帰還
教会に弾かれて外で待つことにしたけど僕が弾かれた原因としては多分アストレイ・オブ・アームズのせいだろう。だって紋章って魔物しか装備出来ない物らしいし、それを装備した人間とかイレギュラーも良い所だ。だから魔物と判断されて弾かれるのも無理はないと思う。シロクマコスチュームだから傍から見ても違和感はないはずだから怪しまれる事は無いかな?
「ベアー」
手を前に出してまた弾かれるか確認する。するとガラスの様に透明な壁で阻まれる。うん、無理だね
「ベッベベッベッベ、ベッアベッア」
歌いながら教会の周りを回ってみる。何処かに入れる穴とか無いかなぁ?
「可愛いなぁ?」「主人があれじゃなかったらなぁ?」「写真撮りたい」「あの白ローブが居ないかこっちに来てみたら可愛い物が見れた!ラッキー!」
後ろから色々声が聞こえるけどダイコーンさんが召喚主だと思っているからなのか僕の後をついてこようとする人は居なかった。ダイコーンさんガード強いな?
右手を透明な壁に当てながら教会周りを歩く。結構教会が大きいから周るのも時間が掛かるな?ちょっと急ごう。ダイコーンさんに迷惑が掛かっちゃう前に1周したい
「んー、やっぱ無いかぁ」
丁度教会の裏側までやってきたけど結界?に穴は無い。教会には入れないかぁ……
「ん?何だ?」
教会に入れなかったから戻ろうと思った時に路地に何となく気配を感じた。ちょっと確認するくらいなら時間的にも大丈夫かな?
教会から離れて路地に入ってみる。んー汚い……
「ありゃ?何か落ちてる?」
何か黒い小箱の様な物が落っこちていたので拾ってみる。誰かの落とし物だろうか?ちょっとだけ中を見てみよう……
『貧呪の魔硬貨が装備されました』
「ファ!?」
ちょちょちょ!?何!?いきなり装備って何事!?ってメッセージ来てる
『おーい?何処に行ったんだ?』
あぁ、ダイコーンさんが呼んでる。急いで戻らないと……でもこれもどうしたら、ってあの黒い箱消えてる!?あぁもう!これじゃあ元に戻せないじゃん!
あたふたしてたけど結局ダイコーンさんの所に急いで戻る事にした。辺りを見回しても誰も居ないし、返そうにも返す相手が見つからないんじゃここに居ても仕方が無いと自分の中で結論を出して正当化し、ダイコーンさんの元へ向かった
「ベア(すいませんちょっと辺りを見てました)」
「よし、それじゃあ行くかぁ?(いや、大丈夫だ)」
めっちゃ紳士なんだよなぁ……
とりあえずさっきの事は置いておいて、ダイコーンさんと泉に向かう事にする。うん、やっぱ僕は街に居るより森や山に居た方が安心するな……
「よし、それじゃあ戻るか(ここまでで良いのか?)」
「ベア(はい、ありがとうございました)」
泉を登録し、ここに戻ってこられる様にしておく。泉に触れる事でどこに行きたいか選択出来る様になったけどはぐれ者の村は0Gで行けるのに、ファステリアスの街だと1000G取られる……ヴァイア様ありがとうございます
((せーのっ!))
タイミングを合わせて転送する。これで怪しまれる事無く、僕は村に帰れるはずだ
「ふぅ……もはや懐かしい気さえするね?」
気が付くと村中央の泉の前に立っていた。あぁ、なんだか安心するなぁ?
「ん?おぉ!ハチじゃないか!おかえり!」
丸太を肩に担いだ下半身が蛇の姿のドナークさんが挨拶をしてくれた。帰ってきたんだなぁ……
「ただいまー」
シロクマコスチュームを脱ぎ、いつもの姿に戻る。色々やりたい事もあるけどまずはドナークさんを手伝った方が良いかな?
「手伝う?」
「いや、これを運んで終わりだから気にしなくて良いぞ?」
「そっか、皆は居るの?」
「皆居るぞ?今新しい家を建ててたんだ」
「新築の家かぁ……見に行っても良い?」
「言わなくても付いて来るだろ?」
笑いながらも歩いて(?)いくドナークさんの後ろを追いかけ、ドナークさんに【オプティアップ STR】を掛ける
「ん?」
「これくらいはやらせてよ?」
「おぉ!サンキューハチ!」
力が若干上がったせいなのか丸太をポンポンお手玉するドナークさん。近寄るのは結構怖いぞ?
「持ってきたぞー」
「よし、じゃあそれで……ハチ!」
「「「「ハチ?」」」」
結構大きめの建物の前で集まってドナークさんを待っていたみたいだけど僕が一緒に現れた事で僕にも注目が集まる
「ただいまー」
「「「「「おかえり」」」」」
アトラさん、ヴァイア様、ワリアさんに姫様、それにミミックさんが建物の前に居るけど他の皆はどこだろう?
「これは?」
「住民も増えたし、村を拡張しようかと思ってな?」
「なるほど、じゃあこれは誰かの家なの?」
「あぁ、ハチも知ってる奴の家だぞ?」
「僕も知ってる?」
誰の家だろう?
「おっ、帰って来たな?」
「ん?うおっ!?」
「はっはっは!帰って来たぞー!」
ワリアさんが空を見ながら言うので同じ方向を見てみると、そこには4つの回転翼を回転させながら飛んで来るクワッドローター?に乗るヘックスさんとピュアル。そしてそれに付随するパーライさんとホーライ君が何かデカい猪を鷲掴みして飛んできている。ん?よく見たらクワッドローターの下にちのりんがへばり付いてる!