新築祝い
クワッドローターが地面近くに降りて来たらヘックスさんとピュアル、ちのりんが飛び降りる。その後クワッドローターが変形して見覚えのあるデカいバイクになる。カッコイイ……
「あっ!ハチだー!」
「お久しぶりです」
「ぽよっ!」
「おぉ!ハチ!帰って来てたのか!」
「うん、ヘックスさん達は……何してたの?」
「私もここに住むからな!祝い用の食べ物を取りに行ってたんだ」
「あぁ!ここヘックスさんの家なんだ!」
他の皆の家に比べたら大きな家だと思ったけどヘックスさんなら納得だ。ピュアルも居るし、このデカいバイク(そういえばこれ人型にもなったよね?)もあるから他の皆より場所を取るだろう。だからこんな大きな家だったんだ
「よーし!仕上げだ!」
ドナークさんが丸太を家の中持ち込む。家の中からガコンッガコンッと音がする……本当に大丈夫なんだろうか?
音が聞こえなくなると家全体がピカッと一瞬光った。これは、家が完成したっていう合図かな?
「ふぅ、出来た!」
中からドナークさんが汗を拭って出てきた。なんだろう……棟梁みたいだ
「よし、家も完成した事だしやるか!ハチ、飯を作るの手伝ってくれ」
「はーい」
ワリアさんに呼ばれたので一緒に移動する。ちのりんがパーライさんとホーライ君が掴んで来た猪2匹を一人で運んでいる。めっちゃパワフルだ
「うわっ、何ですかこれ!?」
「皆で喰うんだからこれくらいデカくないとな?」
「ぽよっ!」
ワリアさんについて行き、辿り着いた先にあったのはキャンプファイアよろしく積まれた丸太とその上のめちゃめちゃデカいフライパン……というか鉄板が置いてあった。これを使って猪肉を焼くのか……確かにこれは一人じゃ大変だな
「血抜きは済んでるし、内臓も取ってあるから肉を丁度良い大きさに切り分けてくれ」
「分かりました」
猪肉の切り分けを任されたのでしっかりこなす。姫様とか(一応)ドナークさん用に食べやすい様に小さく切り、アトラさんとかヴァイア様、パーライさんとホーライ君向けに大きく切ったりとサイズを変える工夫をしてみた。これで皆食べやすいだろう
「そういえばまだフライパン使ってなかったなぁ」
肉を切り分けている最中にまだワリアさんから貰ったフライパンと調味料セットを使っていない事を思い出した。まぁここ最近は果物を主体で食べてたから調理する事自体があまりなかったからなぁ……
「やっぱり肉だよねー」
猪肉を切り分けながらフライパン君の初仕事はやっぱり肉を料理しようと決めた。ヘックスさんの新築祝いが終わって、姫様にお守り修理してもらったらお肉を焼いてみるのも良いかもなぁ……
「よし!そんじゃあやるか!」
「はい!こっちも準備出来ましたよ!」
「早く早く!」
「待ちきれないぞ!」
お肉の準備していたら皆がもう鉄板の前で待っている。早くなーい?
「わりぃ、止められなかった……」
ワリアさんが手を合わせて謝ってくるけど別に謝る必要は無いと思う。だってバーベキューみたいな物でしょ?そんなの楽しみで早く来ちゃうのは分かる
「皆もう来ちゃったし、始めますか!」
「私の家!完成おめでとう!」
皆の拍手する中、ヘックスさんが宣言して新築祝いのバーベキューがスタートする。アトラさんが少ししょんぼりしている気がする。まぁ今どっちが村長らしいかって言われたらヘックスさんの方が村長っぽいな
鉄板に用意されていた油を敷き、猪肉を乗せて焼いていく。ジュワァっと肉が焼けて行く。ここで塩をパラパラと振っておこう。こう、腕でバウンドさせる感じで……あぁあぁ、ローブの中に入ってきちゃった……これは失敗だな、普通に塩を振ろう
「なーにやってるんだハチ?」
「ちょっとカッコつけようとして失敗した……」
ちょっと長めのトングを使わないと鉄板の真ん中で肉を焼けないくらいデカい鉄板なので今は自分の手の届く範囲だけ塩味になってる。他の皆は思い思いに焼いているけど……ドナークさん何の迷いも無く大きい方の肉を焼いてるなぁ?
「あ、姫様?」
「ん?どうした?」
ちゃんと姫様サイズに切ってあったお肉を美味しそうに食べていた悪いけど今の内に相談しておこう
「ごめん!これ、姫様から貰ったお守りなんだけど……効果発動しちゃって壊れちゃったみたいなんだ」
「何!?これが発動するという事はハチ、一回死ぬほどのダメージを負ったのか!?」
姫様が大きい声で言うので皆がこっちを向く。今はヘックスさんの新築祝いだから出来れば目立たず終わらせたかったけど気付かれてしまった
「ちょっと旅人同士の武闘大会に出たら爆発魔法を使う人が居てね……勝つ為にお守りの効果を使って無理矢理突破したんだ」
「なるほど……私のお陰で勝てたんだな!」
「そうそう、姫様のお守りが無かったらあそこで負けてたよ」
「そうかそうか!よし!すぐに直してこよう!」
「あっ、ちょっと……」
せっかくお肉が焼けているのにあっという間に何処かに行ってしまった。お肉を食べた後で良かったのに
「ハチ、少しアミュレットを貸せ」
「は、はい」
姫様が行ってしまったと思ったら今度はヘックスさんがアミュレットを貸せと言ってきた。今日の主役の言う事だし、言う事を聞く
「ピュアル」
「----!」
ピュアルとヘックスさんがアミュレットを二人で持つと魔力を流し込むのが分かった。二人の体から薄っすら白い何かがアミュレットに流れ込んでいった