
忘れてはいけない。僕がやるのは基本的に集団戦に見えるだけのタイマンを何戦も繰り返すのが僕の戦い方だ。強力な力を得たとしても基本は忘れちゃいけない
「よし、それじゃあ片付けようか」
この感じだとこのマップ内は普通のゴブリンだけで、最奥まで行かないとボスゴブリンが出てこないのであれば、囮を使って人をゴブリン達を通路に引き込んでその後ろから各個撃破していくのがやりやすいかな
「よし、【イリュジオ】」
幻影の僕を出して、そのまま歩かせる。僕自体は天井に張り付いて移動し、少し雑に移動する。これでゴブリンに気が付かれたら幻影を追いかけて、その後ろから仕留めていこう。やっぱりやってる事暗殺者なのでは?
「ガガ!」「グゴグゴ!」「ゲゲ!」
僕の幻影を見つけたゴブリン達が追いかけて来る。いやぁ見事に釣れてる釣れてる
「では」
幻影を追いかけているゴブリン達の後ろから1体づつ仕留める。このダンジョンがゴブリン達のホームだとしても、ここまで歩いて来た道は大きく変わる訳ではない。僕が歩いて来たここまでの道であれば、僕とゴブリン達はほぼ同じ条件で戦えるという訳だ
「【ハシャフ】」
僕自身に【ハシャフ】をかけて音が出ない様にして後ろから1体、また1体とゴブリン達を排除していくけど、まだ前のゴブリン達は気が付いていないみたいだ。やっぱりこれ良いな。相手に使っても自分に使っても有用な効果があるから使い勝手が素晴らしい
「……」
追いかけて来た最後のゴブリンを倒したし、これで一安心
「っと。これでボスと戦闘している時に後ろから挟み撃ちにされる事を心配しなくても良いな。それじゃあボス戦行ってみよう!」
ダンジョン内を探索して大体のゴブリンは囮で釣り出して倒し、もう最奥のボスの所に突撃するだけだ
「それじゃあお邪魔します!」
ゴブリンを倒している間にダンジョンの内部マップも大体把握出来たので、ボスが居るだろう扉にとび蹴りで入っていく
「グゥァ?」
「どうもー。おはよーございます!」
その場に横になっていたのはあの時のオーガに似ている存在。やっぱり、ゴブリンとオーガって何かしら関係がありそうだよなぁ……でもこの場に居るのはあの時のオーガよりは小さいからそこまで威圧感はない。オーガとの戦闘は2回目だけど、今回は誰の手助けもない。これはある意味リベンジというか、昔との違いというのを確認出来そうだ
「一瞬でカタをつけることも出来なくないかもしれないけど、ちょっと気が変わったし、やっぱりじっくりやらせてもらおうかな」
ステータスとかガンガンにブーストをかけても良いかもしれないけど、イベント前にこのマッチアップ。これは運営が僕に楽しめと言ってるのかもしれない。多分違うだろうけど




