チャンス到来?
「よしよし。この感じなら問題無さそうだな。最後に深淵触手も使った全力で簡易シェルターを作ったらどうなるかな?」
ログアウトする前にそれだけ試してみよう。本格的な家を作る訳では無いし、1人が入れる本当に簡易の寝るだけの物だったらどのくらいで出来るのかやってみよう
「ヤバい。触手が便利過ぎる。フィフスターと同時に動かして、作業すればそれこそ木を切る所から初めて10分以内で簡易シェルターが1つ作れちゃうな……タイムアタックみたいなノリでやれば5分切りを狙えるか……」
単純に腕が増えて、そのまま切ったり出来るって超便利だ。丸太運びとかの労力を他の人に手伝ってもらえれば、それこそ1日で小さめの家位なら建てられるんじゃないか?
「パンドーラは持ち込み可能……でも予想としては、多分ウカタマみたいな無人島バランスブレイカーは流石に呼べないかもしれないと考えておいた方が良いかもしれない」
お米は食べられないかもなぁ……そうなったら仕方ないね
「白武と黒武が呼べれば丸太運びとかはやってもらえるかな」
一応、パンドーラが使えないかもしれない想定で動いた方が自分の為になるかもしれない。これでパンドーラが使えなかったら本当に悲しい事になるんだよなぁ……小さいバッグ容量を使って持ち込んだのは自分が呼べる眷属と会話するくらい……寂しさは紛れるだろうけどね?
「とりあえず一旦このシェルターでログアウトするか」
死んだら死んだでシェルターの作りが悪かったという事だ。もっと強固なシェルターを次回作るつもりで行こう。現実的だけど、あくまでゲーム。経験を積む事が一番だ
「また、サバイバル系の動画とか見るかな。色々勉強になるかもしれない」
知識は持っていないと活かせない。ゲーム内だけでは無く、現実でも知識を集めた方が良いだろう
「うひゃー!生で芋虫を……貴重なたんぱく源なら仕方ないかなぁ」
流石に火を通した方が良いよなぁ……
「体調を崩すかもしれないけど、ああいうのも試した方が良いかな……」
無人島に何があるかは分からない。最悪に備えて、昆虫食とかも視野に入れて考えるなら一度ゲーム内で経験するのはアリ……かもしれない
「お腹壊したりするかなぁ?」
HP上限9割持っていかれたり、お腹に剣を刺されたりしてるんだから虫を食べてお腹を壊す位ならもう優しい部類だな。明日試してみよう
「そうか、こういう事を考えたらホフマンさんの食べられる物が見分けられるって素晴らしいな」
無人島で食べられる物を見分けられるのは凄まじくデカいアドバンテージだ。毒のある物が無人島にあって、それを食べて全滅するとか余裕であり得る事象だろう。その辺の知識は……採取の目で何とかなるかな?
「色々考える事があるなぁ……誰かに相談したい気はするけど……」
現状では、今の所誰の手も借りずにサバイバルをしているけど、現実で誰かに相談とかしてみたいが、こんな事を相談出来る人がね……
「菖蒲さん……いやいや、流石にこんな事を相談してもな……」
芋虫を食べようかと思うんですけどとか相談してどうなると言うんだ。いや、間違いなくドン引きされるだけだろうけど
「とりあえず明日はもう少し魔法とか使ってみるか。星座魔法とかも何かしら強化出来るだろうし」
星座魔法……あ、【スコピオ】とか【キャンサー】を全然使ってないな。効果としては良い物だし、もっと使った方が良いよな……ポリゴナルリングと【スコピオ】の相性はかなり良いから使わないのが勿体ないし、【キャンサー】はある意味、一瞬だけなら【精神防壁】の代わりにもなるだろう。この辺を考えたらもっと使用していっても良いよな
「ま、今日はもう寝よう。大分遅くなっちゃったなぁ」
12時はとうに超えているし、早く寝なきゃ。明日何するかは軽く決めて置いて、実際にその時になったらその時の僕が何かするだろう。あ、明日はスーパーのセールだし、帰りに色々買って帰ろう。野菜とか減って来たし、色々買い足しておかないと
「あ、影人君」
「織部さん。どうかしましたか?」
放課後になって呼び止められた。何かな?
「あの、この後空いてますか?」
「え、これから買い物に行こうかと……」
「そ、そうですか……」
「すみません。今日はセールなんで……さようなら!」
何か話をしても良かったかもしれないけど、今日のセールは肉と野菜が中々にお安い。タイムセールの卵は完全に間に合わないけど、何かしら戦利品は確保したい
「そ、それなら私も行きます!」
「え?」
「あの前に会った十字路の近くにあったスーパーですよね?」
小声で話してきたけど、別に聞かれても良いような……
「あそこって1人1個限定で売ったりして色々安かったですよね?」
「あ、もしかして織部さんもあのスーパー使ってるんですか。あそこ安くて助かるんですよねぇ」
「2人で行けば1個限定の物が2つ買えますよ」
むむっ、これは大きいな……正直あのスーパーは安いけど1人何個制限とかがあるから中々量が買えなくて困ってた所にこの提案……
「後でお金払うんで、付き添い頼んでも良いですか?1人暮らしだとしても、色々作ったりするので、割と無くなるのが早いんで……」
「はい!」
いやぁ、この申し出は助かるなぁ……
「あれ、デートなのでは?」
「遂に来たか!」
「やっとか!」
そんな女子生徒たちの声はハチには聞こえていなかった




