星座の迷路へ
「さーて、何が夜空に出てくるかなぁ?」
欲しい物と必要な物は違う可能性もあるし、出てくる物も何が出てくるか分からないから、何が良いと願うと違う物が出てきた時にがっかりしてしまうかもしれないから何が出てこいとか考えない方が良いだろう
「うーん、星座ガチャ……は流石に良くないかな。これもある意味星座占い?」
そういえば、そもそも狙った星座が空に浮かぶかも分からないのか。スコピオの星座、アクエリアスの星座、キャンサーの星座の3つが大当たりの当たりが3つもある占いだと思えば……あ、ジェミニの星座もそうか。じゃあ3分の1の確率で当たると考えればめちゃめちゃ当たりやすい気がしてきた
「とりあえず星座の形だけ再確認しておくか」
前にルクレシアさんから教えてもらった星座の形をメモした物を再確認をして、見逃さない様にしておこう
「来た来た。見えてきた!えーっと……」
ウィンドウでメモとかを出せるので、ウィンドウ自体の透明度を上げて、メモの情報を透かしながら空を見て探す。ルクレシアさんの書いた冊子からの情報だから、星座の形というか、星と星の距離感みたいな物はほぼ誤差が無いはずだから、メモを拡大か縮小をして、その線を当てはめればすぐに見つけられると思う
「おっ!見つかっ……」
適当に星座のメモを上に展開して、探していたら急に転送された。あれ?今どの星座のメモでワープした?
「あれ?今、星座の魔法を使ってないのに……」
今までは星座を認識してからその魔法を使ったらワープしてたはずだけど……もしかして何回かやってるから短縮してくれたのかな?
「この迷路は……とりあえずマップ全部走るか」
大体走っていたら何かしらのヒントになりそうな物が出てくるだろうし、マップを全部見て回っていれば、その内広場に出て、ここがなんの星座の迷路か分かるだろうし、散歩気分でマップ埋めしよう
「ふむふむ、多分ここはアクエリアスの迷路かな?」
迷路は普通なんだけど、常に足元に水が流れている。水が関係しそうなのは星座の中でも何個かあるけど、僕の手持ちの星座魔法の中で特に水と関係ありそうなのはアクエリアスだろう。ここで、キャンサーだとしてもまぁ、それはそれで良いんだけど……どうなるかなぁ?
「よしよし、行き止まりだ。次々!」
マッピングするなら行き止まりはたくさんぶち当たった方が良い。逆にすんなり通れちゃう方がマップを作るうえで困るし、行き止まり万歳!1つでも多くの行き止まりを見つけて完璧なマップを作らないと!
「ふぅ。今回も良いマップ探索だった!さて、それじゃあ広場に向かいますか!」
マップを埋めて、いよいよ広場に向かう。やっとここが何の迷路なのか確定になるが……
「ふむふむ。こういう形か」
そこには大きな水瓶があり、その口から水が少しずつ溢れて広場、そして迷路に流れ出ているみたいだ
「そこの者」
「はい」
「我がアクエリアスの試験を受けるのか」
「はい。そのつもりで来ました。どのような試験を課されるのでしょうか?」
水瓶と話すのって中々シュールな絵面なのではないだろうか?
「我が試練は人の身には辛い物になるが、それでも良いか」
「はい。ドンと来いです!」
どんな試練かなぁ
「我が中に入り、1時間……いや、30分耐えてみせよ」
「えっ」
水の中で1時間居るだけで良いの?
「辛くなったらいつでも蓋を叩くと良い」
「分かりました……」
結構この水瓶さん優しいな?
「我が力は水の力。この力を与えるに値するかは水との親和性を見させてもらう」
「あ、はい。分かりました」
「あまり喋るのではない。息が続かなくなるぞ」
どうしよう。この水瓶さんかなり優しい。普通に【水中呼吸】のお陰で余裕も余裕だからなんか言い出し辛いな……
「分かりました……」
うーむ、この雰囲気どうしよう。バラしちゃおうかなぁ……
「あの……」
「話なら試練の後で聞いてやろう。だからまずは息を使わない様にするのだ」
「あの、心配してくれてとてもありがたいんですけど、息に関しては問題ないんですよね。水中で呼吸出来るんで、海底で数日過ごしたりもしましたし……」
「えぇ……」
「とりあえずこの状態で何十時間でも……いや、流石にお腹が空いちゃうんで、何十時間は厳しいですね」
「この状態でお腹が空くのが厳しい……どうやらもう試練はするだけ無駄のようだ」
「あ、でも水瓶さんともう少し話したいのであと少しこのまま試練を続けてもらえると嬉しいです。他にも星座の魔法の試練をやった事があるんですけど、試練が終わっちゃうとすぐに戻されちゃうんで、ゆっくりお話し出来なくて……色々会話したいんで、このまま試練を続けるって出来ますかね?」
これで何とかお話出来るかな?
「うぅむ、そういう理由での試練の延長は出来ない。そもそも、この試練は我がお前を認めるかどうかの判断だからな。既に認めているのに試練を続行することは出来ない」
そっか。星座の迷路の相手と話しをしたいのであれば、相手がまだ僕を認めない状態で会話に持ち込まないといけないのか




