素敵な読書ライフとミオ視点
夜ルーズベルト様の部屋で寝ていて、朝起きるといつ帰ってきたのか隣でルーズベルト様が寝ていた。
私はその寝顔を見て、思わず微笑んだ。
眠っているのに眉間に皺が寄っている。
私はその眉間を、人差し指でグリグリしてみる。
いつの間にそんなに無愛想になったのよ?
そんな風に思いながら。
「んぅ……?」
ルーズベルト様は目を開く。
「…………」
「…………」
目が合うと、お互いしばらく無言で見つめ合った。
「まだ寝ていてください」
「あ、ああ」
私がそう言うと、ルーズベルト様は意味不明という顔をして頷いた。
ルーズベルト様に昔会ったことがあることは、言えていない。
嫌そうな顔されたらと思ったら、言えないのだった。
忘れているかもしれないし……。
あんな生意気だったことも恥ずかしい……。
◇◇◇
本ばかり読んでいる日々が10日ほど続くと、自室の本を読み終えた。
「この屋敷の本は好きに読んでいいと、ルーズベルト様は言っていたわね」
私の呟きが聞こえたミオは、どこか焦ったように言った。
「お、奥様、ずっと本ばかり読んでいては頭が疲れてしまいますよ!
あまりにも動かないと身体にも悪いと思います」
「そうかしら」
「時々は気分転換も必要ですし、庭にでも行きませんか?」
「そうねえ」
それから、私は基本的に読書をして、時々は庭に気分転換に行くことにした。
◇◇◇
ミオ視点
奥様を初めて見た時、私は奥様の美しさに心奪われた。
これほど美しい人を初めて見たのだった。
容姿はもちろん、それだけではない。
纏っているオーラというか、なんというか……!
そして奥様専属メイドになれた時の喜びといったら……!!
まず奥様専属メイドは、奥様と同じくらいの年頃のメイドから選ぶと言われて、それは私に当てはまった。それからライバルはあと3人いたが、蹴散らして、見事その座を勝ち取ったのである。
初日、奥様と初めて言葉を交わした。
しっかりしたお方だという印象だった。
最近まで平民として暮らしていただなんてとても思えなかった。
奥様にはすでに、気品さ、優雅さが身に付いていた。
何をするにも絵になる方だった。
2日目、奥様は早起きらしい。
私が向かった頃には、すでに自室で着替えまで済ませていた。
これからは、自室についたら私を呼ぶと約束してくれた。
その日は、私が入れた紅茶を飲みながら、優雅に1日中本を読んでおられた。
3日目、奥様は読書をして過ごした。
どうやら奥様は、服や髪型にあまり興味がないらしい。
これから毎日、私の好きなように美しい奥様を着飾ることができるなんて、なんて至福なのだろう。
4日目、奥様は読書をして過ごした。
5日目、奥様は読書をして過ごした。
6日目、奥様は読書をして過ごした。
――――
――
私はだんだん奥様のことが分かってきた。
奥様はとても賢い。
とにかく堂々としている。
きっとそれ故に、始めから気品、優雅さを感じられたのだろうと思う。
それと……
この人は、このままにしていてはダメだ…………。
このままにしていては、本を読むだけで一生を終えてしまうのではないか。
とりあえず、気分転換に庭に誘ってみた。
あとは、とりあえず奥様がこの屋敷の本を全て読み終わるのを待つしかない。
それから何かしら提言してみよう。うん。