星座魔法の練習相手
「いやいや、にしても凄い面子だねぇ?」
「何がですか?」
「ハチ君ハチ君。数少ない『米』の最大輸出国と言っても過言ではない御稲の国の神の右腕と言っても良い飯綱さんに、サーディライの王のリリウム。それに最近噂が広がっている地下街アグラウドの一番偉いニクリウスさん?にハチ君の師匠である私だよ?こんなテーブル滅多に無いよ?」
まぁ、肩書きで言えばそりゃあ凄い方々が居るけどねぇ……
「それにそれに、人の領域とか簡単に飛び越えてしまいそうなのも居るし?」
「もはや性別すら自由自在だものなぁ?」
「ん?それを言ったら、姿形さえ、自由自在だぞ?」
【ヴァルゴ】のお陰で性別の変更が出来るし、【バリアント細胞】のお陰で体の形自体も変える事が出来るから確かに自由自在と言えばそうだけど、あんまりやり過ぎたら、自分自身がなくなってしまいそうだからそこまで率先的に変えたいとは思わないかな。まぁ、腕を伸ばすとか腕を生やしておいて何を言ってるんだって話だけど……
「多分多分、この場に居る存在の中で一番凄いのはハチ君だよ?」
「いやいや、普通に世界を救った経験があるモルガ師匠よりは下だと思いますけど……」
「いえいえ、ハチさんは我々の国を救って頂いた事がありますから、そんなに畏まる必要はありませんよ。ハチさんが気付いていないだけで、色んな方を救っていると思います」
「そうだ。アグラウドもハチに救ってもらった様な物だからな」
「えー!サーディライはまだハチ君に救われてない!」
飯綱さんとニクリウスさんからのフォローであんまり自分を下げるのも良くない感じになってしまったな。リリウムさんのはフォローでは無い気がするけど……
「じゃあ皆凄いって事で!早く食べないと冷めちゃいますよ?」
こういう時は下手に下げずに皆凄いって事にしておくのが一番良さそうだ
「あぁ、そうだ。これは美味いぞ!もっと欲しいくらいだ!」
「確かに」
「そうですね」
「おかわりおかわり!ハチ君!」
仕方ないなぁ……
「「「「ご馳走様でした」」」」
作ったものを人に食べてもらうってやっぱり嬉しいな
「美味しかったみたいで何より。それじゃあ僕は色々やる事が残ってるから失礼するね」
「ふむふむ、なんだか楽しそうだねぇ?」
「うぅむ、何か怪しいな」
「ちょっと気になるね」
「また何かやっているんでしょうか」
何を言われても別に良いんだけど、なんだろう?凄く怪しまれている気がする
「気になるし、ついて行ってみるか」
「もしかしたら何か手伝えるかもしれないし、良いね」
「よしよし、ここはハチ君の師匠としてお手伝いしようか!」
「たまにはお手伝いしますよハチさん」
どうやら皆は僕の手伝いをしてくれるみたいだが……具体的に何を手伝ってもらえば良いんだろうか?
「えっと……お手伝いですか……じゃあ夜まで何かしらやりたいなって思いますが……」
お手伝いしてくれるとなるなら何が良いんだろう?レベルを上げるか、星座魔法を使ったりしようと思ったけど……
「ちょっと使いたい魔法があるんですが、それの練習に付き合ってもらうとかでどうですかね?」
「良いね良いね!魔法だったら私の出番だね!」
待ってましたと言わんばかりに前に出てきたモルガ師匠。まぁ、魔法の事ならモルガ師匠が一番か
「それじゃあ、回復と防御と……あと妨害系の魔法を使いたいんですけど……」
プラクティスの空間で何度使用したとしても、多分使用回数的な物は加算されないと思うから、回数的な物を稼ぐ為には人に使うのが一番だろう。それに、【キャンサー】とかあの秘密の護衛任務の時とか使いたくても使えなかったし、モルガ師匠を相手にしてもちゃんとした防御性能があるのかも確かめてみたい
「えっとえっと、妨害系はちょっと困るかなぁ」
「あぁ、それなら問題ないです。それに関しては相手に使わなくても僕に使う事が出来るんで、回復と防御系の魔法だけ使わせてもらえれば良いです」
【アクエリアス】【キャンサー】【スコピオ】の3つを重点的に練習する方法とか考えてみると、やっぱり協力してもらえるというのであれば利用させてもらいたい
「うんとうんと、つまり、ハチ君を魔法で攻撃すれば良いって事かな?」
「そうですね。この島だと攻撃出来ないんで、どこか別の場所で攻撃してもらえると助かりますね」
「攻撃してもらえると助かると言う辺りハチ君らしいね」
「ハチさんと手合わせですか……本気を出すべきでしょうか?」
「必要というのであれば、私もやるぞ」
4人とも練習相手になってくれるみたいだけど、まって?こんな4人同時に相手するとかとんでもない事になりそうなんだけど……
「えっと、一気に4人相手にするんでしょうか?単純に魔法の使い道を探すような感覚なのに、なんでそんな皆やる気なんですかね?」
やる気というか、殺る気に感じるというか……
「まぁまぁ、ハチ君の相手なんて本気でやらないとダメだろうし、この4人なら力加減も大体出来るでしょ。大丈夫!場所は……」
「そういう事ならこっちで用意しよう」
リリウムさんが場所を用意してくれるらしい。練習するだけなのに大変な事になりそうだなぁ……




