表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1085/2012

神と人の在り方

「して、そっちの。面を上げよ」

「はい、何でしょう」

 とりあえず基本は腰を低めにしながら行こう


「我は山の神。貴様に供物を捧げる許可を出そう」

 つまりまだ寄越せって言ってる?うぅむ……困った神様だなぁ


「山の神様。まだ供物を寄越せと言うのでしたら、それはもはや、人からの搾取なのでは無いでしょうか?」

 ここは少し攻めてみるか


「何?」

「勿論自然には感謝していますが、私はこの山に住んでいる訳でも無ければ、山に生活圏を置いている訳でもありません。サイバさんに会いに来て、その後にここの存在を知り、挨拶として参りました。そんな初対面の神相手に供物をもっと捧げろと言われましても、今の私には山の神様に対する信仰は無いに等しい状態です」

 信仰もしていない神に供物を捧げろと言われても普通はしないだろう。やったとしてもそれこそ旅行先の神社でお賽銭を入れる位で、普通に硬貨数枚を入れる程度。そこで、お札をお賽銭として入れるとかまず無い


「ふむ」

「もし、お腹が減っているなど、困っているのであれば援助はしますが……」

「それは信仰では無く憐みだと言いたいのだな?」

「そうです」

 数柱の神と会って何となくの感覚だけど、神だからって全員にこびへつらう必要は無い。自分がどんな神を信仰するかは自由だし、どういう接し方をするかも自由。相手の機嫌次第では対等に接しても問題無い事も分かっている。だからここは自分の立場は下げない


「私は貴方を信仰していないし、何も無く恵むつもりも無い。貴方も山にも入らない街の人間に山の恵みをタダで恵んでやる事はしないでしょう」

「ふむ。一理ある」

 山に入る勇気があって、獲物や山菜を取る知識があって、実際にそれを行う体力があって初めて山の恵みを享受する事が出来る。それは人との対人関係でも一緒だろう。知らない相手にいきなりそれを寄越せと言われてはいどうぞはまず起こらない


「なので、ここから先は交渉にしませんか?」

「ほう?」

 神様相手に交渉でどうこうなるか分からないけど、何もしないよりはこっちの方が良いだろう


「今持っているこの飴を貴方に、その作り方をサイバさんに伝えましょう。そうすれば貴方は今後の供物で定期的にこれが食べられます」

「それに見合う対価を我が決めろと言う事だな?」

「はい。勿論、あまりに釣り合わないとこちらが判断すれば今回の話は無かった事にします。チャンスは1度です」

 サイバさんは何だかオロオロしてこの会話に割り込んで止めてこないのが意外と助かっている。そのお影で向こうからの交渉の提案回数は1度に限定する事に成功した


「勿論、これはサイバさんにも利がある事なのでお2人でどのくらいが妥当か決めて下さい」

「えっ!?」

「ふむ、サイバ。どのくらいが妥当だ?」

「え、えぇと……」

 まぁ別にさっきの交渉云々は別にどうでも良かった。僕は山の神から何かが欲しい訳じゃない。山の神とサイバさんを見てたら何かウカタマが頭の中に思い浮かんだからこの2人も神と信奉者というよりも友達の様になって欲しいなと思ったので、サイバさんと山の神様が会話する機会を作ってみようと頑張ってみた


「よく考えて下さい。どちらか1人に任せるのではなく、話し合ってお互いの価値観をすり合わせて、どのくらいが妥当か。僕にこのくらいでどう?と提案出来るのは1回だけですよ~」

 煽る様に言ってから2人から少し離れる


「ふむ、アイツは何を喰うんだ?」

「普通の人……だと思いますが、イモムシやサソリなんかも食べた事が有ると言っていたので、珍しい食材とか出したとしても……」

「だとしたら恩寵か?」

「流石にあの飴にそこまでの価値があるとは……」

「サイバならこれに何が釣り合うと思う?ほれ、1つ喰ってみろ」

「で、では1つ……飴と果物でこうも甘味が強調されるとは……」

 普通に会話が盛り上がっている。良いね。そういうのが良いと思う


「それじゃあ、僕も少し相談してみますかねぇ」

 向こうの会議が終わる前には何とかなるかなぁ?




「よし!決まったぞ!」

「とりあえず、あの飴だが、山に生えているレアなキノコと交換でどうだ?」

「あ、はい。別にそれで構いませんよ」

「「は?」」

「別に何でも良かったんです。僕としてはサイバさんと山の神様がせっかく出会えたんだからしっかり会話して欲しいなと思って提案しただけだったので」

 神妙な面持ちで話しかけてきたからこっちは凄く軽く返した


「えっと、山の神様。あの飴には砂糖が含まれていて、この山で砂糖を取るのは難しいと思うので、砂糖が取れる作物を渡したいのですが、この山に植えても問題有りませんか?」

「あ、あぁ……」

 大分ポカンとしてるなぁ


「じゃあ、ウカタマ。カモーン!」

「ほいほいほーい!」

「「なっ!?」」

 箱を開けてでっかい狐状態のウカタマが出てきた事で2人共驚いている


「紹介します。こちら、僕の友達で豊穣の神のウカタマ。砂糖を取るのに必要なてん菜を持ってきてもらいました」

「山でもしっかり育つ特別な奴だぞぉ?感謝しろよ~?」

「「……」」

 2人共何か喋って欲しいなぁ……



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 勝者ハチ!
[一言] そりゃ二人共、顎が踵まで落ちてるからだろw にしてもさすがキツネの飼主…もとい豊穣神におこぼれを与える者、深淵と混沌神の愛弟子だわー、平然と交渉に入るとはw
[一言] まぁ、主人公のほうが明らかに格上だよね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ