サモナーの戦い
戦闘はとてもスムーズだった。まずダイコーンさんがはんぺんの他に2体召喚した
「行け!ちくわ!しらたき!」
どこまでもおでん……
「クワー!(やるぞー!)」「-----!(気を付けないとダメですよ)」
大きいアリクイと少し溶けてる女性っぽい形をしたスライムがダイコーンさんの後ろから現れる
「ちくわ!あいつを止めろ!しらたきは【ウォーターレーザー】!」
「クワー!(任せて!)」「---!(了解!)」
デカいアリクイのちくわ君が後ろ二本足で立ち上がり、両手を広げて威嚇する。かわいい……
ちくわがトレントと相対して行動を阻害する。そして横からしらたきが水のレーザーを撃って葉の付いた枝を切り落とす。属性的には不利だと思うけど細枝を次々落としていく。あのレーザー……当たったら手足も吹き飛ばされそうだ
「ヒャッハー!」
いつの間にかインベントリから取り出したのか、斧を手に持ったダイコーンさんがトレントに斧を突き立てる。んー、似合ってる
ちくわがトレントの行動を阻害し、しらたきが遠距離攻撃で相手の遠距離攻撃手段を奪っていく。はんぺんとダイコーンさんが牙と斧で近距離でトレントに攻撃する。僕の出番が全くない
「グギャァー……」
トレントがドシーンっと地面に倒れる。どうやら討伐出来たみたいだ。出番が無かったから女の子の傍で体育座りして待っていた。なんか女の子に頭を撫でられていたけどダイコーンさん達の方からこっちに攻撃が漏れてきた時に備えて僕の後ろから頭を撫でる様に位置を調整していたから突然葉っぱが飛んできても僕が盾になれるようにはしていたが……無駄だったみたいだ
「ベアベアー」
「凄かったー!」
ぽふぽふと拍手していると女の子も拍手してダイコーンさん達を労う。あっ、僕は戦闘してないから経験値入ってないや……
「ヒャッハー!ざっとこんなもんだぜぇ!」
斧を肩に担いでこっちに来るダイコーンさん。そのままこっちに来るのは流石に女の子が怖がると思うので両手で制止する
(怖がっちゃうからせめてその斧を仕舞ってください)
2m以内に入ったのでウィスパーで話しかける。口は動かさないで喋りたい事を思い浮かべて話しかける相手を選べばその相手にウィスパーで話しかける事が出来るので女の子に気付かれずに会話する事が出来る
(あ、悪い。採取用の斧だったんだが、やっぱり木の魔物には斧だと思ってな?)
採取用……言われてみればかなり質素な斧だ。武器としての斧じゃなく本当に薪割り用みたいな斧だなぁ?とりあえず僕の忠告を聞いて斧を仕舞ってくれたダイコーンさん
「おっ、そうだ!こんにゃく!袋はどうした?」
「あ、ベアッ!」
ポシェットからさっき仕舞った手提げ袋を取り出す。穴とかは空いていないよね?
「良かった……ちゃんと薬草はある……」
袋を受け取った女の子は中に薬草が入っている事を確認する。そういえばこの子は薬草を取りに森に入ったらしいけど、お母さんは相当心配しているだろう。早く戻った方が良いんじゃないかな?
(ダイコーンさん。この子多分セカンドラの街から来てますよね?送った方が良いと思うんですが)
(それは同感だ。俺よりもハチ君の方が女の子が喜びそうだから頼めるか?)
(分かりました)
モヒカンと手を繋ぐ女の子とシロクマと手を繋ぐ女の子だったら多分後者の方がマシだと思う
「ベア、ベアベア!(一緒に街まで行くって伝えてください)」
女の子に対して両手を振って軽く跳ねながらダイコーンさんには女の子に喋れない僕の代わりに伝えてもらう
「嬢ちゃん?セカンドラの街から来たんだろ?」
「う、うん……」
怖がってるぅ、仕方が無い。ここは僕が軽くダンスでも踊って……
「このくまさんが君が心配だから街まで送りたいらしいぜぇ?」
「本当!?」
どうやら踊るまでも無かったみたいだ。女の子の目が輝いている
「ベア」
頷いておく。ここで拗れたら街に向かうのに時間が掛かるだろうしね?
「流石にこれだけの人数で動くのは他の人の邪魔になっちまうからな。ちくわ、しらたき、ありがとうな?休んでいてくれ」
「クワー(はーい)」「-----(お疲れ様でした)」
ダイコーンさんがそういうとちくわとしらたきの足元に魔法陣が出てきて、2体がこっちに手を振りながら消えて行った。なるほど、召喚獣はこういう事が出来るのか
「よし!そんじゃあ行くとするかぁ?」
「ベア」
「はい!」
「ワンッ!(はい!)」
戻されなかったはんぺんは護衛としても丁度良いんだろう。確かに絵面的にも狼を連れた世紀末モヒカンなら良い感じかもしれない
「そうか、大変だったんだな……」
「お金も無いから街のお薬も買えなくて……自分で薬草を取ってくるしかなくて……」
この女の子。名前をアミーといって母親と2人で生活していたらしいが、母親が足を怪我をしてしまい、その治療の為に薬草を集めていたらしい。母親思いの良い子だなぁ
そういえばボスを倒した時に10000G程お金が手に入ってたな……