どちらに行くか
「ハチ君ハチ君!クッキー、出来たよー」
「お、出来ましたか……あれぇ?数が減ってますねぇ?」
明らかに提出されたクッキーの数が生地より少ない。まぁ口周りに欠片とか付いてるし想像はしてたけど……ハートとか丸、四角いクッキーは普通なのに星型は少し歪というか、何か真ん中に瞳みたいなマークっぽいのがある様な気が……気のせいか
「そ、そ、そうかなぁ?」
「そういう事は口元を拭いてから言った方が良いですよ。まぁ、それを見越して多めにしてたんですけど、というかこの形は何ですかね?」
出来上がったクッキーの中になにかのキャラっぽいクッキーがあった。これは何モチーフなんだろう?
「はっはっは!それはそれは、師匠特製弟子クッキーだ!」
「って事はこのフードっぽいの被ったキャラは僕ですかね?」
「そうそう!良く出来てるでしょう?」
まぁ、フードのお陰で髪とか目とか作り込まなくて良いって言う所は楽で良いのかもしれないけど、僕の身にもなって欲しい。何かのお礼として渡すクッキーが僕の形してたらどんだけ自意識過剰だよって思われそう
「これだけ纏めてください。城で出す分にします。他の形のは問題無いです」
僕の顔クッキーに比べたらエルダーサイン的クッキーは別に普通の人に渡しても問題無いだろう
「じゃあこれは食べて良いんだね~」
「良いですよ」
お手伝いのお礼という事にしておこう。これなら別に食べられても問題ない。というか絶対キャラメルが出来たら絶対キャラメルの方に興味が移るんだろうなぁ
「このくらいで良いかな。あとはコレを冷やして、適度な大きさにカットしたら完成っと。あとは包み紙でもあれば良いんだけど……」
キャラメルを作ったら最後は紙で包んでおけば渡しやすいだろうけど……
「ウカタマ。食べられる紙ってある?」
「紙とは少し違うけど。ほい」
オブラート的な物が無いかオブラートに包まず言ってみたらあるらしい
「まぁ正確に言うと、口に入れたら溶けちゃう味の無い葉っぱなんだけどね」
マジでオブラートっぽいな?
「おぉ、それ良いですね。その葉っぱでキャラメル包む作業手伝ってくれません?2つ3つなら味見って事で食べても良いです」
「この葉っぱは結構昔に絶滅した種だけど、まぁ違法な物じゃ無いし大丈夫でしょ」
「……」
違法な物よりも絶滅した物が復活した方が凄いというかヤバいのでは?
「まぁ……大丈夫か」
深く考えなくても良いか。キャラメルを包んでそのまま食べられるというその結果が大事という事で……
「いやぁ、大量大量。これだけあれば色んな人に配ったりも出来るな」
「包みごと食べられるのは良いですね」
「ふむふむ、クッキー以外にも飴とキャラメル……これは今後のおやつが楽しみー!」
「うま~」
評判は上々だな。これなら他の人に渡しても問題無さそうだ
「皆が美味しいって言ってくれるなら多分大丈夫だろう。そうだ!そろそろ情報来てたりしないかな?」
色々やったし、呪い情報ポストにそろそろ情報が来てるか確認してみよう
「それじゃあ皆。後は自由にしてね」
「「「はーい」」」
「ゲヘちゃんもお疲れさまー」
「オツカレサマデシタ」
皆に挨拶を済ませてポストに向かう
「さぁどうかな……」
取っ手を引いてポストの中身を確認する
「おっ?ありますねぇ」
中には3通の手紙が入っている。とりあえず見てみようか
「ふむふむ、内容は……」
呪いと思わしき物の情報が入っているけど、2つがサーディライ。1つがファステリアスにそれらしき物があるらしい
「えーと、ファステリアスの方は……『裏路地の怪しげな井戸の中から邪悪な気配がするらしいですが、シスターや神官をわざわざ連れて来ても、井戸の中に入る事は出来ないので何かある模様。地図も添付します チェルシーさんから』と。サーディライの方は……『城の濠に背中にコウモリっぽい羽根を生やした誰かが何かを投げ込んでいた ふぇり塩さんから』と『サーディライの城の入口とは反対の濠に悪魔らしき存在がペンダントを投げ込んだそうです。そこを探せば呪いのアイテムが入手出来るかと思われます 玩具リオンさんから』」
早々にこんな情報を頂けるとは中々優秀ですねぇ……
「どっちを先に行ってみようかな?」
ファステリアスの方は地図もあるから行こうと思えばすぐに行けるし、サーディライの方なら、城の濠を探したいって事で、リリウムさんに許可をもらえればそのまま濠に入って探せるだろうから、どっちでも探そうと思えばすぐに探せそうだけど……今回はチェルシーさん情報のファステリアスの方を先に行ってみようかな?
「井戸の中かぁ。何があるかな?」
僕は別に井戸の中でも山の上でも行けるなら行くし、神官様やシスター様が行けないのなら僕が代わりに行こうじゃないか
「さて、マップによると……」
確かに入り組んだ裏道だ。この先を進んで行くと……
「これか。確かに何か怪しい感じがする」
「あぁ、そこの人。その井戸には余り近寄らない方が良い。悪い気が溜まっておる」
ご老人からのヒント。これは期待出来るかもしれない……




