切り替える一歩の為
「因みにどういった物を買おうとしてるのかって、聞く事出来ます?」
ここまで来たら聞いてみるか
「私個人の為の魔動馬です」
「馬ですか……」
魔動馬……多分マウントアイテムだよね?
「ハチさん。良かったら協力してくれませんか」
『特殊クエスト 投げ捨てた思い出 が 切り替える一歩 に移行可能です。移行しますか?』
これはクエストが分岐って形なのかな?まぁ、乗り掛かった舟だし、最後まで行くか
「協力とは具体的に何をすれば良いんでしょうか?」
「私、リリウム様にとある事を達成するとボーナスを支給すると言われているのです」
「ほうほう」
ボーナスか。確かにそれがあれば魔動馬を買うという事に1歩近付くか、ゴールする事が出来るだろう
「門番さんがボーナスを貰える様に僕が協力すれば良いという事ですね」
「はい。お金ではありませんが、しっかりお礼はします」
さて、何を協力すれば良いのかな?
「で、何をするんですか?」
「リリウム様の元にあなたを届けるという任務です。リリウム様が満足出来ればボーナスが増えます」
「つまり、僕にリリウム様のおもてなしをしろって事ですかね?しかもリリウム様が満足出来るようにと」
「はい。私の楽しいお休みの日の乗馬ライフの為にご協力お願いします」
詳細は分からないけど、僕にも何かしらのお礼があるからやらない訳にはいかないだろう。あとは、多分僕の頑張り次第でボーナス額が変わって、僕に対するお礼も変わって来るんだろう。という事はやっぱり出来るだけリリウム様をおもてなしする事で評価が上がっていく感じかな?
「なんかそれはそれで楽しそうかも。良いですよ。協力します」
城の中に入るつもりは無かったけど、そういう事なら門番さんのお手伝いとしてやるのは良いかもしれない。まぁ、あまり晒したくない過去話的なのも聞かせてもらったし、これはお手伝いしない訳にはいかない。また色々後回しになるなぁ……
「リリウム様。ハチ様を捕らえました。今日は大人しく捕まるそうです」
「そうか……はへぇ!?ハチ!?」
「どうもー。油断してて今日は捕まっちゃいました。なんで、お茶でもどうですか」
「私はこれで失礼させていただきます。あとは2人でどうぞ」
なるほど、それであとは僕に任せると……
「あ、あぁ……」
「いやー、今日は失敗しましたね。ちょっと濠に落とした物を拾おうとしたら交換条件として捕まっちゃいましたね。リリウムさん今は時間とか大丈夫なんですか?」
まずは仕事とかあるのかどうかを確認するべきだろう。仕事があるなら後で出直す必要もあるだろう
「それは大丈夫!急ぐ仕事は無いから!」
「なら良かったです。まぁ、お疲れでしたら休んでください。寝ぐせついてますよ?」
「あっ……」
今まで寝てたんだろうというのが見て取れる
「そうだ!ハチ君。そこに座ってくれ!」
「はい。これで良いですか?」
ソファに座れと言われたので座る
「疲れてるから、枕になってもらうぞ!」
「あぁ、そういう事ですか。でも少し待った方が……」
僕が座った腿の上に頭を乗せようと倒れ込んでくるリリウムさんだが……
「痛ったぁ!?」
「だから少し待った方が良いって言ったのに……」
まだエゴを外してないから普通に執事服に隠れてるだけで服の下に鉄板というか、アーマーみたいなのがあるんだからそこに立った状態から倒れ込んだら痛いに決まってる
「大丈夫ですか?ほら、痛いの痛いの飛んでけー……って流石に子供っぽいですかね」
「飛んでったー!」
一国一城の主がそれで良いのかと言いたくなるなぁ……
「とりあえずこれで良いですか?」
「あはぁ~。久々に羽根を伸ばせる~」
王様らしく振舞わなくて良いっていうのは息抜きになってるのかな。とりあえずこれでリリウムさんの満足度は上がってるかな
「リリウムさんはいつも頑張ってますね。偉い偉い」
「あっあっあっ」
膝枕をしているリリウムさんの頭を撫でる。不敬かもしれないけど、それを指摘する人も居なければ本人が受け入れてるから問題無いだろう
「お疲れならこのまま寝てしまっても構いませんよ」
「じゃあ、お言葉に甘えて……」
これでとりあえず問題無いかな?
「やっぱり綺麗だけど、子供っぽい所もあるよなぁ……まぁそういう所が可愛らしいんだけど」
僕の血をエリシアちゃんとフォビオ君の2人が飲んだけど自分だけ飲んで無いからズルいとか、そういう所が子供っぽい感じだけど、それは別に個性の1つだ
「今、指を切ったりして出血状態になったら起きるのか、それとも寝たままで吸おうとしたりするのかちょっと気になるな」
ミスリル包丁とか使えば多分指先位は傷付けて、赤ポリゴンの血を出す事は出来るだろう。それを寝ているリリウムさんの鼻先にチラつかせたら起きるのか試してみたくなってきた
「とりあえずちょっとだけ指を切ってみるか」
どういう反応をするか少しだけ切ってみてようかな
「危ないから気を付けて……」
この状態で刃物を持ってるのを見られたら暗殺でもしようとしていると誤解されかねないし、可能な限り手早く自分の指をちょっとだけ切る。わぁ、ミスリルの切れ味凄い
「よし、これでどうなるかな……」
赤いポリゴンが出てきたのでリリウムさんの口元に持って行く
「……これは無意識っぽいなぁ」
哺乳瓶でミルクを飲む赤ちゃんみたいな感じで指から血を吸われる。いやぁ、デカい赤ちゃんだなぁ?




