探し物の悪魔
「あっ、そういえば……」
今探している小さな雲……これってもしかして「探し物」に該当するのかな?
「うーむ……一旦戻るか」
これは説得する為にも実際の物が有った方が良いだろう
「すみません」
「あっ、ハチさん。戻られたんですね。流石にそんな簡単には見つからないですよね……」
「ちょっとその件に関して相談したい事がありまして……さっきの肉の煮物をちょっと多めに用意して頂く事って可能でしょうか?」
雲を集める為にもこれは必要だ。貰えるかな?
「これが雲を集める為に必要なのでしょうか?それでしたらどうぞ」
「ありがとうございます!これで……」
丁度出来上がったみたいな角煮を貰う。これで多分呼べると思うんだ
「よし、えっと、我が呼び声に応えよ!アンドロマリウス!」
人が出来るだけ居ない所で、アンドロマリウスを呼び出す。探し物の悪魔さんがそういう物を探せるのか。これもある意味実験だ
「私を呼ぶのは誰でありますか!どひゃー!ハチさんでありましたか!」
どひゃー!って……驚き過ぎでしょう?
「やぁ、アンドロマリウスさん。ちょっと探し物を手伝ってほしいんだけど、その前に供物としてコレで大丈夫かな?」
「おぉ!美味しそうな角煮であります!いただくであります!ほわぁ、トロトロでありますぅ……」
美味しそうに食べるなぁ……女警官風なアンドロマリウスさんがこうやってると何か供物と言うより賄賂っぽいな
「今から探そうとしてる物はその料理が作れるようになる物なんだけど……どうかな?協力してくれる?」
「勿論であります!今後お手伝いする事が有ればこういう物が供物として頂けると考えて良いでありますか!?」
「その考えでも良いと思うよ。今後アンドロマリウスさんに協力して欲しい時は供物は料理で良いかな?」
「良いであります!」
よし!これはデカいな
「早速探すであります!何を探せば良いでありますか?」
「えっとこの街の人が言うには小さい雲って物らしいんだけど、この鍋の蓋に付いてるビンの中の奴」
さっき煮物を貰うついでにSSで撮っておいた蓋の写真を見せる。これで探せるのかな?
「ふむふむ、なるほど……少々待つであります!」
「わっ」
アンドロマリウスさんの蛇っぽい髪が周囲を見渡す様にキョロキョロしている。探すってそうやって探すのか……
「むむっ!反応あり!こっちであります!」
「おぉ?もう見つけた?行こう!」
アンドロマリウスさんが走って向かうから僕も急いで追いかける
「流石はハチさん!中々速いでありますねぇ」
「美味しい料理の為にはね!」
中々速いアンドロマリウスさんに離されない様に走って追いかける。悪魔の運動性能高いねぇ?
「あれがハチさんの探し物であります!」
「おぉ!本当にあった!」
アンドロマリウスさんを追いかけていくと本当に小さい雲が浮かんでいた。これがビンで集められるんだ
「これが本当にさっきの美味しい物が食べられるでありますか?」
「さっき見せたようにこれ自体が食べ物になるんじゃなくて、これが調理器具の素材になるんだ」
「料理については詳しくはありませんが、美味しい料理はいつでも待ってるであります!」
悪魔がそれで良いのかと言いたくなるけど、人間だって個人差があるし、これで良いんだろう
「よーし、それじゃあ集めるぞー」
触手も合わせて4つのビンを振るって雲をビン詰めにする。本当にビンの中に雲が詰まってるなぁ……
「これで4つ分集まったから持って行けば蓋を作ってもらえる!」
「役目を果たしたのでこれで失礼するであります!」
「うん、ありがとうアンドロマリウスさん。また何かあったら呼ぶね。あと、早かったからボーナス!」
早く見つけてくれたからクッキーを追加報酬として渡す。また沢山作らないとなぁ……
「おっ!これはありがとうございます!ではまたの呼び出しをお待ちしているであります!」
敬礼して消えていくアンドロマリウスさん。次回が有ればしっかり使わせてもらおう
「うーん、星型とかちょっと形が違うクッキーもあれば良いかな?」
なんかただの丸いクッキーだけだと勿体無い。せっかくなら僕が作ったと分かりやすい様なクッキーを作るのもアリかな
「おっと、いけない。さっさと持って行って蓋を作ってもらわないと」
探し物の悪魔のアンドロマリウスさんと繋がりがあったから見つけにくいと言われていた雲を発見する事が出来た。やっぱり悪魔は報酬前払いな分、良い仕事するなぁ?
「はい、これでどうかな?」
4つの雲入りビンを渡す
「もう見つけられたのですか!?いやはや、流石です」
「どうする?蓋を作るならフライパンを一旦君に預けた方が良い?」
「はい、そうして頂けるとキチンとフィットする蓋が作れるのでお願いします」
「じゃあお願いします」
現実だと絶対無理だろうフライパンを圧力鍋に出来る蓋。これは是非とも欲しい。キチンとフィットする蓋を作ってもらう為にもフライパンを渡す
「2日程お時間を頂ければ完成するので、お待ちいただけると……」
「そのくらいは待ちますよ。良い蓋頼みます!」
蓋の完成を楽しみにして、まだ続いていたパーティーに戻り、お開きになるまで楽しんでからその日はログアウトした




